子供の頃に通った淵があります。
この小さな淵の名を知る人は、わずかです。
背後の崖の上に小さな祠があります。
小川ですが、水深は3~4mあると聞いています。
大蛇がいるので近寄ってはいけないという言い伝えでした。
釣りをすることも禁じられていました。
この淵のどこかで、ずっと眠っているのでしょうか。
サンダル履きで淵の傍まで下りてみました。
おーい! (小声)
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そろそろ、道路の拡張工事が始まります。
この淵の主はその昔、雨を呼ぶのが役目だったようです。
子供だった私は、この淵の主に毎日のように話しかけていました。
おはよう。
起きてる?
今日は暑いね。
寒くない?
それは人よりも、ずっとずっと近い存在だったのかもしれません。