一日おきにしか帰ってこない父だが、私達の前では仕事の話しは良い話も悪い話も一切しなかった。会社の事は極力、家庭に持ち込まなかったし、母も会社の話しは一切しなかった。
いや、正確に言うと一度だけは聞いたことがある。が、ほぼほぼ父の会社の事は知らされていなかった
私は父の職業すら小学生4.5年位まで知らなかったくらいで、学校の担任の先生が、驚いたくらいであった。
父はごくごく普通のサラリーマンで、年功序列で可もなく不可もなくの肩書だったであろう。
とにかく子供の時は全く気にもしなかったが、会社の話しを不自然なほど我が家ではしていない。
今にして思えば、会社で嫌な事があったりストレスが溜まった日は、帰らなかったのではなく、帰れなかったのではないか。帰ってしまったら、家族に仕事の話しをしてしまう、楽しい話しばかりではないだろう。その事で家庭の空気が悪くなるのを避けたかったのではないか、そんな気がした。
仲間と飲んだり、会社に泊まったりしてストレスは外で発散させていたのではないか?(ストレスの捌け口にされていた方がいたら、ごめんなさい。)
考えすぎかもしれない。
しかし、40歳を過ぎ、父が死んでから数年がたち、少しだけ帰ってこない理由が、そして父の気持ちが分かったような気がした。憶測だが、そんな気がした。