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刻塚-(NO-32)今年最後の更新です。

2009-12-25 02:55:29 | 小説・一刻塚
今年最後の更新です。本年はお世話になりました。

来年も宜しく御願いします。

良いお年をお迎え下さい。

刻塚-(NO-32)

「手島、Y大の辻本教授を調べてくれないか」。
「猿渡さん、済みません。さっき言うのを忘れていました。辻本教授は三年前に病気で亡くなっています」。
「エッ・・・そうですか。じゃあ十年前の研究生と学芸員を調べてくれ」。
「分かった、電話借ります」と、手島加奈は受話器を持つと本庁に電話した。その口調は命令形でてきぱきと端的に指示していた。
「猿渡さん、手島警部はどんなお立場なんです」と、主は小声で訊いた。
「私の肩書は警視庁生活安全課捜査一係りデカ長です。山田さん、そんなこそこそ訊かない」。と手島はキャリアを露に見せた。

「はい、失礼しました。凄いですね女性でデカ長さんとは」。
「それが偏見って言うの、女性でとは失礼よ。ねえ麻代さん公子さん」と、笑った。二人はどう答えていいのかただ笑ってごまかしていた。
「そんなんだから嫁の貰い手がないんだよお前は、話さなきゃ良い女なのにな」。
「まあっ失礼しちゃうわね、そんな女・・・」と、言いかけて言葉を飲み込んだ。
「じゃあ私はお先に失礼します」と、出で行った。
やっぱり、啓太さんと付き合っていたんだ。と、麻代は手島加奈が出て行ったドアを見詰めていた。そして思い返した様に猿渡を見ては靨を作った。
周りを見ると雰囲気的に暗くなっていた、何をどう話したよいのか誰にも分からず、茶を啜る音があちらこちらから聞こえていた。
リリリリ~ンッと静けさを破る様に電話が鳴った、ビクッと誰もの肩が動いた。
電話に近い猿渡が取った。その猿渡の頬が笑った様に見えた。

「太一さん、娘さんの若子さんからですよ」。太一は小躍りする様に駆け寄った。
「いま何処にいるんだ、心配させて」。そして太一の声は涙声に変わった。
そして、分かったと言うと受話器を置いた。涙を拭うと苦笑いを浮かべていた。
「済みませんでした。娘のやつ家から電話が来たら帰って来いと言われるからって、友達に帰ったと言う様に頼んでいたそうで。ハリウッドにいるそうです」。
太一は体裁悪げにペコペコと頭を下げまくっていた。
「まあ、太一よ、嘘でも何でもええ。生きいてたんならそれでええ。のう皆」主の父でもある長老は、そう言うと甲高く笑った。
リリリリ~ンッとまた電話が鳴った。太一が取った。娘の若子の事を話していた。
その話の内容から、山田刑事からの様ようだった。
チラッチラッと皆を見ながら受話器に向かって何度も頭を下げて切った。

「政男からで、出入国管理局で調べたけど帰国してないと行って来た。事情を話したら笑っていたよ。本当に心配かけて済まなかった」。
そして話は終え、部屋に戻った。麻代は手島加奈との関係を訊きたくて仕方なかった。そして訊く事もなくベッドに入った。
麻代はいつになく激しく悶え、絶叫するとグッタリと体を横たえた。そんな体を密着させ、何も語らず猿渡の腕を枕に眠った。
そして翌八月六日日曜日、その日は筒井警部補と南田刑事、山田刑事も戻る事もなく連絡もなかった。
「猿渡君、私は帰るよ。辻本教授と当時の研究クルーの事が分かり次第連絡するから」と、手島加奈はタクシーを呼ぶと夕方の新幹線で東京へ帰った。
明日は麻代も仕事だ、筒井警部補は仕事で帰れそうもないし。と新幹線の時刻表を見ていた。「啓太さん、もう二~三日いちゃだめ?・・・」麻代は甘えた様に背中に抱き着いた。「でも明日から仕事だろ、そんなに休んだら首になっちゃうぞ」。
猿渡はそう言うと背中の麻代を抱える様に膝に座らせた。麻代はウフッと笑うと首に抱き着いた。「アッ・・・もう電話したな?・・・」
「へへ~ッ当たり~ッ!だってこのままじゃ中途半端じゃん。ねえいいでしょう」。「仕方ないなもう、でももう着替えないぞ」。すると麻代はニヤッと笑った。
「ヘヘ~ッ、啓太さんが社へ行ってた午前中に洗濯機借りて洗ったもん。もう乾いてるよ、それにアイロンかける物はないから」。
「分かったよ、家にも知らせたのか?・・」
「うん、啓太さんと一緒ならいいって。事件のニュースで見て驚いていた」
「そうか、でも俺達はここにいてもする事ないぞ。白骨はDNA鑑定するそうだし、さっき聞いたんだけど、女性は全裸で身元を確認できる物は何一つ身に付けて無かったって言うからさ、身元は簡単に分からないだろうからな」。
NO-32-61


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