こちらのブログに引っ越してきてから・・・
全く触れていなかったので、今回の日帰り旅(予科練記念館ほか)について
おしゃべりする前に、ちょこっと寄り道を・・・
「ダークツーリズム」ってご存知でしょうか?
Wikipediaによると
「災害被災跡地、戦争跡地など、
人類の死や悲しみを対象にした観光のこと 」とあります。
好きというと語弊を招きそうでが・・・
「ダークツーリズム」は、わたしの旅には欠かせない要素です。
この言葉を知ったのは、井出明氏の著作ですが、
それ以前からずっと・・・
もともと、幕末・近代史が好きで、旅先でも歴史散策は不可欠。
・・・となれば、歴史の負の部分(ダークな部分)を
目にすることも多々ありました。
決定的になったのは、
自分が大病をしたこと。
今でこそ、元気なサバイバーのアラカンおばちゃんですが・・・
告知を受けた当時は40代でしたから、メチャクチャ落ち込み、
身体のダメージも想像以上でした。
悪名高き辛い治療を受ける、直前だったか、そのあとだったか・・・
ミニシアターに、映画「夕凪の街 桜の国」を観に行きました。
こうの史代さんの原作(双葉社)を読んで、感動・・・
何より大好きな麻生久美子さんが出演でしたから・・・
そのとき・・・
映画の中で、被爆しながらも元気に過ごしていた皆実(麻生久美子)が、
ついに倒れる・・・その寝付いた姿をみていたら・・・
もんのすごい怒りが湧いてきたのです。
ーーどうして!?
元気にゴハンを食べて、排泄できる、健康な人が死ななきゃいけないの?
病気で、ゴハンや排泄も思うに任せない、今の自分ならわかる。
生きるために正常に身体が活動している人間の命を、なぜ奪うの・・・!?
無性に腹が立って、悔し泣きにくれました。
あれからでしょうか・・・
歴史の、ダークな部分へ、積極的に目を向けるようになったのは・・・
一方で、自分が命長らえた不思議も、感じていました。
人間は、たとえ健康であっても、突然、戦争や災害で命を奪われる・・・
わたしは大病したけれど、今、ここに生きていられる・・・
それはもう感謝としか言いようがなく・・・
母も、娘の大病を通し、同じようなことを感じたのでしょうか。
当時、気持ちが沈みがちだった私を案じてか、母に誘われ、
二人で、たびたび海外旅行のツアーに参加しました。
(自腹ですよ、そこは親子でも、きっちり線引きw)
でも、それが・・・
旧ユーゴスラビア、ポーランド、バルト三国(リトアニア・エストニア・
ラトヴィア)、大連・・・と、哀しい歴史の土地ばかり・・・
それがテーマではないのに、必ず鎮魂の日があるという・・・
いやいや、真面目な話。
そんな日は、必ず、お数珠を携え、
精一杯の心で「般若心経」を、唱えてきました。
ダークな歴史も、きちんと受け止めよう・・・
夫と出かける旅行でも、ダークポイントを入れることが増えたのは、
そんなダークツーリズム好き?の自負があったからです・・・
ところがっ!
全然ダメだったんです。
ダークな歴史を受け止められる器量なんて、私にはありませんでした。
それを、プラハの旅で思い知らされました。
聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂 ・・・
第二次世界大戦下1942年、ナチスの将校・ラインハルト・ハイドリヒを
暗殺した愛国者が立てこもっていたの場所です。
そこへ怒りに狂ったナチスが攻め寄せて・・・
激しい銃撃戦となり、愛国者は自決。
彼らは国家の英雄として、今も讃えられ、教会には博物館もあります。
(画像にあるように、遠足や修学旅行などで、学生は必ず見学するとか。)
数年前、ここを訪ね、博物館の奥にある礼拝堂、
すなわち、彼らが自決したその部屋への重い扉を開けた瞬間、
「ここはダメ、イヤイヤ!」と叫び、わたしは初めて拒否しました。
渋々ながら、私に付き合ってくれていた夫が、
「由々のために来たんだろ!」と一喝。
泣く泣く見学したものの・・・
あの衝撃は、今思い出しても、心臓がバクバクします。
地下の礼拝堂は、締めきられた空間で、当時の空気が漂っている・・・
あのときのままのような気がしたのです。
(ローラン・ビネ『HHhHープラハ1942年 』<東京創元社>に詳しいです)
あのとき、目が覚めました。
ーー全然、ダメじゃん、自分。
歴史のダークな部分を、しっかり受け止める?鎮魂?
何をうぬぼれていたんだろう???
・・・だからこそ、いっそう、謙虚に、向き合わなければ・・・
そう思う一方、なぜ、こんなに辛いのに、ムキになるんだろう?と
呆れる気持ちもあります。(実際、気分が悪くなることも、しょっちゅう)
勝手に、サバイバーの使命感を抱いちゃっている感じ?
う~ん。
わたしは、しょせん、自分がやっていることだから良いにしても・・・
付き合わされる夫は大変だよね、頭が下がります。
おっと、失礼。
皆様にも、長々と申し訳ございません。
本当に、本当に、お付き合いいただき、どうもありがとうございました。
◆本日の画像は、プラハの聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂 と、その界隈で
2016年春に撮影しました。
書影は版元ドットコムより使わせていただいております。