モジリア

74歳のブロガー。ギネスを目指す!(^^)!
おじさんが読む「赤毛のアン」

蜘蛛の糸その後ー2-

2012年10月18日 | 生に目覚める頃

12・10・18  

蜘蛛の糸その後―2―

 

カンダタは来る日も来る日も

悔やんでばかりいました。

そんな日がしばらく続いたある日のことでございます。

 

地獄は辛く苦しく悲しいことばかりです。

辛い、苦しいとか悲しいと思っても事態は一向に改善しません。

 

元は人を殺したり家に火をつけたり、

いろいろ悪事を働いた大泥棒のカンダタのこと、

 

このぐらいの責め苦は仕方がないこと、と

達観すると地獄の責め苦もそれほど辛く感じなくなりました。そして、

時には血の池地獄で溺れそうになった人に手を差し延べ、

ニッコリと笑みを浮かべることさえあるのです。

 

蜘蛛の糸が手元でプッツリ切れたことなど忘れかけていました。

 

そんな時でした、

お釈迦様がカンダタの前に蜘蛛の糸を垂らされたのは・・・・・・。

 

カンダタは一人で蜘蛛の糸を手繰ろうとはしません。

 

しばらく思案していましたが、突然大きな声で、

「オイ、お前たち!

一人ずつこの蜘蛛の糸を手繰って極楽へ行け!」と叫びました。

 

「一人残らず極楽へ送り届けたら最後に、オレが行く!」

 

そして百人二百人五百人と一人ずつ極楽へ登らせたのですが

何時まで経っても亡者の減る気配が全くありません。

 

次から次へと人は地獄へ落ちてくるのです。

 

時には不安に駆られることもありましたが、

「すまねえな、あとからきたのに、ありがとう!」とか

「地獄に仏とはお前のことだ、ありがとう!」と

口々にお礼の言葉を云われます。

 

カンダタは気を取り直して一人一人に

「気をつけて行けよ!」

「慌てるんじゃねえぞ!」

「大丈夫だ!オレが見張っているから!」と声をかけます。

 

やがて、不思議なことにカンダタは何ともいえぬ喜びが

心の底からふつふつと湧きあがってくるのです。

蜘蛛の糸が切れぬよう、ひたすら心を砕き地獄へ落ちた亡者を

ひとり、またひとり、と極楽へと送りつづけているのです。

 

数百年経った今も

カンダタは目を輝かせてこの営みを続けているのです。 

  

お釈迦様はニッコリ微笑まれて蓮池を後にされました。   

 (おわり)


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