さくらの丘

福祉に強い FP(ファイナンシャルプランナー)がつづるノートです。

特定の層を追い込む物価高騰

2022年09月30日 | お金

特定の層を追い込む物価高騰

 物価の高騰が止まらない。8月の消費者物価指数の前年比上昇率は、総合で3%、変動の激しい生鮮食品を除いても2.8%であった。今後10月には食料品関係で過去最高の品目数の値上げが控えており、今年中には生鮮食料品を除いても3%を越えることが見込まれる。欧米諸国の7~8%上昇からすると低い水準であるが、日常生活でも値上がりを実感するようになってきている。食料品以外の多くの商品の値上がりも進んでおり、今年の内には、生活のあらゆる場面で値上がりを感じ取るようになるであろう。

 

 値上がりしているものは

 日常生活の多くの品目の値上がりをする中、最も家計に大きな影響を与えているのは、エネルギー価格と食料品価格(生鮮食品を除く)である。円安の進行、ウクライナ戦争などを背景とした資源価格の高騰により、生活に欠かせない品目が値上がりしているのだ。

 こうした物価の上昇は、所得の低い世帯に大きな影響を及ぼしている。同時に、40~50歳代のファミリー世帯にも大きな打撃になっている。

 

低所得者層に大きな影響が

 食費やエネルギー費用は、所得に関わらず、世帯人数によって一定の費用がかかる固定費的側面がある。所得が低いからと言って食べない訳にはいかず、冷房も暖房も使用しない、車に乗らない(地域による)生活はありえないのである。このことにより、世帯の消費支出に占める食費とエネルギー費用の割合は、所得が低いほど高くなり、40%程度にもなってしまっている。このように家計で最も影響の大きい費目が値上がりするので、その影響は当然大きくなる。値上がりした分は、収入を増やさない限り、何かを我慢しないとやりくりが出来ないことになる。しかし低所得では実際的にやりくりできる範囲も限定的である。ここで行き詰ると最後は、食費とエネルギー費用の削減に結果的には向いてしまう。実際に困窮世帯では、食事を抜いたり、電気・ガスを止めざるを得ない実態も発生している(現代では携帯電話は最後まで残る社会とのつながりツールとなっている)。

 コロナ禍でフードパントリーなどに依拠している世帯は依然として多いが、今後さらに増えていく懸念がある。一方、フードバンク側では、この不況で寄付金・物資が減少しつつあり、需要にどれだけ応えられるかも懸念されている。

 

ファミリー層にも影響が

 ファミリー世帯は、必ずしも低所得世帯ではない。2021年民間給与実態調査統計によると、その平均収入(ボーナス含む、税引き前)は下記の通り。あくまで平均であり、就業している業種・職種でも大きく異なり、正規雇用・非正規雇用の区別もない。

  45~49歳  男性:630万円  女性:328万円
  50~54歳  男性:664万円  女性:328万円

 この金額だけみれば低所得者には当たらず、食費・エネルギー費用の割合は所得の低い世帯よりは低くなる。しかし、この世代は日常のやりくりでは苦労している世帯が多いのである。それは、世帯人数も3~4人となり、食費・エネルギー費用以外の教育費・住宅費のウエイトも高くなっていることに依る。この世代は、まず世帯当たりの食費・エネルギー費用は最大となる。子どもたちも良く食べる世代であり、一人1部屋で冷暖房したりする。そこで人生3大費用と言われる「教育」「住宅」がのしかかってくるのである。つまり収入も多いが、支出も大きいのである。

 このことは暮らし向きに関する調査結果でも現れており、「『どちらかと言えば暮らしに余裕はない』と『暮らしに余裕は全くない』の合計は、40代では61.5%、50代では60.7%と、いずれも6割を超え、他の年齢階級より暮らしに余裕はないと感じる者が多いとなっている。」(「暮らしと意識に関するNHK・JILPT共同調査」)

 こうした層では、収入も賃上げなどで名目上は上昇しているが、物価を考慮した実質賃金はマイナスになっており、この物価高のダメージは所得の低い層同様に大きいのである。

政府は何をしようとしているか

政府は物価高への対策として、ガソリン補助金の期限を年末まで延長したほか、輸入小麦を製粉会社などに売り渡す価格を10月以降も現在の水準に据え置く措置を講じた。また、住民税非課税の低所得世帯を対象に1世帯あたり5万円を給付する対策を打ち出した。

 これらはもちろん大切な対策だが、時限が定められていたり、一度きりの給付であったりして、持続した措置の点では懸念がある。給付金に関しては、40~50歳代のやりくりに苦しむ世帯には及ばない。先を見通しつつ、細かい配慮に基づく対応を求めたい。

 

☆ 民間給与実態統計調査(令和3年分)、国税庁、2022年9月 
  暮らしと意識に関するNHK・JILPT同調査、労働政策研究・研修機構、2022年9月

 

 

 


シニアの心配事と日常生活で知りたい情報

2022年09月22日 | ライフプラン

シニアの心配事と日常生活で知りたい情報

 

 シニアの日常生活や社会活動の参加に関する総合的な調査は、日本では多くない。このほど、7年ぶりに実施された「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」(内閣府)の結果が発表された。前回が2014年実施であり、今回2021年の結果となり、コロナ禍影響を含め、シニアの日常生活はどのようになったであろうか。この場合の「シニア」とは注記しない限り60歳以上の男女を指す。

 

 シニアの心配事

 シニアが抱く、「将来の日常生活全般についての不安」のベスト4は、下記の通りである。

自分や配偶者の健康や病気のこと                  70%

自分や配偶者が寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること60%

生活のための収入のこと                      32%

子どもや孫などの将来                       30%

この割合と順位は、前回調査でも概ね同様である。

 

 シニアの心配事の特徴

 自分や配偶者の健康や病気、介護についての不安は、特に現に配偶者・パートナーのいる人で際立って高い不安となっている。一方、未婚・離婚・死別でおひとり様になっている人(多くは女性である)の不安は自らのことだけとなり、不安割合は半減する。全体としてシニアが最も心配しているのは、やはり「健康」である。それも相手があってこそ、その心配が大きくなるのが特色である。

 収入に関わることは、健康に関わることの半分程度の不安である。収入については、年齢が低いほど不安割合が高く、年齢が上がるほど不安割合は下がっていく。例えば男性の場合、60代前半では49%であるが、80歳以上になると19%と半減以下になる。こうした傾向は他の調査でも明らかになっており、60歳台未満ではさらに不安度合いが高くなっていく。このことは、生活のための収入については、実際に年金中軸の収入となる生活に入るまでの間は、不安度が高いものの、実際にこの生活に慣れるにしたがって相応の生活スタイルをそれぞれが実現することを通して、不安度が下がっていくことを示していると考えられる。

 また、家計のゆとりが多少不安・非常に不安とする人の不安度合いは、健康不安度並みに、特に高くなっている。さらに無職者よりも就業している人の不安度が高く、持ち家よりも賃貸住宅に住んでいる人の不安度が高い。つまりシニアでも格差が広がっており、年金受給額や蓄えの少ない人は、収入を得ることを続けない限り生活の不安を解消できない、という層が一定存在するということである。

 子や孫の将来については、特別な差が生まれずにまんべんなく存在する不安となっているが、やはり生活のやりくりに苦慮している人での不安度が高くなっている。

 この他、主に60歳代では相続に関わることや親・兄弟などの世話が心配事の上位になっている。丁度親世代が80~90歳代となる頃で、この年代特有の心配事ではある。

 

 日常生活を行ううえでほしい情報

 さて、シニアは心配事を抱えながら、日常生活ではどのような情報を求めているのであろうか。

シニアが「日常生活を行ううえでもっと欲しい内容」のベスト4は下記の通りである。

  健康づくり             30%

  年金                27%

  医療                23%

  趣味、スポーツ活動、旅行、レジャー   21%

前回調査と比較すると順位は変わらないものの、欲しい割合がいずれも減少している。一方特にないとする回答が大きく増加した。

 

健康づくりの情報は、自分事としての情報であり、様々なセグメントでも違いが生じず、まんべんなく求められている情報である。その意味で60歳代でも80歳代でも求められている情報は「健康づくり」である。長生きの秘訣は、よく食べ、良く動き、良く寝ることであり、十分不十分は別として、健康に関わる情報が常に求められている。一方で既に巷には「健康づくり」に関係する情報が溢れており、情報を受け止める側の情報リテラシーが重要である。情報の見極め方をシニア世代で共有していくことも重要である。

 年金と医療に関する情報は、女性よりも有意に男性が多くの情報を求めている。先の不安度では差がないものの、男性の方が情報を求めていることは、男性の情報リテラシーが低く、やみくもに情報を求めているという懸念がある。また、年代的には60歳代前半に情報を求める割合が高い。この世代は、まだ就業中で年金受給もしていない段階なので、今後への不安を抱えてのことと推測される。

年金については、未婚者と離婚者での情報関心が強く、自らまたは配偶者の親と同居している場合に情報関心が高い。いずれも年金額が十分でない、もしくは親の年金が生活給化しているなどの場合が考えられる。

医療は、概ね65歳以上で多くの人が順次国民健康保険に移行し、75歳以降は後期高齢者医療制度に移行する。制度の枠組みが変わっていくこともあり、男性は75歳以上で情報関心が高くなる。また、未婚者・子どもがいない人での関心が高い。もし医療を必要とするときに、相談や頼る相手のことを考えてのことと推測される。

 最後は、趣味・スポーツ・レジャーである。興味関心で言えば明確に女性よりも男性が多くの関心を持っている。一方年齢的に言えば、男女ともに75歳までは旺盛に情報を求めているが、75歳以降は一気に下がっていく。アクティブシニアという言葉もあるが、一般的に行動的なのは70歳代前半までとなり、75歳以降要介護認定も増加し始め、徐々に活動的でなくなる傾向になる。実際、現在の健康状態が良くない、あまり良くない人は情報を求める割合が大分少ない。

「できるうちに」という言葉もあるが、75歳ぐらいまで精一杯遊ぶことも大切だ。

 

 

 

 


シニアの金融資産の実態

2022年09月17日 | ライフプラン

シニアの金融資産の実態

 

 誰もが老後のお金の心配をしている。人生三大資金と言う言葉があり、「住宅資金」「教育資金」「老後資金」と言われている。住宅と教育に関しては、ある程度想像が付きやすい項目であるが、人生100年時代とも言われる様に、長い人生の期間に必要となることが想定される老後資金の必要額は正直よく分かっていないのではないだろうか。だからこそ見えない老後資金のへの不安が大きくなっている。実際、各年代の不安に思う割合は、50歳代が最も高くなっており、一方60歳以上のシニアの不安割合はそれほど高くないのが実情である。

 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和2年調査」(金融広報中央委員会、2021年1月)をベースに、シニア世代の金融資産の実態に迫ってみよう。なお、対象は二人以上世帯であり、単身者(お一人様)は今回除外しているので、ご注意いただきたい。

 

 金融資産額が増加した2020年

 2020年の金融資産は、全年代で大きく増加しており、シニア世代も例外ではない。これは、コロナ禍の始まりと、消費の抑制、そして特別定額給付金によるものである。シニア世代の年金受給者は、コロナ禍による年金支給額は減少することなく、一方給付金もあった。これに対して、支出は外出抑制もあり、外食費やレジャー費用、交際費が結果として抑えられ、収支的にも黒字になる世帯が多かった。

 実際の金融資産増加額(2019→2020年、金融資産保有世帯)は、60歳代では平均2203→3014万円、中央値1200→1400万円となっている。70歳代でも平均1978→2720万円、中央値1100→1500万円である。中央値の増加額よりも平均の増加額が大きいと言うことは、金融資産を沢山持っている世帯の増加額が大きいことを現しており、実際3000万円以上の保有世帯が大きく増加した。シニア世帯においても資産格差は歴然としており、現有資産のある人ほど保有資産が増加していることを現している。

 

 偏りのある金融資産保有額

 上記の数値は、金融資産を保有している世帯の結果であり、金融資産を保有していない世帯を含む結果では、また違った結果となる。全体的には、金融資産を保有していない世帯の割合が大きいことから、保有額の平均と中央値が大きく下がることになる。

 具体的な金額は、60歳代では平均2427万円・中央値810万円となり、70歳代でも平均2209万円・中央値1000万円である。これを保有している資産を比率を見ると下記の通りとなる(無回答除く)。

  金融資産無 1000万円未満  1000〜2000万円未満 2000万円以上

60歳代 19%     32%       14%        32%

70歳代 18%     29%       16%        32%

 これを見ると、60歳代では、最も割合が高いのは、2000万円以上保持している世帯と、1000万円以下を保有している世帯となる。1000万円以下保有と保有していない世帯を合わせると、51%になり過半数を占める。この傾向は70歳代でも概ね同じである。

 

 シニア格差の実態

 つまりシニア世帯は、金融資産を持っている世帯と、持っていない世帯にくっきり分かれているのである。特に、3000万円以上保有している世帯が22%程度もあり、持つものと持たない世帯の差は歴然だ。

 人生100年時代とも言われ、資産2000万円問題も取り沙汰され、ある意味老後を迎えるに当たっての目標金額のようにも言われてきた。その意味では、現在のシニア世帯では3世帯に1つの世帯は、これを既に達成していることになる。団塊の世代は現在70歳代に突入しており、人数的なボリュームが大きい世代の一定割合が「ある程度余裕ある」経済状態になっている。この世代では、「老後への不安」が全体として低いのは、こうしたことも影響していると考えられる。

 一方、資産2000万円でみると全く遠い存在の人たちが半数程度存在する。60歳代の金融資産中央値は810万であり、70歳代で1000万円となっているが、実際には金融資産1000万円以下の割合は、500〜1000万円未満よりも、500万円未満が多い。つまり持たない人は、本当に金融資産を持っていない世帯が多いのが実態である。こうした世帯では、実際「老後への不安」が存在する。福祉・医療共に低所得者向けの施策も様々に存在するので、直ちに生活に行き詰まる可能性は低いが、不安と常に向き合って行かざるを得ない世帯が多くあることも理解しておかなくてはならない。

 

 さいごに

 それでは、実際に必要な「老後資金」はいくらなのであろうか。2000万円あれば足りるのか。または全く不足なのか。

 当然個人差が大きいので、一律に示すことは難しい。インターネット上の情報で、現役時代の生活レベルを維持しようとすると、10〜20年程度で資産が枯渇するという指摘を目にすることも多い。その指摘は確かに正しいが、実際には現役時代のままの生活を送っているシニアは実は少ない。家計調査でも、収入(年金や就労による収入)の枠内で、生活のやりくりをしている世帯が大半である。もちろん介護・医療で思わぬ支出が必要になることもある。有料老人ホームに入居することなど特別費用を要するものを考えなければ、十分かどうか議論はあるものの、一定の社会的セイフティネットの仕組みもあり、過度の不安は実際上も抱いていない世帯が多いのも事実である。つまり2000万円の蓄えは、実際上不要の場合も多くあるのである。

 なお、この調査結果は金融資産に限定しているので、自宅などの固定資産は含まれない。シニア世代の大半が自宅(それも一軒家)を保有している事実があり、実際の資産を考える上では、固定資産を含めて考える必要がある。

 

 


あなたは何歳から年金を受け取りたいですか?

2022年09月02日 | ライフプラン

あなたは何歳から年金を受け取りたいですか?

 

 2022年4月より、公的年金の繰下げ受給を選べる年齢の上限が従来の70歳から75歳まで引き上げられた。繰り下げは、1か月単位で繰り下げることが可能で、月当たり0.7%増額になる。一方繰り上げ受給も従来から可能であり、最短60歳から年金を受け取ることが可能になっている。この繰り上げの場合の減額率は、2022年4月より、月当たり0.4%となった(1962年4月2日以前生まれの人は、0. 5%なので注意が必要)。仮に60歳から受給すると、元々65歳から受給する年金額が24%減少することになる。

 

 MUFG資産形成研究所が実施した調査では、65歳から受給したいとする人が43%あまりと最も多く、次いで66歳以降への繰り下げの意向が約28%となっている。この間厚生労働省を始めとして、繰り下げ受給できることが繰り返しアピールされており、4人に1人以上が繰り下げ意思を持つようになっている。一方、60~64歳での繰り上げ受給についても約11%がその意思を持っているようだ。

 これを年代別に見ていくとさらに違いが生じる。繰り上げ受給の意向は、20歳代が最も多く、年齢が上がるほど減少し、60歳代が最も少なくなっている。60歳代では、65歳からの受給開始意向が最も多く、全体の6割以上である。一方、繰り下げ意向は4人に一人であり、他年代と比べて決して高いわけではない。年金受給が間近になるほど現実的な考え方になり、繰り上げ意向が減少し、わからないという回答も減少していく。20歳代からすると年金受給まで相当な期間もあり、将来的な年金不安も大きく、なるべく早く受給したいとの考えに傾くのであろう。

 

実際の繰り上げ、繰り下げ状況はどうだろう

 老齢厚生年金の場合、2020年時点で繰り上げ受給している人の割合は0.5%に留まるが、国民年金だけの場合は、28.2%に上る。これは国民年金の場合、自営や非正規、もしくは無職で受給している人が多く、早期に年金受給して生活安定を図る方策として繰り上げ受給を望む人が多いことを現している。

 一方繰り下げ受給は、老齢厚生年金の場合1%とこれまた少ない水準に留まっている。65歳までの雇用延長している人の多くが仕事を辞めるパターンが主流の中では、繰り下げする余裕がどれだけあるのかが鍵になる。国民年金だけの場合も1.7%と割合としては少ない。こちらも繰り下げる余裕の有無が最大の鍵である。

 

繰り下げのデメリットもちゃんと考えて

 繰り下げ受給はメリットばかりではない。デメリットになりうることもあるので、よく考えて選択したい。具体的には、老齢厚生年金を繰り下げ受給すると、繰り下げ期間中は加給年金が受給できなくなる。加給年金はいわば年金の「家族手当」のようなもので、厚生年金の被保険者が65歳到達時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者、18歳到達年度の末日までの子(または1級・2級の障害がある20歳未満の子)がいる場合に支給される制度である(他にも条件があるので、具体的には専門家に相談すること)。また、繰り下げ期間中に亡くなってしまうと繰り下げは適用されず、65歳からの年金支給分での支給になる。

  さらに、当然支給期間が短くなるので、長生きすれば確かに月々の受給額が増えるが、早く亡くなってしまうとメリットにはなりにくい。相対的には、女性の寿命の方が長いので、繰り下げ効果が得られる可能性が高いとは言える。

 

自分のライフプランに合わせて適切な選択を

 年金の繰り下げは、老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に繰り下げることもできる。また、繰り下げの手続きはいたって簡単で、65歳になる時に年金の請求手続きをしなければ良い。自動的に繰り下げ待機になり、65歳以降年金受給するために請求手続きをする時に、繰り下げ受給を選択すれば、その時までに増額された年金を受給できる(未支給分をまとめて受給もできるが増額にはならない、一部特例あり)。

 急いで決める必要は無いので、繰り下げしても生活維持できる状態であることを前提にしつつ、年金受給タイミングまでに心づもりをしておこう。

 

※ MUFG資産形成研究所 「金融リテラシー1万人調査」

     20~60歳代の企業勤務者8,500名のWeb調査

  厚生労働省 令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況、2021年12月