統計に見るシニア世帯の現況(上)
シニア世帯が増えている
今年9月に2021年国民生活基礎調査の結果が発表された。この調査は3年に一度大規模な調査をおこない、その間の年は簡易的な調査を実施しており、2021年は簡易的調査の年となる(調査実施は、2021年6〜7月)。なお、2020年は新型コロナ感染症の影響で実施されていない。
この調査によると全国の世帯総数は約5191万世帯となり、この内高齢者世帯(世帯の全員が65歳以上、18歳以下の人を含むなので、注意が必要)は約1500万となり、全世帯の約29%を占める。要は1/3の世帯が高齢者世帯となっている。近年核家族化と単身化が進行して世帯数自体が増加してきている(2001年比約114%)が、高齢者世帯はその倍数ほど(2001年比約226%)増加している。このこと自体は、日本社会の年齢構造特性を反映した結果であり、団塊の世代を含む人口が多い世代が皆高齢者世帯となったことに依るものである。少子化も引き続き進行しており、この傾向は当面続くと見た方が良い。
おひとり様シニアの状況
この高齢者世帯約1500万の内訳は、夫婦のみ世帯約700万に対して、単独世帯(いわゆる「おひとり様」)約740万となっており、既におひとり様世帯が上回っている。その他は約63万世帯である。
おひとり様世帯は、女性が約63%、男性は約36%となり、女性の割合がかなり多い(約480万人)。男性は70〜74歳が最も多く、65〜74歳までで全体の56%と大半を占める。一方女性は85歳以上が最も多く、75歳以上で64%と大半を占める様になっている。総じて女性の方が長生きなのである。85歳以上のおひとり様女性が100万人以上存在していることになる。実際、地域では80歳代後半以降で、自立生活を営む女性は数多く存在する(介護を受けつつの場合も含む)。現時点では、元々夫婦であったが、夫が先に亡くなり、おひとり様になった割合が多くなっている。
同居世帯のでは
また、65歳以上の高齢者のいる世帯(「高齢者世帯」とは別の定義なので注意)では、約2割の世帯に未婚の子どもが同居している。この子どもは成人以上の割合が大きいと想像され、この中には中年以上、もしくは60歳以上の未婚の子どもが一定数含まれることも推定される。世に8050問題と言われる、高齢の親と長期に引きこもっている中高年齢の子などの課題を抱えている世帯が一定存在することを伺わせる。実際、地域ではこうした事例からの諸問題の発生は非日常のことではない。同様に子供部屋おじさん・おばさんの存在も伺える(単純に悪いと言っているのではない)。
ここで注目すべきは、その他約63万世帯である。この統計では、高齢者世帯は成人した65歳未満の人を含まないので、未成年の子ども、もしくは孫などとともにある世帯の存在である。全体の占める割合は4%程度と少ないが、何らか特別の状況によりそうした生活を送っている世帯が一定数あることを伺わせる(調査の個票を確認できないのであくまで推測)。最近は、805020問題といって3世代にわたる問題の存在も指摘される様になっており、世帯をめぐる状況は一層複雑化してきている。
(下−所得編 に続く)
☆ 2021年国民生活基礎調査、厚生労働省、2022年9月