五高の歴史・落穂拾い

旧制第五高等学校の六十年にわたる想い出の歴史のエピソードを集めている。

奉安殿信仰と修身教育その上での五高同窓会の設立

2014-04-12 04:33:40 | 五高の歴史
ご真影は天皇陛下を現人神に祭り上げ天皇陛下万歳の下に死ぬと言う軍国主義と人生は如何に清く正しく生きるべきかという人間を深く内省し思索する修身教育が戦争への日本人の性格を推進めて来た中心であった。それは、親兄弟・地域・社会に対する恩は決して忘れず、友人の信頼は決して裏切らず隣人とは仲良くし人生の先輩としての年長者を敬い、人間としての倫理観を持ち、不正には断乎として戦い、弱者を助け日本人としての誇りを忘れず、日本国家も国際社会の一員としての義務を果たすという修身教育の根幹を示していた。この思想こそが五高剛毅木訥の精神ではなかったのだろうか。

昭和5年五高同窓会が成立した時の趣旨を見れば、同窓会の成立は明治二十年の開校から経ること四十年目のことであった。このときまでの卒業生は既に約八千名、それらの人々は既に日本社会の柱石となり日本の指導者たる立場になったものが数多く見られた。その為当時の同窓会の設立の理由として卒業生の間で連絡機関がなかった為にたとえ席を同じにしても、互いに五高卒業生であることを知らなかったりすることが起こりがちであったということであり、先輩が後進を引き立て、後進の者が先輩の指導を受けることも充分に行うことも出来なかったので之を設立するという設立に際しての同窓会長、即ち校長の挨拶が述べられている。