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「韓流」中国から締め出し ドラマ、映画、公演…韓国のコンテンツ産業がピンチ!

2016-12-20 18:59:05 | 日記

「韓流」中国から締め出し ドラマ、映画、公演…韓国のコンテンツ産業がピンチ!

中国・香港で開催された音楽賞の祭典に出席した韓国人俳優の李炳憲(イ・ビョンホン)。中国で韓流スターの露出が減っている=2日(AP)

 アジアを席巻してきた韓国のコンテンツ産業が逆風にさらされている。防衛戦略をめぐる攻防で最大のコンテンツ輸出先だった中国が“制裁”として韓流の締め出しを本格化させているためだ。韓国は国内市場が小さく、稼ぐためには海外市場に出なければならない。映画やドラマなどを相手国ではやらせ、もくろみ通りに上昇した好感度を生かして自国製品の売り上げを増やすのが輸出戦略だ。地ならし役の韓流スターが巨大市場の中国で姿を消したままだと、ブランド力が低下し輸出全体がピンチになりかねない。

 韓流が打撃を受けているのは、中国がかねてから反対してきた在韓米軍による最新鋭迎撃システム「高高度ミサイル防衛システム(THAAD)」の韓国配備が要因とみられ、その報復との見方が多い。末期に入った朴槿恵(パク・クネ)政権の求心力低下の影響も少なくなさそうだ。

 聯合ニュース(電子版)によると、12月に入っても韓国のドラマや映画、韓国芸能人は事実上、中国から締め出された状態であり、中国の映画館でも韓国映画は上映できない。中国メディアで頻繁に報じられていた韓流スターのニュースも急減。中国メディアは、自国内で韓国のドラマ、映画、番組など韓流コンテンツを締め出す「禁韓令」を出したと報じているという。

 中国の国家新聞出版広電総局や外務省は禁韓令についてしらを切っているようだが、韓国芸能人の中国番組、広告、映画への出演中断は事実とみられる。中国企業が政府の顔色をうかがい、韓流スターの公演などの申請を放棄するケースも相次いでいるとしている。

 中国メディアは禁韓令の影響で9月以降、韓流スター42人の出演と韓中合作ドラマ53作品の放送が禁じられ、中国ドラマからも韓流スターが姿を消したと伝えているという。

 韓国大手紙の中央日報(電子版)によれば、禁韓令が下されたと報じられてから、日本でも人気の男性2人組・東方神起や女性歌手・BoA(ボア)らが所属するSMエンターテインメント、YGエンターテインメントなど韓国の大手芸能事務所の株価が一斉に急落した。

 ある芸能事務所関係者は、「所属アイドルグループの中国進出を本格的に始めるところだったが当分留保した。ひとまずファンへの顔出しから中国版ツイッター『微博(ウェイボー)』上での展開だけに切り替えた」としている。

 中国の韓流スターに対する冷遇は、中国のテレビ番組で活躍し、現地で人気が急上昇中だった韓国人男性歌手の黄致列(ファン・チヨル)の例が代表的という。関係者は「最近出たテレビ番組では、以前と比べて出演シーンが明らかに減っていた」と指摘する。不自然な演出はそれだけにはとどまらず、画像をモザイク処理されたこともあるようだ。中国の広告業界は優良株として熱心に働きかけていたようだが、中国内での存在感は失われつつある。

 韓国がコンテンツ産業育成に舵を切ったのは1998年に金大中(キム・デジュン)大統領(当時)の「文化大統領」宣言から。前年の97年に深刻な危機に陥り、低迷した韓国経済を立て直すため、同宣言でコンテンツ産業を基幹産業の一つとして位置付け、国家戦略として発展させていくための法制度や支援体制づくりを進めた。

 コンテンツ産業は、ある作品が消費者に受け入れられてヒットすると、大きな追加投資をすることなく、DVDなどさまざまな記録メディアに複製、転用することにより収益が生まれる高い付加価値が利点だ。作品の放映が終わっても、派生商品が浸透すれば、国家イメージと企業ブランドイメージが改善し、製造業、観光業などの競争力向上にもつながるとされる。ひいては家電製品、携帯電話、自動車などの海外輸出を増加させるという間接的効果をもたらす。

 韓国政府は、宣言以降、韓流の充実を図るため、500億円にも上る基金を設立し、予算も充てて力を入れた。その結果、2003年度から5年間で年平均7.3%の成長を達成したという。同時にアジアを中心に良質なコンテンツを輸出し、各地で韓流ブームを起こした。

 日本の総務省によると、15年の日韓欧米コンテンツ普及調査では、好きな国のドラマを中国・上海で聞いたところ、韓国が半数超を占めた。映画も韓国が占める割合が一番多い。2000年代前半は日本とそう変わらなかった韓国のコンテンツ輸出額は、今では2億ドルを上回り、ようやく1億ドルを超えた日本との差を大きく広げた。

 韓流が韓国製品の認知度を高め、輸出増大につながる成長エンジンだけに、今回の中国による禁韓令は痛手だ。中国は韓国の輸出全体で約4分の1を占め1位。禁韓令が引き金となって、中国内で韓国のブランド力が徐々に低下していくことになれば、輸出がおぼつかなくなる可能性もある。

 韓流コンテンツは、ストーリー性も含めて品質の良さで受け入れられた。このことを踏まえ、韓国内では「メーカーはまず製品の質を上げることに力を入れるべきだ。韓流依存のブランド戦略を見直す機会だ」との声も聞かれる。ふらつき始めた韓国の輸出戦略が曲がり角に立たされている。(経済本部 佐藤克史)

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