【メルボルン新井隆一】テニスの4大大会第1戦、全豪オープン第13日は26日、当地のメルボルン・パークで女子シングルス決勝が行われ、第4シードの大坂なおみ(21)=日清食品=が第8シードのペトラ・クビトバ(28)=チェコ=を7―6、5―7、6―4で降し、男女を通じて日本選手初の全豪優勝を果たした。
昨年の全米オープンで初優勝した大坂は、2015年のウィンブルドン選手権まで4連勝したセリーナ・ウィリアムズ(米国)以来となる4大大会2連勝。過去1年間のツアー成績による28日発表の世界ランキングで、アジア勢初のシングルス1位になることが確定した。
4大大会で初制覇からの2連勝は、01年の全豪、全仏を制したジェニファー・カプリアティ(米国)以来18年ぶり。
◇「なおみ時代」印象づけ
ハイチ出身の父と日本人の母を持ち、大阪市出身の大坂は、3歳で米国へ移住。13年9月に15歳でプロへ転向し、16年に女子ツアーを統括するWTAの最優秀新人賞を獲得した。昨年の全米では4大大会シングルスで日本勢初優勝を果たし、日本テニス界の歴史を塗り替えた。
強打を決めると、大坂は何度も「カモン!」と声を張り上げ、拳を握った。約2週間の長丁場のトーナメントを経て、日本テニス界の歴史に新たな金字塔を打ち立てた。
初顔合わせのクビトバは11、14年のウィンブルドン選手権覇者。準決勝までの6試合をすべてストレート勝ちし、勢いがあった。左利きで、大坂を2センチ上回る182センチの長身から角度のあるサーブを打ち込むのが持ち味。準決勝までに落としたサービスゲームはわずか四つだった。大坂を指導するサーシャ・バイン・コーチは「彼女(クビトバ)もまた、ビッグサーバーだ」と話し、サーブの威力を気にしていた。大坂も「(左利きに)適応するのは少し難しい」と語っていたが、試合の中で独特の軌道に対応し、勝機を引き寄せた。
一方、クビトバも「なおみは調子がいい」と大坂を警戒していた。準決勝までともに平均ラリー数が3回台。展開の速いプレーが予想された半面、ラリー戦になった場合に打ち勝てるかどうかもポイントの一つだった。バイン・コーチは「ラリーが継続すれば、(大坂が)現在の精神状態とフィジカルで優位に立つと信じている」と見ていたが、その言葉通りに大坂はラリー戦でも優位に立った。
現在の女子テニス界は世界ランキング上位選手の実力差が接近している。過去2年の4大大会は8人の優勝者がすべて異なり、うち5人が初優勝と「戦国時代」の様相を呈していた。その中で、大坂はS・ウィリアムズ以来の4大大会連勝を達成。名実ともに「なおみ時代」の到来を強く印象づけた。