娘の死後、発見されたバケツ・リスト。予期せぬ形で娘の思いを引き継ぐ人たちに涙が止まらない
不慮の事故で最愛の我が子を失うことほど辛い出来事はないでしょう。2014年のある日突然、サンドラさんとデイヴィッドさんにそんな不幸が訪れました。娘のクリスティーナさんは21歳という若さで、飲酒運転をしていたトラックドライバーに撥ねられてこの世を去ったのです。
自転車で走行中のクリスティーナさんに突然訪れた悲劇…。残された家族は、クリスティーナさんの死をなかなか受け止めることができませんでした。クリスティーナさんは看護師になる夢を持っていました。
これから夢を叶えるという矢先の悲劇に両親は悲しみながらも、泣く泣く遺品の整理をするためにクリスティーナさんが生前住んでいたアパートを訪れました。そして化粧ポーチの中にある一枚のメモを見つけたのです。
それはバケット・リストだった…
「あの子が高校生の時に書いたものに違いありません」と母のサンドラさんは米CBSのインタビューで語りました。「子供が、バケット・リストを書いて置くなんて…そんなこと誰がするでしょうか」最初、そのメモを見た時には驚きを隠せなかったと言います。
「バケット・リスト」とは「死ぬ前にやっておきたいことをまとめておくメモ」として欧米ではよく知られています。自分の死期が近いとわかったときに、いろいろやりたいことや思うことをリストアップしておくもので、遺書と同じほど大切にされています。
紙にはびっしりと書かれたバケット・リストが…
今となってはクリスティーナさんが、どうして学生時代にこのバケット・リストを書いたのかはわかりません。まるで自分の死期を予期していたかのような行動ですが、本当のところは本人にしかわからないこと…。
これからきっとやりたいこと、チャレンジしてみたいこと、行ってみたい場所がたくさんあったでしょう。その一つ一つが丁寧にリストアップされていました。
クリスティーナさんが残したメモ
「ヴェニスに行くこと」
「チェスを習って誰かとゲームした時に勝つこと」
「スカイダイビングをすること」
「飛行機の操縦を習うこと」
「誰かの命を救うこと」
「結婚すること」
「子供を持つこと」
「花畑を駆け回ること」
「いろんな場所へ旅すること」
「ラクダに乗ること」
「ナイアガラの滝を見ること」
「自分でビジネスをすること」
「いつも笑顔の女性だと覚えてもらうこと」
高校生の時に書いたのだろうと思われるこのメモには、子供らしい夢の他に将来自分がどんな女性になりたいか、どんな人生を送りたいかというクリスティーナさんの希望が見えるようです。
だから家族は実現させた
クリスティーナさんの両親は、亡き娘の代わりにそのバケット・リストをできるだけ実現させることを決心しました。そしてサンドラさんとデイヴィッドさん二人で、またある時は家族全員でクリスティーナさんが行きたかったであろう場所に足を運びました。
クリスティーナさんの写真と共に、家族はバケット・リストの場所へ旅しました。
ナイアガラの滝を見に行ったり、飛行機の操縦を習ったり…いつもクリスティーナさんの思いと共にチャレンジ。
そしてそんな中、家族の予想もしない出来事が世界中で起こっていました。クリスティーナさんの死以来、家族はFacebookに「Remembering Kristina Chesterman」というアカウントを設置。これまで行った場所の写真を投稿したりして亡き娘への思いを綴って来ました。
そしてメディアでもクリスティーナさんの死が報道されて以来、それを知った多くの人がクリスティーナさんの写真に各地を旅していることがわかったのです。
みんな記念写真をFacebookに投稿してくれた
クリスティーナさんに会ったこともない全く知らない誰かが、クリスティーナさんの死に思いを寄せ、どこかへ旅する度にクリスティーナさんの写真を同行。「いろんな場所を旅してみたい」というクリスティーナさんの生前の願い通り、多くの人によってクリスティーナさんはいろんな場所へ足を運んでいるのです。
今日も誰かの優しさに涙するサンドラさん
毎回、Facebookにその様子が投稿されると感動して涙を流しながら見ているサンドラさん。家族だけでなく見知らぬ誰かがこんなにもクリスティーナさんの死を悼んでくれている…そのことは家族にとって大きな励みとなっています。
「こんなに娘の死が影響を与えるなんて」
クリスティーナさんの父、デイヴィッドさんは「娘の死がこんなにも誰かに影響を与えているというのは凄いことだ」とただひたすらみんながしてくれる思いやりに感動。母のサンドラさんも涙ながらに語りました。「今でもあの子を思わない日は一日たりともありません。朝目が覚めると涙が出ることも…。」
クリスティーナさんはみんなの心に生き続けている
不慮の事故で21歳という若さでこの世を去ってしまったクリスティーナさんですが、現在でも多くの人が彼女の写真と共に旅を続けています。SNSのパワーを再認識させられますね。そして世の中にはこんな風にいい人がたくさんたくさん存在するのだということも改めて知ることができます。
善意ある人たちの心の中に生き続けるクリスティーナさん。今日はどこを旅しているのでしょうか。家族にとっても彼女がこうしてみんなの心の中で生き続けていることが救いとなっているでしょう。改めてクリスティーナさんの冥福をお祈りします。