ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』2011年12月18日(日)

2011年12月20日 | Weblog

Nさんは日曜日もくるみ割り人形をご覧になり早速寄稿頂きました。

写真は見送ってくれたねずみさんとのこと。

 

新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』2011年12月18日(日)

金平糖の精:米沢 唯
王子:厚地康雄

雪の女王:寺田亜沙子

クララ:五月女(そうとめ)遥

ドロッセルマイヤー:冨川祐樹

シュタルバウム:貝川鐵夫
シュタルバウム夫人:楠元郁子

フリッツ:高橋一輝

ハレーキン:江本 拓
コロンビーヌ:高橋有里
トロル:吉本泰久

ねずみの王様:小笠原一真

くるみ割り人形:八幡顕光

スペイン:湯川麻美子 マイレン・トレウバエフ

アラビア:厚木三杏 貝川鐵夫

中国:寺島まゆみ 江本 拓

トレパック:八幡顕光 福田圭吾 奥村康祐

葦の精:さいとう美帆 長田佳世 細田千晶

花のワルツ:
堀口 純 丸尾孝子 川口 藍 小村美沙
菅野英男 古川和則 輪島拓也 原 健太

米沢さんの金平糖は
パゴダの王子で魅せたさくら姫の力強さに気品や柔らかさが加わり、
クラシック作品における妖精の女王役もたいそう似合っていた。
決して長身な方ではないが、
身体の使い方が大きいため舞台姿が伸びやかに見える。
磐石且つ高い技術の持ち主で、
後日踊る回転技満載の葦の精もまた楽しみである。

厚地さんの王子は長身が舞台栄えし、
滞空時間の長い跳躍は目に快く爽快感があった。
王侯貴族らしい気品と好青年らしい親しみやすさの両方を持ち合わせた
魅力ある王子であった。
来年3月のアンナ・カレーニナのヴロンスキーに選ばれるなど
今後主役を張る機会が多くあるであろうバレエ団のホープである。

五月女遥さんは子供役のダンサーに混ざっても違和感がないほど
小柄な身体をしたダンサーだが、
安定感のある技術が光り
抜擢されたことに納得がいく踊りであった。

ドロッセルマイヤーの冨川さんは
感情を抑えつつも妖しげな雰囲気を滲ませて好演していた。
出番は多いものの踊る場面はほとんど無く、
立ち振る舞いだけでバレエの舞台に立ち続ける
難しい役どころをしっかり掴み
作品のキーパーソンとして物語を牽引していた。

スペインの踊りでは
湯川さんの持ち前の艶やかさや色気が光り、
本領を発揮していた。
この作品では勿論、白鳥の湖でもドン・キホーテでも、
湯川さんがスパニッシュを踊ると安心感がある。

トレウバエフさんも、湯川さんに負けじと
クセのある独特のメイクを施して弾けていた。

厚木さんはほっそりとした肢体に
アラビア(エジプトと呼んだ方が良いと思うが)の煌びやかな衣装が似合い、
妖艶さがあった。
高身長で揃えた4人の女性ダンサー達の滑らかな踊りにも
うっとりさせられた。

中国では、動きづらそうな着物衣装を着けているとは感じさせないほど
寺島さんの軽やかで高い跳躍が素晴らしい。
宮廷の人間らしいはんなりとした外見に対して
動きはいたく機敏、その対比が魅力であった。
江本さんは袖に入るときにクララに向かって
扇で扇いであげるなど
ディベルティスマンの最中ずっと端の椅子に1人腰掛けているクララを
気遣う姿がとても良かった。

トレパックは前回も務めた八幡さん、福田さんに
新しく奥村さんが加わった。
3人とも息がぴったりでスタミナも十分、
漲る力強さで会場を大いに沸かせてくれた。
観終わるとこちらまですっきりとした気分になる。

葦の精は、当初は難技を詰め込んだ振付に至った経緯が
なかなか理解できなかったが、
高い要求に見事に応えるダンサーの姿を観ると
理由はともあれただただ拍手を送りたいと思うばかりである。
中でも長田さんは抜群の上手さだが、
さいとうさん、細田さんもぶれることなく立派に務め上げていた。
アーティスト(旧名称はコール・ド・バレエ)ながら
全日登板する細田さんに対する期待感の高さが窺える。

21日は本島美和さん、福岡雄大さんペアの登場である。
これまでに何度も組み、ドラマチックバレエの最高峰とも呼ばれる
マクミラン版ロメオとジュリエットでも成功を収めたお2人が
チャイコフスキー三大バレエではどんな舞台を作り上げるのか
楽しみである。



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