Nさんより 新国立劇場バレエ団の本拠地初台での最初の公演
『ダイナミックダンス!』の寄稿頂きました。
3作品とも趣向が異なる豪華な舞台で
「特に、コンチェルト・バロッコの男性プリンシパルを務められた
山本隆之さんの深みと包容力のある美しい踊りとサポートは
心に刻まれました。」
とのこと。
写真は劇場のポスターです。
新国立劇場バレエ団『ダイナミックダンス!』2013年1月24日(木)
男性プリンシパル:山本隆之
女性プリンシパル:小野絢子、長田佳世
「テイク・ファイヴ」
テイク・ファイヴ:湯川麻美子
スリー・トゥ・ゲット・レディー:寺田亜沙子、井倉真未、加藤朋子
フライング・ソロ:八幡顕光
トゥー・ステップ:本島美和、厚地康雄
フォー・スクェア:八幡顕光、奥村康祐、古川和則、小口邦明
「イン・ジ・アッパールーム 」
小野絢子、本島美和、厚木三杏、米沢 唯、丸尾孝子、大和雅美、盆子原美奈
福岡雄大、福田圭吾、原健太、輪島拓也、小口邦明、清水裕三郎
『コンチェルト・バロッコ』は
バッハのヴァイオリン協奏曲にジョージ・バランシンによって振付けられた
シンプルで研ぎ澄まされた美しさを追求した格調高い作品である。
端正で優美な小野絢子さん、艶やかな優雅さのある長田佳世さん、
女性プリンシパルを務めたお2人の踊りは大変見応えがあった。
登場しただけで安心感を与えてくださる
男性プリンシパル・山本隆之さんも印象深く、
包容力のあるあたたかみや優しさが滲み出た踊りとサポートは
観る者の心を穏やかにさせ、
ストーリーのない無色透明な作品においても
奥深さを醸し出して美しく魅せるのは流石の力量である。
女性ダンサー達による一糸乱れぬ凛とした踊り、
そしてお2人のヴァイオリニスト・漆原啓子さんと藤江扶紀さん、
新国立劇場弦楽アンサンブルによる演奏も注目、
重厚感のある荘厳な響きを添えていた。
『テイク・ファイブ』
ジャズ・カルテットの生演奏にのせて
軽快に、ときにしっとりとダンサー達が様々な色を魅せる
ウイスキーのグラスを片手に揺れたくなる粋な作品である。
特に湯川麻美子さんの吸い込まれそうな妖艶さ、
俊敏に余裕たっぷりに踊られた八幡顕光さんの力強さが印象に残った。
『イン・ジ・アッパールーム』
フィリップ・グラスの音楽に振付けられた
息をもつかせぬ複雑な踊りが続く作品で
ダンサー達の果て無き身体能力にただただ圧倒されるばかりであった。
アスリートのような動きの中にもバレエらしい美しさを秘め
終演後は拍手が鳴り止まないほどの大喝采、
2作品連続で踊り切った本島美和さんの体力にも脱帽であった。
新たな魅力が生まれてくるであろう。
日本のバレエ団初演の作品で揃えながらも
それぞれの持ち味を存分に発揮し見事な舞台を作り上げている
ダンサー達に拍手をおくりたい。
明日も楽しみである。
改めて、世界で活躍できる、対照的な二人のダンサーの存在に、
圧倒されました。
「バロッコ」のプリンシパルの山本隆之さん。
もう存在するだけで、周りのダンサーを含め、
観客も一緒に、亜空間へ誘って下さいます。
彼から発する、踊りのオーラが、舞台全体を輝かせます。
「テイクファイブ」のフライング・ソロの福田圭吾くん。
踊りそのもの上手さで他のダンサーを凌駕してます。
特にこの手のダンスは、黒人ダンサーのそれに勝るとも劣らないスウィング感に満ちています。
彼のダンスは、私のビートを百倍に膨らませ、身体が揺れます。
そして、初めて観た作品、「イン・ジ・アッパールーム」には、
度肝を抜かれ、圧倒されました。
そのスケールの大きいこと、素晴らしい作品でした。
無機質でありながら色彩が散りばめられ、有機的なのに退廃的な無力感。
特に、チープでキッチュに想える音楽が、
ダンスと融合すると圧倒的な力を持ち舞台を席巻する!
言葉になりません、是非、機会がありましたら、ご覧くださいませ。
Nさんの、たっぷり、ゆったり、
読むと舞台が浮かんでくる文章には魅せられます。
特に、ダンサーへの思いを散りばめられる所が、
他のリポートとは違い、舞台への花向けが深く感じられ、
バレエへの愛情が、読むものを幸せにします。
ごらんになられたのですね。
Nさんの観劇記へのお褒めの言葉もありがとうございました。