
順番が前後しましたがロンドン特派員Mさんからの寄稿です。ロンドン公演の最終公演。
ところで東京ではボリショイ・バレエ&マリインスキー・バレエのA Programが30日にあったはずですよね。
東京特派員の皆様よりの寄稿をお待ちしております。。。
ボリショイ ロンドン公演(at London Coliseum)
18 Aug 2007 夜公演
「The Bright Stream」アレクセイ・ラトマンスキー振付
ズィーナ:スヴェトラーナ・ルンキナ
ピョートル:ウラディミール・ネポロージニ
バレリーナ:マリア・アレクサンドローワ
古典ダンサー:セルゲイ・フィーリン
アコーディオン奏者:ゲンナディ・ヤニン
いよいよ最終公演!
ロンドンでは近年いつもボリショイの到着と共に真夏日の快晴が続き、またボリショイが帰る頃には気温がぐっと低くなり、雨が多くなる。今年も例外ではなかった。この2-3日肌寒くなり雨も降ったり止んだり・・・
アレクサンドローワとフィーリンが組む舞台は、見ていていつも心地よく楽しいので好き。2人の明るい笑顔で舞台も華やかになり、コールドのダンサーたちまでも楽しんでいるよう。対するネポロージニとルンキナはどちらかと言うと大人しい雰囲気のダンサーたちだが、ルンキナは役柄に合っているし、ネポロージニも「兄ちゃん」という雰囲気で意外と弾けてくれた。
フィーリンは一幕目の最初何故かお似合いのベレー帽を被っていなかったが、途中から被っていた。彼のこの演目での服装は両方とも好きで、ベレーの時はいたずらっぽい少年のように見えるし、白いドレスのときは胸から肩にかけての厚みが強調され、普段よりも男らしくなってしまう逆効果が面白い。
アレクサンドローワは男装が良く似合って頼もしい。演目を楽しんで踊り、演じている様子が観客にも良く伝わってくる。また、ルンキナの演ずるズィーナに対しても本当に優しい。片や成功した華やかバレリーナ、片や平凡な生活を送る女性という登場人物にふさわしい配役だと思う。2人が一緒に踊る場面では、プリンシパルである2人のそれぞれに豊かな腕や脚のムーブメントを見比べてしまう。うっとり。
フィーリンのバレリーナ姿は何度も笑いを誘うが、ポーズや女っぽい視線の使い方が美しいので、時々ハッとするぐらい・・・研究もかなりしているのだろう。
ヤニンのアコーディオン奏者、ボローティンのトラクター運転手、ロパレヴィッチの老人役など、役柄に徹するダンサー達の活躍で舞台を盛り上げてくれた。
ショスタコーヴィッチの音楽が隅々まで活かされている。
最終日というのに、客席に空きがかなりあった。どの日でも満席の一番安価な席のあるバルコニー階ですら、1/4ぐらい空いていたので驚いた・・・ まぁ、他のバレエよりも時間的にかなり短いのにフル・プライスだったので、高すぎたと思う・・・
観客は少なかったものの、バレエやボリショイを愛する人たちが集まっていたお陰で、観客のノリは良く、笑いや拍手もちゃんとタイミングに合わせていた。
カーテン・コールではラトマンスキーも登場。3週間のロンドン公演に別れを告げる。舞台上の皆は良い顔で手を振ってくれた。客席から投げられる花束を、アレクサンドローワを筆頭に、逆に客席に投げ返したりしてはしゃいでいた。フィーリンは「胸が一杯です。有難う!」のジェスチャーを何度もしていて、感激していたように見えた。
幕前カーテンコールでは、膝を付いて女性ダンサーを立てようとするフィーリンがルンキナとアレクサンドローワに全く気が付いてもらえず(本来なら手を差し出してキスをもらうのに)途方に暮れる・・・ 幕の中に入ってゆく際に気が付いたアレクサンドローワは、フィーリンをからかう様に「そのまま一人で膝付いていなさい~」と言ったしぐさで笑いながら去ってしまう。ネポロージニが同情した表情を見せて去り、最後残されたフィーリンは肩をすくめて「あ~あ」と言った様子で観客から笑いを取った。最後まで楽しませてくれた。
楽屋口では、ファンとダンサーのお別れもあればファン同士のお別れの言葉も交わされた。バレエの時にしかロンドンで会うことの無いヨーロッパ在住の人たち。名前も知らないままで終わる事もある。バレエ、とりわけボリショイを愛すると言う共通点でつながっているのみ。次のトリノやパリ公演は追うのか等、もう今からボリショイの不在に涙しているファン達。皆熱い・・・!次のロンドン公演は早くて2009年、遅くて2010年。
ロンドンで言えば、2008年2月のリエパ・ガラに一部のボリショイ・ダンサーが参加するので、こちらも要チェック!
ボリショイの皆さん、お疲れ様でした~。素晴らしい引越し公演に心より感謝!
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