ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

La Fille Mal Gardee 「リーズの結婚」ーMay26 Matinee-

2007年06月15日 | Weblog

昨日のシルフィーダに続き引き続き寄稿頂きました。管理人もこの日のマチネは1幕だけ見たのですがジャパンクラブのソフトボール大会参加の為泣く泣く1幕だけで抜けたのでカテコは撮影できませんでした。この日の夜はMoscow Oratrioのコンサート本番でしたからソワレも見ておりません。

この日はコーラス役を昼はデニス・メドヴェージェフ、夜はヤン・ゴドフスキーが踊るということで、この2人のダンサーに注目していました。 普段「白鳥の湖」の道化、「真夏の夜の夢」のパックなど役を分けたり、「シンデレラ」、「ファラオの娘 」など同じ演目に出て、対をなして踊る事の多いデニスとヤン2人 はキャラクター役を踊る事が多く、 本拠地ロシアですら全幕主役を務める機会は年に何度もなく、モスクワ入りしなければ見ることが不可能でした。

海外公演には持っていかない英ロイヤル・バレエのアシュトン版をボリショイで見るのも初めてでした。イギリスならではの、マイムの多いバレエが、ロシアのバレエ団でどのように表現されるのかも興味がありました。

 5月 26日 (マチネ) リーズの結婚

 リーズ:アナスターシア・ガリチャエワ

コーラス:デニス・メドヴェージェフ

アラン:ゲンナディー・ヤニン

シモーヌ:アレクサンダー・ペトゥコフ リーズ役のガリチャエワは、この演目のプログラムにほとんど彼女の写真が使われている事から、以前からこの役をレギュラーで踊っている様子。私には馴染みの無いダンサーでした。どちらかと言うと控えめな雰囲気のバレリーナでした。おてんばで母親を困らせる役を、優しく少しシャイな女の子の雰囲気で演じました。

コーラス役のデニスは、その持ち前の明るいキャラクターで、彼が登場すると太陽の光が差し花々が開花するような、温かく明るい空気で舞台を満たしてくれました。

この演目には実にふさわしいキャラクターです。主役の2人は共に瞳が大きく、笑顔が自然に溢れる「かわいい」ペアでお似合いでした。 やや小ぶりの2人ではありますが、デニスはリフトも高く、細やかな気配りをガリチャエワにしており、息の合った二人の踊りで全く身長のことは気になりませんでした。 幕の最初から元気に跳ね回り、スピードのある技を見せるコーラスと、ちょこまか走り回るリーズですが、リボンを使ってのパドゥドゥの場面では打って変わって、実に優雅で、美しい踊りを披露してくれました。この演目の中では私の大好きな場面です。様々な形に変化するリボンの隙間から、優しく見詰め合い微笑み合う二人。恋に満ちた雰囲気が伝わってきました。

特にデニスのほうは、覗き込むようにリーズに微笑みかけ、優しく恋人に接します。手先の表情や首から背中の表情が非常に上品なので、クラシックな雰囲気をかもし出します。少しパフ・スリーブのブラウスや、ゴブラン風のベストが彼にはお似合いです。

ガリチャエワ はアームスの動きが柔らかで、ふんわりと、音楽を端から端まで使って踊る、女性らしい古典的なダンサーです。 主役の2人は、ソロでジャンプしていようが回転していようが、笑顔を絶やす事が全くないのは「天然」なのでしょう。そんな2人はコールドのダンサー達からも実際評判が良いのかと思えるほど、メイポールやその他場面でも、みなが楽しく踊り2人を応援しているようにも見えました。

 舞台を盛り上げてくれるのはリーズの母親シモーヌと、リーズの許婚になるアラン。ボリショイ・バレエの強みは、このようなキャラクター・ダンサーに恵まれている事。 特にこの日は昼にゲンナディー・ヤニンをアラン役で、夜に母親シモーヌ役で見ることが出来たのも醍醐味でした。今では団長も務めるベテランの彼はモスクワでは非常に人気があるようで、

昼も夜も主役に負けない量の花束をもらっていました。とにかく、自分の出番の「見せ方」をよく心得ているダンサーで、笑いを取るタイミング、七変化する表情、メリハリのある動きも絶妙です。どの役で出ても存在感があります。 最後に出てくる村の公証人とその秘書の役で、普段はコールドで踊っているシマチェフ兄弟が演じているのも微笑ましかったです。踊る役ではありませんが、なかなか良い味を出していました。

ボリショイでは、「リーズの結婚」でも本物のロバを登場させるのも凄い! 

カテコ動画
LE1

LE2
LE3

写真
. s-P1010712
. s-P1010713
. s-P1010714
. s-P1010715
. s-P1010719

 



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
画像やレポートありがとうございました ()
2007-06-15 07:14:03
管理人様、そして寄稿者の方

詳細なレポートありがとうございました。

私もこの日はできれば昼夜と観たかったのですが、どちらも観れず残念でした。

英国ロイヤル版ですが、ユーモアのセンスのあるロシア人ダンサー達の方が、実はこのバレエでは笑わせてくれるのではないでしょうか?

メドヴェージェフ、ゴドフスキー、ヤッツェンコは様々な役柄をしっかり自分の色に染めて披露する芸達者で素晴らしいダンサー達だと思います。

そしてとどめはヤニンの怪演だったのでしょうね。

返信する
ですね (管理人)
2007-06-15 12:49:33
叶さん
一幕だけでした見る事が出来なかったのですがヤニンの怪演は十分に楽しめましたよ。
返信する

コメントを投稿