
Nさんから新国立劇場バレエ団のアンナ・カレーニナの初日の寄稿
頂きました。誠にありがとうございます。
このところ福岡市への引越しで自宅のインターネット環境が整うまで
時間掛かりUPが遅くなった事Nさん申しわけありません。
新国立劇場バレエ団『アンナ・カレーニナ』初日
3月21日(日)
アンナ:ニーナ・ズミエヴェッツ
カレーニン:セルゲイ・ヴォロブーエフ
ヴロンスキー:オレグ・ガブィシェフ
キティ:堀口純
初めて鑑賞するエイフマン作品、
期待に胸を膨らませ劇場へ出向いた。
まず、アンナ役のニーナ・ズミエヴェッツの存在感が圧倒的であった。
コンテンポラリー作品をたくさん踊っているだけあって
筋肉がしっかりとつき、申し分ない身体能力をこれでもかと駆使して
物語を牽引していた。
全編通して踊りっぱなしにも関わらず、スタミナが全く切れない。
表現力もまた豊かで、
息子セリョージャに対する母親らしい優しさ、
夫カレーニンと若き軍人ヴロンスキーの間で揺れ動く心を
丁寧に、そして力強く表現していた。
カレーニン役のセルゲイ・ヴォロブーエフは
青年への愛に突っ走ってしまう妻の夫として、
やりきれない思いをしっかりと体現していた。
ヴロンスキー役のオレグ・ガブィシェフは、
アンナに出会う前の明るさと、出会った後の深く悩める姿が際立ち、
アンナに魅かれていく様を鮮やかに描き出していた。
また、ヴォロブーエフ、ガブィシェフともに、
身体がどうなっているのかわからぬ
見たこともないような複雑なリフトを次々と難なくこなし、
終始驚かせるばかりであった。
キティ役の堀口さんは、出番は少ないながら、
透明感のある輝きが印象深く、
アンナの元へ行ってしまうヴロンスキーに対する悲しみが
全身から表れていた。
ガブィシェフとのパートナーリングもよく仕上がっていた。
そして忘れてならないのが、
新国立劇場のダンサー達の群舞である。
とにかく動く・動く・動く!!
身体がねじれてしまいそうな激しく力強い振付を見事にこなしていた。
中でも、アンナの最期である列車事故の場面は圧巻であった。
古典バレエでは群舞といえば女性の活躍が目立つが、
この作品では男性のみの群舞もあちこちの場面にあり、
男性ダンサーのレベルの高さを改めて感じさせてくれたことも
嬉しい収穫であった。
彼らの潜在能力を十二分に引き出してくれたエイフマン氏に
心から感謝したい。
音楽は、チャイコフスキーの様々曲が
散りばめられていて、聴き応えがある。
選曲がまたとても良く、切り貼りした感じがほとんどしない。
原作は主要な4人のほかにも
様々な人物や彼らを取り巻く出来事が緻密に描かれた長編大作である。
しかしエイフマン版ではあくまでも焦点は
アンナ、カレーニン、ヴロンスキーの3人に当てられ、
彼らの人間関係が浮き彫りになっていて分かりやすい。
加えて先述した迫力満点の群舞の見どころが要所要所にあるため、
最後まで飽きさせない。
是非とも、多くの方にご覧いただきたい作品である。
迷っていらっしゃる方は、どうぞ劇場へ!
本日(22日)は日本人キャスト(厚木さん、山本さん、貝川さん)の鑑賞日である。
3人がどう踊るのか、非常に楽しみである。
2週間に及んだサンクトペテルブルクでの稽古の成果に期待したい。
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