ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

ボリショイバレエ セミョーノワ記念公演 2008年6月13日「バヤデルカ」

2008年07月17日 | Weblog

 モスクワ特派員Hさんよりの寄稿の続きです。セミョーノワ記念公演 2008年6月13日「バヤデルカ」です。(写真も)


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ニキア: ナジェジダ・グラチョーワ
ソロル: ニコライ・ツィスカリーゼ
ガムザッティ: マリア・アレクサンドロワ

素晴らしい公演!!!
グラチョーワのいつにもましての魂のこもった演技と
それを体現できる技術に酔いしれました。
アレクサンドロワのガムザッティは久しぶりに観ましたが、
以前より王女としての威厳・貫禄があり素敵でした。
ちなみにグラチョーワの髪飾りが豪華になっていた(1幕、3幕)
ような気がします。
ツィスカリーゼも当たり役なのでよかったのですが、何度か
踊りが音楽と合わない(指揮者のせい?!)ことがあり、
ちょっとかわいそうでした。



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2 コメント

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生ける伝説セミョーノワ (Nana)
2008-07-21 18:03:37
モスクワのHさまよりの一連の投稿、遅まきながら拝見しました。これらが入って、ようやく「ボリショイ劇場観劇記」らしくなりました。セミョーノワ記念公演は、注目公演であり、日本語の公演評も出ていないので、取り上げられて良かったです。

《カテコ写真と舞台の上の空気のこと》

貴ブログの、ボリショイ劇場のこういうカテコ写真に思うのは、「舞台の上の空気」が写真で見ても感じられる事です。特にグラチョーワか、ウヴァーロフあたりが出ている舞台の(彼らの姿でなく)舞台の空気が、不思議な感じがします。ドライアイス撒いてるみたいなのが。幻想的で神秘的で、静謐な空間。

この二人に限らず、少し前の時代の舞台の映像にもそう思う時があるし、ザハロワはニキアの3幕で、そういう雰囲気を出す事があるように感じます。(この人のニキアには、マリインカの伝統が。)

このブログでバレエネタが尽きていた頃、手元の舞台写真(べノアガラの)を送ろうか迷ったのですが、プロの写真は、こういう空気までは写ってないのが大半で、H様の投稿があるなら、送らなくて良かったと思いました。

《セミョーノワ記念公演》
公演感想拝読し、大事な先生のお祝いだけに、それぞれの自慢のプログラムで来たのだと納得。

12日、ザハロワ、ウヴァーロフ グリゴロヴィチ版「白鳥」(悪の天才役が予定ベロゴロフツェフ→シュピレフスキーに。)
13日、グラチョーワ、ツィスカリーゼ同版「バヤデルカ」
14日ステパネンコ「ライモンダ」

*ステパネンコは、近年、脚の問題もあり、古典ではライモンダが一番良い様に思います。

《セミョーノワ》
マリーナ・セミョーノワ先生は、ロシアバレエの基本、ワガノワ・メソッドの創作者、アグリッピナ・ワガーノワの3人の弟子の一人とされ(昔の公演パンフの受売りです)、ロシア、ソ連バレエの権威と伝統の権化のようなエライ先生らしいので、ここは、ぜったいにいい公演にしなければいけないのだろうと想像していました。

(ちなみに後の二人はドゥジンスカヤ{ロパトキナ恩師}とウラーノワ{グラチョーワ、セメニャーカらの師}ですが、ウラノワは母ロマーノワにも師事していて、一枚落ちるとの考えもあるのかも)

《スケジュール》
スターのスケジュールは公演を見る上でチェック所ですが、セミョーノワ記念公演の初日を飾ったザハロワ、ウヴァーロフは、ここで、さぞかし拍手を浴びまくって、その後日本公演を迎えたのだろうと想像しています。

《観客論》
私がバレエサイトの公演感想に失望しているのは、なんだか見る側が公演の「判定者」になってしまっているような受け取られ方が多いのと、バレエサイトの公演感想には、観客論が根本的に欠落していることです。

それぞれの公演で、観客や質も違い、ダンサーにとって、要求されるものが微妙に違うと、私的には考えてます。

観客だけが「見る側」なのでなく、ダンサーもまた、観客を見て、客席の空気を感じています。

ザハロワ、ウヴァーロフにとっては、まずセミョーノワ・ガラ、そして24日の東京公演での「白鳥」は、高い水準を当然のように要求される舞台で、また拍手も盛大だったと思います。ただ、場が違うので、舞台の二人が感じた空気は、少し違っていたのじゃないとかと思っています。

あのクラスのプロになると(特にウヴァーロフ)見る側の嗜好に合わせる位のことは出来るので、演技で見る傾向のお客様と思えばそういうので見せるし、あっと言わせる技術が好きと思えば、そういうのをやります。ただ、それが全てかというと、別の引き出しも持っていたり。

ゼミョーノワ・ガラでは、きっとロシアのバレエ界の権威はこういうのを良しとする、という路線で上演したんじゃないかと思うし、或いはロシアン・ニューリチとか、そこの客層に合わせた内容かも知れないし。

東京公演の方は、お客さんは、このコンビを楽しみにしてるので、「期待に応える踊りをする」というのが第一義になっていたと思います。ザハロワは昔は生硬と言われましたが、それはなくなっていたけれど、私の嗜好から言えば、それがあった時の方がザハロワらしくて面白かったのです。24日二人の出会いのシーンは「高め安定」の表現であって、表現的な新味はなかったのですが(見ごたえは充分)、あの独特な客席の期待感の中、チケット買ったお客様の期待に必ず応える踊りを見せるのが、今のザハロワ、ウヴァーロフの素晴らしさなのだろうと思いました。

舞踊的には、別の時のザハロワ白鳥の方がより難しい踊り方をしていましたが、スターオーラと観客の熱さだけでも、それを上回るエキサイティングな舞台になっていました。ウヴァはチャレンジ精神溢れていて、公演が終わっても感動が残ったのは、ザハロワの無類の美よりもウヴァの面白さのほうでした。舞台を見ていた時は、とても興奮したザハロワの美しさが、あまり記憶に残ってないのはなぜか。美人は3日見ると飽きるのか?

百聞は一見にしかずで、その場に集った人にしか共有できないことがあるとも思っています。24日は、そういう、特別な公演でした。

この13日グラチョーワの公演は、日本の公演とは違い、ロシア舞踊界に認められたグラチョーワのバヤデルカとして、グラチョーワがホームグラウンドで安心して好演できる雰囲気があったのではないでしょうか。12日とは客層が若干違ったかもしれないと思っています。まず、セミョーノワ先生がメインでしょが、グラチョーワの芸術を愛好する、目の肥えたバレエ好きが集い、舞台の成功を熱く暖かく見守っていたことでしょう。グラチョーワの偉大さだけでなく、その芸術はそれを理解する観客あってのものだと、静謐な舞台写真から感じていました。
公演報ありがとうございました。
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いつもども (管理人)
2008-07-22 08:47:29
Nanaさん
いつもながら詳細なコメント恐れ入ります。
じっくり読ませていただきます。
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