歌:小金沢昇司
作詞:田久保真見・作曲:弦哲也
コートの襟を立て 背中を丸めて
北の最果て 日暮れも間近
どこへ行こうか ため息をつけば
別れたお前の 泣き顔が浮かぶ
あの日から あの日から
心は 冬のまま
約40年連れ添った夫は2年前に亡くなった。
持ち家で息子夫婦と暮らしていたが今年1月、
家を出ることを決めた。
「すぐに新居は決まるだろう」。そう考えていたが現実は違った。
片足に持病があり、エレベーター付き物件をインターネット
で探し、不動産店に連絡を取った。
「そこは大家さんが受け入れてくれない」
「1人暮らしは何かあったら困る」-。
見つけた二十数戸は高齢を理由に全て拒否された。
家賃の安い公営住宅への入居も考えた。
しかし、住み慣れた地域にはなく、諦めた。
物件を探して約1カ月半。ようやく知人の不動産店が
紹介した1DKのアパートに入居できた。
収入は国民年金と夫の遺族年金から介護保険料が天引き
されて月約14万円。6万5千円の家賃は重くのしかかる。
生活費を支払うと残りはほぼゼロ。
食費は1日千円以内に抑えている。「切り詰めても、
家賃だけはどうにもならない」 医療費も悩みの種だ。
月ごとの自己負担分は、高額療養費制度で上限が
設けられている。国は医療費削減を目指し、
70歳以上の上限を2017年から引き上げた。
女性の上限額は1万8千円(年間上限額は14万4千円)。
足の通院を思うと、将来の不安は募る。
「医療費まで増えると、もっと家賃の安い家に引っ越さ
ないと」とつぶやく。
高齢単身世帯は25年に751万人に増える見通しだ。
国の18年度の調査では賃貸住宅で暮らす高齢単身世帯
は33・5%。
住宅に困窮する高齢者は増えていく。
国土交通省が主管する公営住宅は本来、
困窮者のための住まいのセーフティーネットだが、
役割を果たしきれていない。
住みやすい物件で募集が出ても、倍率は高い。
一方、全国214万戸の約7割が築30年以上で、
空室が出るなど公営住宅は二極化している。
京都市営住宅(約2万3千戸)は4割近い約8800戸に
エレベーターがなく、約5千戸は浴室がない。
政府は家賃基準を応能応益負担などに変え、
世帯収入の壁で成人した子世代と暮らしづらい場合がある。
阪神大震災後の復興住宅で高齢者と貧困世帯ばかりの
高層ビル群が生じたように、公営住宅が困窮者ばかりだと、
世代間交流も多様性もない街になってしまう。
国は17年の改正住宅セーフティーネット法で、
高齢者や低所得者ら住宅確保要配慮者を支える制度
を開始。
入居を拒まない物件情報がサイト上に集約され、
登録数は全国約62万戸
(京都府約1万2千戸、滋賀県約1万戸)に上る。
しかし、即入居物件は限られ、国や自治体から
家賃補助を受けられる物件は1%未満だ。
「家賃支援の制度は乏しい。年金受給者の予算に
合った物件を探すのは苦労する」。
西京区の不動産会社「たてものがかり」社長の山口傑さん
(53)は打ち明ける。同社は福祉事業所などと連携し、
高齢者の住む場所をあっせんしてきた。
入居後の見守りやサポートを担う居住支援法人も
増えつつあるが、孤独死のリスクがあるとして、
高齢者の入居を断る大家もいるという。
山口さんは指摘する。「家を貸す側のデメリットを解消する
支援策も必要だ。
そうしなければ入居者を受け入れてくれる大家は
増えないだろう」
60歳以上の単身者が、サ高住へ入居する理由とは?
なぜ、ずっと持ち家(自宅)に住んでいた人が60歳以上になると、
単身でサ高住(賃貸)に入居するようになるのでしょうか。
“持ち家率”
世帯主(家族と住む60歳以上の人)だと、持ち家率は82.7%。
しかし、60歳以上の単身者となると、持ち家率は65.6%まで
下がり、減少傾向になっています。
つまり、残りの60歳以上の単身者は賃貸などに住んでいる
ことになります。
持ち家からサ高住に移り住む理由とは?
1:緊急時の対応に不安を感じたため
2:老後への不安
3:転倒・転落(例:階段から落ちた)し、入院。退院後の
緊急時の対応に対する不安
4:体調不良により入院。退院後に、一人で生活すること
に対する不安。
サ高住に住むメリットとは?
サ高住は、賃貸として借りるため金銭面での負担が少ない
ところがメリットです。
老人ホームのように入居金などの大きな費用がかかることは
ありません。
セキュリティも万全なので、安心感がありますね。
外出も自由、お買い物も自由。居室のプライバシーは守られ、
キッチンで自炊もできます。
食堂も併設されていているため、栄養バランスが考慮された
お食事を楽しみつつ、入居している方々とコミュニケーション
をとることもできます。
これまでの自宅での暮らしを、安心・安全のサービスが整った
環境で継続できるのがサ高住なのです。
家族に心配をかけたくない・一人暮らしが不安という高齢者
にとって「快適な住まい」であるサ高住のニーズは、
今後一段と高まることでしょう。 …
provider:シニアNEWS・編集部 小窓まどか
横浜市の旧大口病院で2016年、入院患者3人の点滴に
消毒液を混入して殺害した殺人罪などに問われている
元看護師、久保木愛弓(あゆみ)被告(34)。
10月22日、横浜地裁で裁判員裁判の公判が開かれ、
検察は死刑を求刑した。
「過干渉って感じだった」と家族が語る
「ボーナスもらってから辞めれば」
何気なく発した母親の一言から、程なくして…。
10月6日の公判では久保木の父親が出廷したほか、
母親の供述調書が読み上げられた。
母親の供述調書によると、久保木は16年5月、
「同僚のエプロンが切られていた」と報告。
翌6月には電話で「エプロンの事件が怖いから辞めようかな」
とも告げていた。
母親は退職には賛成したものの、とっさにボーナスのこと
が頭に浮かび、働き続けるようアドバイスしたという。
が、 「久保木は直後の16年7月中旬から、患者の点滴袋
に消毒液の混入を繰り返していたとされます。
捜査段階では『20人くらいやった』と供述していましたが、
殺人罪で立件されたのは、証拠が確実な3人の殺害でした」
父親への証人尋問で初めて明かされたのは、
久保木と母親の距離感だ。
思春期には父親が子育てに関わらなくなったのに対し、
母親は「過干渉って感じだった」(父親)。
持ち物検査や小遣いのチェックが厳しく、高校時代には
反発して本を投げ捨てたこともあったという。
久保木は医療事務職を希望していたが、
「手に職を付けた方がいい」と言われるまま看護学校
に進学。
就職後も、母親が毎月のように寮の部屋の掃除に
訪れていた。
母親は娘の頬を平手打ちして抱きしめ…
「久保木は16年9月の事件発覚後、報道が落ち着いた
タイミングで実家に戻りました。
両親から『愛弓じゃないよね?』と問われると、
『違う』と首を振ってみせた。
報道陣への恐怖感はありつつも、普段と変わらない
様子だったといいます」
だが、18年6月、神奈川県警の聴取に犯行を自白。
ホテルの一室で面会した母親は頬を平手打ちして
抱きしめ、「信じていたのに」と詰ると、 久保木は
「ごめんなさい」と泣き崩れた。
その日、二段ベッドで両親と一緒に眠り、過去に患者の
家族から責められた経験を初めて語ったのだった。
ただ、「事件を起こす前に辞めればよかったのに」
という母親の言葉には無言のまま。
翌朝には「全て話してきます」と告げて部屋を後にしたという。
「公判では、両親が被告の結婚式の費用として貯めていた
300万円を遺族への賠償金に充てたことも明かされました」
弁護側は犯行当時、被告が統合失調症の影響による
心神耗弱状態だったと主張しているが、
立件された範囲だけでも僅か数日間に患者3人の命が
次々と奪われており、検察側は求刑で極刑を選択した。
…
時は絶えず流れ、今、微笑む花も、明日には枯れる・…
しかし、枯れない花はないが、咲かない花はある......。