Mouton lab

Thai Paris Cairns Chendeu Siem reap

青く冷えてく東京

2016-06-30 21:06:04 | Tokyo
「新宿は豪雨」とか言って喜んでるうちはまだまだ田舎者だと思う。

でも本当に新宿に行って豪雨だと、アッと思うではないか。

「歌舞伎町の女王はどこだ」と意気込み、東口を出ても、会うのは客引きばかり。

池袋で飲んでも、終電までには帰る。



「だって面倒くさいじゃん」



今年で三回目の三回生を迎える、高校の同期であり、今回の宿の主である、私の友人の言葉だ。

彼は朝起きることができず、当然授業に出席することもできず、一留の男になった。

そして翌年、"授業に出るため"というだけの理由で早朝のバイトを始め、この作戦が効を奏したのか、思いのほか順調に授業に出席し続けた。

下手に泊まりに行こうものなら、朝4:30に叩き起こされ、出勤に合わせて一緒に家を追い出される、という気合いの入りっぷりである。

今年はいけるぞ。

誰もがそう思っていた。

しかしながら、「テスト期間だから」という謎の理由で試験の日にバイトを入れず、当然朝起きることができず、結果彼は二留した。



三回生三年目の夏、今年はどうかと訪問してみると、なんとバイトリーダーに昇格していた。

単位の方は大丈夫か、と訪ねると
「クォーターフルでフィフティーフィフティー」

翻訳すると
「このタームの授業を全部クリアしても、50%の確率で留年する」

つまり、やばい。


朝はちゃんと起きれているのに、なぜ授業に行けないんだ?
という議論に当然なるわけだが、そこで彼が発した言葉が




「だって面倒くさいじゃん」



であった。



世の中には、それを言ったら終わりだという言葉やタイミングがいくつかあるが、正にそんな感じの発言だ。

思わずツッコんでしまう。

ただ、彼は悩み、考え、どうにかこの状況を改善しようとしていた。

何とか打破できないかと思いあぐねていた。

多分、人よりちょっと時間がかかっているだけで、きっと上手く解決するだろう。

そういうことって、よくある。




彼ほどではないにせよ、私もかなりの引きこもり体質なので、外に出るのが面倒くさくなることが多々ある。

ただ、口にした約束を必ず守ることに関しては自信があるので、えいやっと予定を入れてしまえば、こっちのものである。


今回もバカみたいに予定を詰め、様々な集まりに顔を出し、様々な人の人生に口を突っ込み、自分の下らない話もたくさん披露してきた。

多分コミュ力1ヶ月分は消費しただろう。

慣れないことをすると当然、疲れる。

けれども、その分感じるところも多い。



東京は

良く言えば
"グローバル化した街"

悪く言えば
"United states of 田舎者"

だと思う。

俺は大阪、私は福岡、俺は北海道、私はチャイナといった感じで、あらゆる所から来た人がUnitedされている。




何のために?




夢を語るためだ。




面倒くさい、億劫だというハードルを越えて、えいやっ、と一歩踏み出した人達が集まっている。

そして各々何かしら一歩踏み出した理由とか背景があって、何事に対しても積極的だ。


だから完全に停滞して、みんなが守りに入っている今の環境から出てくると、とても刺激を受ける。




けれども、と思う。



けれども、全部が全部本物ではない。

選択肢がたくさんありすぎで、何を決めるにも考えなければならないし、数が多い分、偽物がよく混じっている。

そうなるとつい、自分を大きく見せてしまう。



僕は今、自分が少し偉そうだと思う。

そしてそんな自分をあんまり良くないなぁと思う。

自分をアピールするため、あるいは人を守るために必要な"偉さ"みたいなものは確かにある。

組織にいると、自分を大きく見せないと、議論ができない場面も多い。

けれども、それを差し引いてなお、余りある偉さは悪影響だ。

人にあたるというのも格好よくない。

環境の影響はあるにせよ、気を付けないとな。



下らない話をしすぎた反動からか、そんな思いで静かに都会の朝をむかえたのだが

当然のように寝坊して一限をあきらめ、爽やかにモーニングをいただきながら

「二限も面倒くさいなぁ。サボろうなかぁ」

と言う友人を見て

「お前みたいなやつが、面倒くさくなって選挙に行かなかったから、イギリスはEU離脱ちゃったんだよ。ちょっとは世界のことも考えろよ」

と、つい偉そうになり、八つ当たりをしてしまった。

Q.E.D.