ハイデッガー
仕事に追われた日の夜は難しい本を読む、十数年来の習慣だ。理由は深く詮索しない。若かりし頃に活字に飢えているのに本を買えない時期が数年続いた、その時の飢餓感のなせる業なのじゃないのかと、それ以上は深く考えないようにしている。
仕事を終えて本屋に立ち寄って、難しい本を物色していたらハイデッガーの「形而上学入門」が目に留まった。「存在と時間」は何度読んでも解らない。もっと易しく書けないのか、もっとうまく翻訳できないのかと少々苛立っていた。
「形而上学入門」は、形而上学入門と題する講義の口述記録を、内容上の変更を加えないで、長文を分解し、段落を増やし、繰り返しを削り、不注意な誤りを除き、曖昧なところを明確にしたうえで印刷された。ハイデッガーの著作にしては読みやすい。
『Ⅳ 存在の限定の3 存在と思考』から読みはじめ、『Ⅲ 存在の本質についての問い』に戻って読む予定だ。この手の本ばかり読んでいると、わたしは何をしているのだろうか、なぜ取り憑かれているのだろうかと考え込むことがある。