山々が色づいて、灰褐色の里は枯れてゆく。黄金色の大空の下で11月が暮れた。無人の野菜販売所で大きくて白いカブをひとつと、小ぶりで赤いカブをふたつ買った。たまたま、近くで出会った販売所のオーナー農家の主にイチジクはもう取れないのかと問うと、販売所にイチジクを並べておくことを約束してくれた。
わが家の先にある高校の沿道が愛犬で老犬の「ごんた」との散歩道になっている。その林と校舎に挟まれた昼でも薄暗い隘路沿いに椎の大木が数本あって、道には黒い椎の実がたくさん落ちている。数日前の休暇の日に椎の実をふた握りほど拾い集めて日に数個ずつ口にしている。小さな実なので食べにくい。味は栗に似ている。
イチジクにザクロ、アケビに栗、とうとう椎の実まで満喫したわたしの心は小学生のころを思いだしている。