(有)村田牧場通信

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【セプテンバーセール №543】ビッグテンビーの2019(牡 父ディーマジェスティ)

2020年09月14日 | セール上場馬
9月24日のセプテンバーセール第3日目には、当場から3頭の生産馬を上場予定ですが、今回は№543ビッグテンビーの2019を紹介させていただきます。

本馬の牝系解説文はこちらからご参照ください。















本馬は当場1歳分場にてセリ馴致中です。

ビッグテンビー産駒らしく、小柄ながらも柔軟性があって機敏な動きをする馬です。

前向きで気の強い気性なのも、このきょうだいらしい特徴です。

当場の1歳馬に対するセリ馴致は、毎日昼夜放牧をしながら引き運動やウォーキングマシンに入れて馴致するというスタイルなのですが、本馬も同じ過程でここまで来ています。


父のディーマジェスティは、本馬を含む1歳馬が初年度産駒になります。

近親にはG1スプリンターズS勝ち馬タワーオブロンドンや仏G1勝ち馬Sobetsuなどがいて、母系は欧州の名牝系であるMargarethenに遡ります。

当場もこの牝系が好きで、実際にディーマジェスティの種牡馬シンジケートに参加しているほか、当場生産馬のなかでは南関東重賞を4勝したセレンもMargarethenの牝系出身です。

このディーマジェスティとセレンは血統パターンに類似点があります。





いずれもサンデー系×ブライアンズタイム系牝馬の配合であり、上記5代表ではわかりづらいですが、ディーマジェスティの4代母とセレンの5代母がいずれもMargarethenという関係になります。

この配合からはサンデー系が伝える素軽さや瞬発力、そしてブライアンズタイム系が伝えるパワーや底力といった特徴が伝えられるようです。


本馬の母ビッグテンビーは、代表産駒のG1勝ち馬ローレルゲレイロをはじめ、競走年齢に達した13頭の産駒のうち10頭がJRAで勝ち馬になっています。

また、10頭の勝ち馬のうち6頭の血統にはNorthern Dancer+Nearco/Prince Roseの組み合わせから成る血脈が父方に含まれています。

これらの勝ち馬たちの血統においてはダンシングブレーヴやSingspiel、ラストタイクーンといった血脈がこれに該当します。

本馬もその血統パターンを踏襲していて、父ディーマジェスティ内のAlzaoが同様の血脈ということになります。

本馬が属するモガミヒメの牝系出身の馬は、この「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseの組み合わせから成る血脈」を含む種牡馬と相性が良い傾向にあります。

最近では、当場生産馬でG2京都新聞杯を制したキズナ産駒のディープボンドが同様の血統パターンです。

キズナは「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseの組み合わせから成る血脈」を2本、すなわちAlzaoとStorm Catを持っています。

そして、ディープボンドはモガミヒメの牝系出身です。





年齢を考慮しても、繁殖牝馬ビッグテンビーにとって本馬が最後の産駒となる可能性があります。

母が高齢時の産駒ということになりますが、この牝系は例えば本馬の祖母モガミヒメが24歳時に産んだダンホーキラー号がJRAで新馬勝ちするなど、高齢になっても勝ち馬を出せるだけの活力があります。

ビッグテンビーの産駒らしい小柄な馬ですが、このきょうだい特有の丸味を帯びた張りのある馬体をキープしながら、セール当日に向けて仕上げていきたいと思っています。




当場生産馬のクイックレス号が雷光特別を快勝!

2020年09月06日 | セール上場馬
9月6日、新潟第12R雷光特別に当場生産馬のクイックレス号が出走しました。





【オータムセール上場に向けた当時の写真(1歳時)】



前走2着に来て1勝クラスでも通用することを証明したクイックレスは、このレースを3番人気で迎えます。

レースではスタートを普通に出ると、その後は先頭集団の後ろの位置に付けて、レース後半では手応え良く徐々にポジションを上げていきます。

そのまま先頭の馬群を捉えて抜け出す形になると、最後は2着馬に3/4馬身差を付けて優勝しました。

馬主様をはじめ関係者の皆さま優勝おめでとうございます。

本馬は2018年のオータムセールにて馬主様にご購買いただきました。

エスポワールシチー産駒は圧倒的にダートでの勝ち鞍が多いのですが、本馬は珍しく芝馬として頑張ってくれています。

当場が役員牧場を務める優駿SS繫養の種牡馬ということもあって、しばしば種付する機会がある種牡馬です。

今年は繁殖牝馬ハーランズワンダーが牡馬を出産していますし、来年には繁殖牝馬ジョワユーズがエスポワールシチーの仔を出産予定です。

エスポワールシチー自身はダートのマイル路線を中心に活躍しましたが、産駒は本馬のように短距離スピードに優れた馬もいれば、南関東の中距離路線で活躍する産駒も出す種牡馬です。

年々評価を高めている種牡馬であり、当場としては来年以降も力を入れたい種牡馬だと思っています。