「原発を見に行こう」上坂冬子著 1996年10月23日発行 78から79ページ
インドでの話し
原発で起きた事故についてのインドの対応についての件
上坂氏 「何ですって? トラブルを公表せず、握りつぶす事もあるんですか」
インド側の答え「ちがう! 重要度に応じて公表するという考え方だ。大した問題でもない物を片っ端から公表すれば、専門知識に乏しい住民の間に無用の混乱を招いて、かえって迷惑を掛けることもあり得るではないか。公表するかどうかは所長の権限だが、原則として発電所内部にしか影響の及ばないものは公表しない」
上坂氏
私もこの意見に必ずしも反対ではない。トラブルの全てを公表するのもいいけれど、私たちが知りたいのは差し当たって、それが人体に影響があるかないかだけだといっても過言ではない。
配管の部分にナトリウム漏れがあったなどと事細かに報道されても、確かに混乱するばかりだ。勉強不足をなじられるかもしれないが、私たちはそれぞれ本業の分野で勉強せねばならない問題を抱えており、原子力発電の安全性にのみかかわりあってはいられないというのもまた、偽りのないところである。できることなら細部は信頼でできる専門家に任せたい。原子力発電の安全性に関する問題は、究極的に国民として国家を信じるか否かにかかわってくるとさえ私は思っている。頭から国家を信じないというなら、何をかいわんやだ。
再度断っておくがこの文章は1996年に発行された物であります。
上坂冬子氏 生きておられたら今回の東電原発事故について何と言われた事でしょう。是非拝聴したかった。