教科書検定を非公開から、公開にして検定のあり方を根底から問うと何年も戦ってきたのに、教科書会社で作る教会が、文科省に静謐な環境での検定作業をと、非公開を要望していることが分かりました。
子どもと教科書全国ネットの事務局長俵さんの談話を転載しました。
【談話】教科書協会の検定審議非公開の要請に断固として抗議し、
検定審議過程をすべて公開することを要求する
2008年6月17日 子どもと教科書全国ネット21事務局長・俵 義文
教科書会社の業界団体である教科書協会は、08年6月16日、教科用図書検定調査審議会(以下、検定審議会)の意見聴取に対して、「『審議過程での公開は避け、検定決定後に行われるべきだ』とし、現状通り非公開で審議し、決定後に議事録を公開するよう求めた。さらに『執筆者を含め、検定にかかわるものは守秘義務を果たすべきだ』とし、従来の検定審委員や教科書会社だけでなく執筆者にも守秘義務を課すことを求めた。同内容を文書でも提出した」(琉球新報08年6月17日)ということである。
この意見聴取は、07年12月26日に渡海紀三朗文部科学大臣が、「透明性の向上」など検定制度改善について、今年夏までをめどに検定審議会で検討することに言及し、渡海文科相の諮問を受けて、検定審議会が、08年2月28日の総会で、検定制度の透明化について改善策を検討することを決め、作業部会で検討していた問題にかかわるものである。
そもそも、今回、渡海文科相が求め、検定審議会が検定の透明化などの改善を検討しているのは、06年~07年の沖縄戦検定問題において、検定審議会の確認を超えて、教科書調査官が「軍強制」を認めないという間違った検定意見を付けたことが発端である。検定の密室性がそのような間違った検定意見を許したという、沖縄県民をはじめとした国民的な批判を受けて、検定審議会が「透明性の向上」を検討しているのである。
教科書協会の要請は、今回の検定制度見直しの目的である「透明性の向上」に反するだけでなく、「検定の透明性の強化」という沖縄県民や教科書執筆者をはじめとした社会的要求にまったく逆行する、許しがたい主張である。現行の非公開を維持するだけでなく、さらに、執筆者にまで「守秘義務」を課すことになれば、検定はますます密室化することは火を見るよりも明らかである。
教科書協会は「平穏な環境を保持し、予断や憶測などの流布を防止し、公正中立な審議が確保されなければならない」と主張しているが、これは検定の密室化のための口実にすぎない。密室検定の中で、「公正中立な審議が確保され」ず、教科書調査官による恣意的な検定がまかり通っててきたことに対する反省こそが、いま求められているのである。
文科省は、検定を非公開にしてきた理由として、「検定は静ひつな環境で行う必要がある」と主張してきた。しかし、審議中に外部から様々な意見や情報がよせられるのはどの審議会でも同様である。中教審に対しても、審議中にマスメディアを含めて様々な意見や情報が出される。検定審議会だけが「静ひつな環境が必要」というのは理由にならない。むしろ、市民が見守る中で検定が行われれば、委員も慎重に審議を行い、沖縄戦検定のような間違った検定意見を付けることがさけられたと思われる。
私たちは、検定の密室性をなくすためには審議会の公開だけでは不十分である。検定申請図書(白表紙本)の公開をはじめ、検定に関わる資料をできるだけ早く公開する、できれば、出版社が検定申請したらすぐに、「わが社はこのような教科書を検定申請しました」と公開し、市民が見守る中で検定が行われるようにすべきである。子どもと教科書全国ネット21、大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会の会、沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会、大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会の4者は、08年4月25日、渡海文科相宛てに次のような検定公開を含む「当面の教科書検定制度改革についての要求」を提出し、5月半ばに全検定審議会委員に送り届けている。
「Ⅲ.検定の公開に関すること
1)検定申請図書(白表紙本)を申請時から公開し、広く意見を聞いて検定に反映させるようにすること。
2)検定審議会の審議については、中央教育審議会同様に傍聴を認め、部会・小委員会も含めてすべて(経過や関係資料など)公開すること。
3)検定中であっても検定意見など検定に関する資料を公開するか、又は出版社が公開することを妨げないこと。」
私たちは、教科書協会の「非公開要請」に対して断固として抗議し、要請の撤回を要求する。また、検定審議会が上記要求を提出した諸団体や教科書執筆者、教科書出版労働者からも意見聴取を行い、教科書協会の時代錯誤の要求に動かされることなく、上記要求も踏まえて、検定の透明性をはじめとした検定制度の抜本的な改革を進めるよう求めるものである。
以上。
子どもと教科書全国ネット21
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2-6-1 小宮山ビル201
℡:03-3265-7606 Fax:03-3239-8590
子どもと教科書全国ネット21
Children and Textbooks Japan Network21(CTJN21)
E-mail kyokashonet@a.email.ne.jp
HP http://www.ne.jp/asahi/kyokasho/net21/
℡:03-3265-7606 Fax:03-3239-8590
ーーーーー
=琉球新報の社説=
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-133262-storytopic-11.html
■社説 教科書検定 審議公開で透明化促進を
2008年6月18日
子どもと教科書全国ネットの事務局長俵さんの談話を転載しました。
【談話】教科書協会の検定審議非公開の要請に断固として抗議し、
検定審議過程をすべて公開することを要求する
2008年6月17日 子どもと教科書全国ネット21事務局長・俵 義文
教科書会社の業界団体である教科書協会は、08年6月16日、教科用図書検定調査審議会(以下、検定審議会)の意見聴取に対して、「『審議過程での公開は避け、検定決定後に行われるべきだ』とし、現状通り非公開で審議し、決定後に議事録を公開するよう求めた。さらに『執筆者を含め、検定にかかわるものは守秘義務を果たすべきだ』とし、従来の検定審委員や教科書会社だけでなく執筆者にも守秘義務を課すことを求めた。同内容を文書でも提出した」(琉球新報08年6月17日)ということである。
この意見聴取は、07年12月26日に渡海紀三朗文部科学大臣が、「透明性の向上」など検定制度改善について、今年夏までをめどに検定審議会で検討することに言及し、渡海文科相の諮問を受けて、検定審議会が、08年2月28日の総会で、検定制度の透明化について改善策を検討することを決め、作業部会で検討していた問題にかかわるものである。
そもそも、今回、渡海文科相が求め、検定審議会が検定の透明化などの改善を検討しているのは、06年~07年の沖縄戦検定問題において、検定審議会の確認を超えて、教科書調査官が「軍強制」を認めないという間違った検定意見を付けたことが発端である。検定の密室性がそのような間違った検定意見を許したという、沖縄県民をはじめとした国民的な批判を受けて、検定審議会が「透明性の向上」を検討しているのである。
教科書協会の要請は、今回の検定制度見直しの目的である「透明性の向上」に反するだけでなく、「検定の透明性の強化」という沖縄県民や教科書執筆者をはじめとした社会的要求にまったく逆行する、許しがたい主張である。現行の非公開を維持するだけでなく、さらに、執筆者にまで「守秘義務」を課すことになれば、検定はますます密室化することは火を見るよりも明らかである。
教科書協会は「平穏な環境を保持し、予断や憶測などの流布を防止し、公正中立な審議が確保されなければならない」と主張しているが、これは検定の密室化のための口実にすぎない。密室検定の中で、「公正中立な審議が確保され」ず、教科書調査官による恣意的な検定がまかり通っててきたことに対する反省こそが、いま求められているのである。
文科省は、検定を非公開にしてきた理由として、「検定は静ひつな環境で行う必要がある」と主張してきた。しかし、審議中に外部から様々な意見や情報がよせられるのはどの審議会でも同様である。中教審に対しても、審議中にマスメディアを含めて様々な意見や情報が出される。検定審議会だけが「静ひつな環境が必要」というのは理由にならない。むしろ、市民が見守る中で検定が行われれば、委員も慎重に審議を行い、沖縄戦検定のような間違った検定意見を付けることがさけられたと思われる。
私たちは、検定の密室性をなくすためには審議会の公開だけでは不十分である。検定申請図書(白表紙本)の公開をはじめ、検定に関わる資料をできるだけ早く公開する、できれば、出版社が検定申請したらすぐに、「わが社はこのような教科書を検定申請しました」と公開し、市民が見守る中で検定が行われるようにすべきである。子どもと教科書全国ネット21、大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会の会、沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会、大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会の4者は、08年4月25日、渡海文科相宛てに次のような検定公開を含む「当面の教科書検定制度改革についての要求」を提出し、5月半ばに全検定審議会委員に送り届けている。
「Ⅲ.検定の公開に関すること
1)検定申請図書(白表紙本)を申請時から公開し、広く意見を聞いて検定に反映させるようにすること。
2)検定審議会の審議については、中央教育審議会同様に傍聴を認め、部会・小委員会も含めてすべて(経過や関係資料など)公開すること。
3)検定中であっても検定意見など検定に関する資料を公開するか、又は出版社が公開することを妨げないこと。」
私たちは、教科書協会の「非公開要請」に対して断固として抗議し、要請の撤回を要求する。また、検定審議会が上記要求を提出した諸団体や教科書執筆者、教科書出版労働者からも意見聴取を行い、教科書協会の時代錯誤の要求に動かされることなく、上記要求も踏まえて、検定の透明性をはじめとした検定制度の抜本的な改革を進めるよう求めるものである。
以上。
子どもと教科書全国ネット21
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2-6-1 小宮山ビル201
℡:03-3265-7606 Fax:03-3239-8590
子どもと教科書全国ネット21
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E-mail kyokashonet@a.email.ne.jp
HP http://www.ne.jp/asahi/kyokasho/net21/
℡:03-3265-7606 Fax:03-3239-8590
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=琉球新報の社説=
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-133262-storytopic-11.html
■社説 教科書検定 審議公開で透明化促進を
2008年6月18日