人日や妻の床屋を神妙に 健人

2023年01月16日 | 俳句
 獅子吼1月号には、昨年10月15日に締切られた東花賞の審査結果が発表されました。私も20句から成る1作品を応募したので結果を見るのを楽しみにしていました。
 審査員は大野宗匠はじめ5名の方々で、お一人が特選2作品,秀逸2作品、入選2作品をを選んだ上で意見交換があり、東花賞1作品、佳作1作品が選出されました。私の作品は選外ではありましたが、審査員の特選1票,秀逸2票を頂くことができ、今の自分の力としては身に余る結果でした。頂いた講評も大変嬉しいものでした。

◇◇◆◆

軽い暈し   亀山健人

鍵を掛け心は秋の空に飛ぶ

スリットの窓は静かに小鳥来る

眼の老化耳の老化と秋深む

綿虫や行き逢ふ人と無駄話

年用意枝を払ふも束ぬるも

喪中明賀状の嵩の戻りたる

人日や妻の床屋を神妙に

裸木となりて欅は天を突く

三寒の西に満月ほのほのと

春の雲軽い暈しが利いてをり

若草や雑草として引く無念

蛇穴を出て砲弾に怯えけり

鶯の声聴く踵落しかな

雨を受け光り輝く遊蝶花

馬鈴薯の花は優しき鞠を成す

片時も自転の停止なくて夏至

通り過ぎ思ひ直して氷水

炎熱や新築工事進みたる

軍場の怖気を思ふ敗戦日

初秋の山は彩りまだ知らず


◆◆◇◇

◆頂いた講評
大野鵠士宗匠
 俳句を詠むという行為を通して自己と対峙している様子がひしひしと感じられる裏側で、自然への眼差しも忘れていない。

宮本光野雅
 リアルで安定感のある作品。四季の移りも読みやすく、作品を貫いて統合する軸もあり、真摯に詠む姿勢に好感が持てた。

2 コメント

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馬鈴薯の (きりぎりす)
2023-01-17 07:48:20
花は見たことはありませんが
白い可愛い花なんでしょうね!
宗匠の講評が貴兄自身を的確に表しているようで。
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早速お読みいただき、 (健人)
2023-01-17 10:40:41
嬉しいコメントを書いていただき、ありがとうございました。今年一年も頑張ろうという気持ちになりました。

「東花賞」は未発表の句を20句揃えなければなりません。私のやり方は、毎月投句する句とは別に10~15句をストックし、一年分寝かせておいた中から40句ぐらいに絞ります。そこからさらに推敲しながら20句を選び、1作品に仕上げます。今回が5回目ぐらいの応募ですが、試行錯誤する中で一昨年ぐらいからこの方式が自分の中で定着し、なかなか楽しい作業になりました。

今年からは新しい唯一の「句友」が出来ましたので、ますます頑張りたいと思います。お互いにゆっくりと一句ずつ作って行きましょうね。
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