主人公のシャクチは、生まれ育った未開の地ヤマトを出て、
不老不死の完璧な肉体を武器に、憧れの文明の地・中国大陸をさまよった。
どこまでも周辺地域との征服戦争を続ける文明世界の漢に対して、
未開ながらも棲み分けの知恵を持つ、ヤマトの世界の価値を再認識して行く。
シャクチは自分の目的は、征服者のヤマトへの侵攻を食い止める事と結論付け、
漢の力をそぐべく広い世界をひそかに東奔西走してゆく。
あるときは西域の勢力の中に身を置き、ある時は南方の反乱者に加担する。
出来るだけ漢を弱体化させ、東への侵攻を阻むような動きを続けるが、
強大化する漢の武帝の時代には朝鮮半島の征服が始まる。
対抗するシャクチは、最愛の人「女将軍衛満」に託して、
朝鮮半島にヤマトの防波堤となる理想国家を建設する。
「衛満」の時代は何とかしのぐことが出来たが、
時代が変わると、後継者はその理想を受け継ぐことが出来ず、
その国もむなしく内部からの瓦解が進み始める。
不老不死のシャクチは何度も救世主として登場するのだが、
その有様を眺めながら、抗いがたい文明の力を思い知る事になする。
終には、ヤマトの一人の若者に自分の思いを託しながら、
シャクチ自らは命を絶つべく突き進んでゆく。
ストーリーを大局的につかんでみると以上の通りかと思うのだが、
場面場面はあまりに荒唐無稽、魔術や化け物満載のために、
残念ながらついていけない思いを感じながら、読み終わった次第です。
また、読み進みながら、きな臭い戦争状態が消えていない現代のアジアと、
紀元前のその時代がオーバーラップしてゆく感覚を持った次第です。
今もその続きをやっているのではないだろうか・・・と。
もう一つ物語として残念だったのは、
シャクチと衛満の、そもそもの出会い場面が描かれていない点。
どこかに伏線でもあるかと、本をひっくり返して探しても出てこない。
女性ながらも統率者として魅力的に描かれたヒロイン。
その登場が唐突で、ラブストーリーとしての流れは今ひとつでした。
しかしながら、久しぶりに時間を忘れて熱中して読める小説ではありました。
~~ 夕暮に ローズ斉しく 項垂れリ ~~
不老不死の完璧な肉体を武器に、憧れの文明の地・中国大陸をさまよった。
どこまでも周辺地域との征服戦争を続ける文明世界の漢に対して、
未開ながらも棲み分けの知恵を持つ、ヤマトの世界の価値を再認識して行く。
シャクチは自分の目的は、征服者のヤマトへの侵攻を食い止める事と結論付け、
漢の力をそぐべく広い世界をひそかに東奔西走してゆく。
あるときは西域の勢力の中に身を置き、ある時は南方の反乱者に加担する。
出来るだけ漢を弱体化させ、東への侵攻を阻むような動きを続けるが、
強大化する漢の武帝の時代には朝鮮半島の征服が始まる。
対抗するシャクチは、最愛の人「女将軍衛満」に託して、
朝鮮半島にヤマトの防波堤となる理想国家を建設する。
「衛満」の時代は何とかしのぐことが出来たが、
時代が変わると、後継者はその理想を受け継ぐことが出来ず、
その国もむなしく内部からの瓦解が進み始める。
不老不死のシャクチは何度も救世主として登場するのだが、
その有様を眺めながら、抗いがたい文明の力を思い知る事になする。
終には、ヤマトの一人の若者に自分の思いを託しながら、
シャクチ自らは命を絶つべく突き進んでゆく。
ストーリーを大局的につかんでみると以上の通りかと思うのだが、
場面場面はあまりに荒唐無稽、魔術や化け物満載のために、
残念ながらついていけない思いを感じながら、読み終わった次第です。
また、読み進みながら、きな臭い戦争状態が消えていない現代のアジアと、
紀元前のその時代がオーバーラップしてゆく感覚を持った次第です。
今もその続きをやっているのではないだろうか・・・と。
もう一つ物語として残念だったのは、
シャクチと衛満の、そもそもの出会い場面が描かれていない点。
どこかに伏線でもあるかと、本をひっくり返して探しても出てこない。
女性ながらも統率者として魅力的に描かれたヒロイン。
その登場が唐突で、ラブストーリーとしての流れは今ひとつでした。
しかしながら、久しぶりに時間を忘れて熱中して読める小説ではありました。
~~ 夕暮に ローズ斉しく 項垂れリ ~~
想いつつ咲く
紫の
小さき花の
その儚さよ