桜が咲き始めました。
寒さ暑さも彼岸まで。寒暖差が激しいですね。
兼題:分
分煙は長閑な角の半円部 吾郎
〇(珠子)一度目は回文とは気づきませんでした。ビルの隅のちょっと不思議な形の隠れ家のような喫煙スペース。異動の噂が噂を呼び…。
◯(道人)喫煙者も場所確保に大変な時代ですが、掲句「長閑」が佳いですね。回文句とはすぐに気が付きませんでした。
〇(まきえっと)喫煙場所って隅っこの感じですが、優雅さがあっていいです。
麗らかや丹波は名のみ分水嶺 瞳人
〇(藤三彩)丹波篠山に黒豆、明智光秀。2020年大河が光秀って本当?いざ本能寺への分岐点
ぱつきんと割つて根分けのあやめ草 アネモネ
○(吾郎)威勢がいいやね、元気に育てあやめ草
真夜中に天下分け目か猫の恋 泉
〇 (多実生) 天下分け目が大げさでない程、猫は必死の様です。
○(ちせい)季語は「猫の恋」。ユーモラスですね。恋が関ヶ原の戦いであるかのような。
カップ麵分け合う絆三月尽 藤三彩
○(泉)貧しさの中にも、力強い絆を感じます。
〇(珠子) カップ麺分け合う「仲」ではなく「絆」には三月が合います。
〇(瞳人)絆ときましたか、うーん、老妻と分け合ったのは、いつのこと
鳥雲に分水嶺を遠巻きに 幹夫
分け隔て設ける土地に風光る ちせい
目分量で開花予想の町会長 敏
○(泉)何となくユーモラスな俳句だと思います。
物分かりのいい野辺送り春時雨 宙虫
三分の長さ短さ卒業式 ルカ
春嵐六分の侠気四分の熱 仙翁
◎(藤三彩)妻を娶らば才たけて♪ それが失敗の素だった
〇(宙虫)自分なら疲れてしまう。この割合。息を抜かないと本当に熱を出しそうだ。
◯(道人)「人を恋うる歌」愛唱歌でした。季語も「旅の夜風」の歌詞「花も嵐も」を連想し、懐メロの組み合わせがこんなに素敵な俳句になるとは!好みですが。
選外(吾郎)言葉的にはスキなんですが、景が今ひとつ見えない私は未熟?
分数に和差積商こぶし咲く 多実生
無人駅より無人駅花三分 道人
◎(吾郎)素朴な風景、簡素化された描写に溢れる思い、スキです。
○(仙翁)我が家前の駅は、そんなものです。
○(あちゃこ)単線の侘しい路線を旅しているのでしょう。リフレインが効いています。駅舎の傍らの花がもうすぐ咲きそうです。
○(ちせい)季語は「花」。そろそろ咲いて居るのかと思うと意外と咲いて居ない。そんな感じでしょうか。
〇(まきえっと)無人駅と花三分の取り合せがいいですね。
春泥や分院の待つ当番医 あちゃこ
ぶらんこを揺らしピエロの気分かな 春生
〇(珠子)大人のぶらんこはまさに「ピエロの気分=憂い」でしょう。
〇(宙虫)何か演じている自分を見ているんですね。
○(あちゃこ)春の長閑な一風景。ピエロは顔で笑い心で泣いているのでは?
あと五分あともう一分春眠し 珠子
〇 (多実生) 若い時はこの通りでした。
〇(春生)この気持ち、よく分かります。
二時四十六分春天に祈る アゼリア
◎(珠子)この思い切った切り取り方が素晴らしい。あの日の詠み方はいろいろあっていい。被災していなくても、あの場所に行ったことがなくても、あの日詠む人がたくさんいてほしい。
◎ (多実生) 当時田舎に居て“激震の凄さ花粉で山隠す”を目撃。自然災害の無い事を祈るのみです。
○(敏)この時刻、私は二階の事務室におり、左右の揺れに身動き出来ずにおりました。事務机の抽斗が飛び出し、机上の書類の山が総崩れでした。この大地震発生時刻を現わす二・四六は、俳句作りには、三・一一と併せて季語に替わり得る代名詞のような気がします・・・
○(仙翁)大地震、その時、テレビを見ていて、今も光景が浮かびます。
草を分け水路を巡る小さき舟 まきえっと
〇(春生)水郷の雰囲気が出ています。
鳥雲に入る理科室に腑分けの図 餡子
〇(宙虫)理科室の光景は教室としてはよく描かれる素材ですね。季語との取り合わせの妙かな?
○(敏)天空に雲に入る鳥を配し、自らを理科室の腑分け図の前に置いた図法に感心しました。
○(あちゃこ)外の明るさと薄暗い室内との対比が面白いですね。
◎ (アゼリア)中学校の理科室の解剖図がまざまざと目に浮かびます。
テーマ:むずむず
いのち賭し風に巻かれる杉花粉 仙翁
口止めの些細な話黄砂降る まきえっと
〇(藤三彩)忖度や隠蔽やらあって今年も黄砂の降る侯になりました。PM2.5をなんかできないものか
〇(瞳人)黄沙の元凶となる國に、すぐ思いが行く、口には出したくないから、口止め…
○(餡子)口止めをされたものの、言いたくて言いたくてしかたないんです。黄砂が降る季節は尚更です。
花粉症まだ煌々と耳鼻科の灯 泉
○ (アゼリア)今年は新たに発症した人が多いそうですね。私はもう20年もお付き合いしています。
あくせくと生きむずむずと花粉症 珠子
◎(ルカ)オノマトペが生きてます。
〇 (多実生) 現実が良く詠まれています。
〇(春生)花粉症の人にしか分からない気持ちです。
春の夜むずむずして来る歴史性 ちせい
気もそぞろ噂春風くすぐられ 瞳人
桑嗅ぐや痴れぬ間濡れし夜具乾く 吾郎
〇(宙虫)「痴れぬ間」の表記に驚いたし、老後の自分をみているようだ・・・。
◎(敏)桑の匂いを具体的に知るところではありませんが、中七下五から濃密な愛の交換があったであろうことが推察できます。
啓蟄や油圧ショベルが地平線 幹夫
○(泉)広大な風景が、目に浮かんで来ます。
○(吾郎)兼題との距離が適度にあって、尚かつ雄大な光景。
(選外)(道人)すごい土埃が見えて来ました。
滑舌のふがふがふがと花粉症 餡子
春マスクすれば他人の鼻となる 道人
○(ルカ)他人の鼻が言いえて妙。
○(ちせい)季語は「春マスク」。公共心と言うのか、無感覚なのか、他人行儀な鼻。
〇(春生)「他人の鼻となる」と捉えた感性がすばらしい。
山桜秘湯巡りの旅に出る アゼリア
〇(藤三彩)高山に咲く「高嶺桜」などの可憐さはなんとも言えない。雪が解けるまであと少し待とう
○(アネモネ)いいですねえ。うらやましい。
花粉症言いたきことはうやむやに ルカ
○(餡子)花粉症や鼻炎がひどくなると、頭が痛くなって、意識も朦朧としてきます。人との会話ももうどうでもいいような感じになります。
○(敏)この一句、花粉症に取り付かれている者の実感ですね。本当に何事も「うやむや」になってしまいます。
指相撲の指の不機嫌鳥雲に アネモネ
○(ルカ)指が勝手に動いているようで面白いです。
〇(宙虫)指の不機嫌か。思うように動かない我が指という感じですね。
〇(道人)花粉症のアンニュイはこんな感じですね。「指相撲」が中々。
蛇穴を出でむとせしに風強し 春生
春の風散歩コースに打球音 多実生
○(泉)ゴルフの練習でしょうか?腕がむずむずしますね。
ピーターパンを見た子見ない子花菜風 宙虫
○(仙翁)花菜風、その中にピーターパンがいそうですね。
○(あちゃこ)むずむずからの発想が見事です。ピーターパンが冒険の旅に連れて行ってくれそうな期待にむずむず?
○(ちせい)季語は「花菜風」。空想性の強い句ですが、夢があると思いました。
選外 (吾郎)季語が微妙。措辞は素敵。
遅れたる終礼春の新刊書 あちゃこ
縛られぬひとりの予約山笑う 藤三彩
半腰になって打順を待つ春野 敏
〇(珠子)私も「むずむず」は花粉症以外で作りたいとねばったのですが断念。ほんとはこういうむずむず場面を句にしたかったのです。
〇 (多実生) 自信満々の姿が見えます。
○ (アゼリア)草野球の気持ち良い季節になってきました。ホームランが出ると良いですね。
〇(まきえっと)頑張れぇ。
雑詠
オムレツとウィンナー食べる春の朝 ちせい
冴返る背中合わせの駅の椅子 まきえっと
○(餡子)小さな駅の待合室でしょうか。季語がばっちり。
○(アネモネ)駅の椅子がいいですね。
〇(春生)季語が効いています。
(選外)(道人)「冴返る」で旅情の深まりが伝わって来る。
胃が屋台段継ぎ積んだ板屋貝 吾郎
(選外)胃が痛くなりそう。活貝には気をつけよう
開いては閉ぢて遅日の水くらげ アネモネ
〇(珠子)くらげには遅日が合う・効いています。
○(吾郎)なんとなく覗いた水面、ゆうらり開閉しながらたゆたう海月、眠くなります
○(敏)水族館などでの、水母の水槽を前にしての、見事な描写と言えましょう。
空つぽのランドセル背に花の下 春生
○(泉)記念撮影でしょうか。ピカピカの一年生ですね。
○(アネモネ)一年生の気負いが微笑ましい。
犬ふぐり花に初蝶いとおかし 多実生
○ (アゼリア)犬ふぐりも蝶も今が盛りですね。
銭湯の消えて春月残る町 餡子
○(ルカ)春月が効いてます。
◎(泉)まるで一幅の絵を見ている様です。
◎(瞳人)石鹸、カタカタ鳴った、の経験ありの身には、ひとしお、しみじみ
○(敏)私の住む町からも銭湯は姿を消しました。名残りの煙突にかかる月が寂しそうに見えました。
○(アネモネ)書き割りの景のように鮮やかな月。
〇(道人)平成はあっという間、昭和はまだまだ長し。
○(あちゃこ)ふと見上げた夜空にはかつての銭湯の高い煙突は消えて…春月は変わらないこの町にこれからも生き続ける。
○ (アゼリア)銭湯が消え、映画館が消え、寂しいかぎりですが、豊かな自然に慰められます。
〇(春生)なんとなく郷愁を感じます。
〇(まきえっと)「おかみさん、時間ですよぉ」でしたっけ?ぴったりの景ですね。
皇后の疎開の地なり白鳥引く アゼリア
〇 (多実生) 白鳥は多々良沼か城沼かと思います。
三月十日体操に来て祈る 珠子
◎(宙虫)祈り。何に対してだろう。いろいろあるが、翌日の東日本大震災もあり、それぞれの祈念の日があるだろう。体操に出かけるという生きていくものとの対比もいい。
耳そっくり残すトースト春愁い 敏
(選外)(道人)成る程。この春愁もいいですね。
庭石に置物のごと牛蛙 泉
○(仙翁)何処かで、そんな景色を見たような気がします。
道という道をなくしてゆく春野 宙虫
○(ルカ)花に埋まってゆく春の野原でしょうか。
○(吾郎)生命力に被われる。
◯(道人)おぼろなる春の野の大景が心の中に浮かんできます。
◎(仙翁)人が歩むと道ができる。それをかき消す野の草花。そんなもんですね。
◎(あちゃこ)胸に深く切り込んできた句です。春野の姿を描きながら、これからの人生の閉塞感が伝わるようです。でも道は続く。歩みが道を作る。春野の明るさが救いです。
◎(まきえっと)また自分で作っていこう。
犬ふぐり下校途中の立ち話 ルカ
○(餡子)友達との分かれ道では、よくこういう景が見られます。話しても話しても限の無いお年頃。いいですねえ。
◎(ちせい)季語は「犬ふぐり」。季語の後の中7座5語の展開が自然でした。
独活を掘る演習場の昼下り 幹夫
〇(瞳人)危ないなあ、昔は砲弾広いでした、でも、今はそんな感じありません、それがいい
◎(アネモネ)なかなかドラマチック。
○(ちせい)季語は「独活を掘る」。演習場にイメージを喚起されました。
(選外)穴蔵で軟化させる軟白栽培でもなく(自衛隊の)演習場内に独活があるわけでもなく・・無理
馬刀貝を舌噛みさうな町スペインで 瞳人
○(アネモネ)馬刀貝美味しそう!
無いはずの元号「安晋」万愚節 藤三彩
○(吾郎)安普請としか読めない(笑)
○(餡子)元号改元については、密やかに「安」の字が使われるという噂。この句の「安晋」なんてなったら大変。其処まで忖度しますか?万愚節。エイプリルフールですよね。
◎(道人)最高の万愚節です。時事句は読むのも作るのも苦手ですが、この俳諧味は中々切れ味鋭い。
夕東風やひとの恋しき匂ひあり 仙翁
〇(藤三彩)艶っぽい。温め酒の恋しい都々逸の一ぺんの詩
〇(瞳人)ふるさとの燈台という、いい歌がありますが、歳ふるに従い、人こひしは、ひとしおですね、そんなときは、ぬるめの手酌で
露座仏の背ナに焼痕こぶし咲く 道人
〇(藤三彩)焼痕は灸の跡かも。焼夷弾を知らない世代
◎(餡子)何の時の焼痕でしようか。露座仏はじっと耐えて時代の流れを見てきたのですね。毎年咲く辛夷がほっとさせてくれます。
○(仙翁)いろいろ想像を掻き立てる石仏でしょうか。
◯ (アゼリア)どうして焼痕がーと気になります。今日は細川庭園で沢山の石仏を観てきました。見飽きる事がありませんでした。
〇(まきえっと)いろいろと想像できます。辛夷がいいですね。
六十路には小さき拳風光る あちゃこ
○(ルカ)小さくても拳があるのが、季語に合っています。
☆次回の告知をお楽しみに。
ウマ刀会をした紙サウナ町スペインで は、
以下、
馬刀貝を舌噛みさうな町スペインで でした。
修正いたしました。
広島はいよいよ春らしくなって来ました。もう直ぐに花見になるのでしょう。イチローの引退、貴景勝の大関昇進と、時代の変化は目まぐるしい。しかし、一日、一日です。