去年今年ノー・プロブレム成らぬ國 瞳人
〇 (多実生) 先が見えません。ノンプロブレムとは真逆の現在です。
○(泉)常にプロブレムは山積しています。
(選外)(藤三彩)「問題なしと成らぬ」には共感しますが、英語の感触には違和感が。旧態依然の國を示唆しているのでしょう。
汁だくで頼む牛丼年つまる アネモネ
○(泉)何となく納得、という感じです。「汁だく」が有効ですね。
○(メイ)年末の勢いが心地よい。
〇(めたもん)「年つまる」と「汁だくの牛丼」の取り合わせが新鮮。寒さの中で食べた牛丼の味を思い起こします。
〇(ちせい)つゆだくでは無くて汗だく。長距離を走って居たのかもしれません。
〇(宙虫)年末の労働者という雰囲気あり。
わがかほの露見(ばれ)れて頬笑む初句会 瞳人
○(あちゃこ)いいですねー早くこんな句会が出来るようにと願っています。
街の灯へ滑る階段年惜しむ 珠子
〇(春生)歳末の一齣ですね。
〇(楊子)滑るがいかにも年末の感じがあります。
◯(道人)エスカレーターから降りて行く一人の男の姿。どこに行くのだろう。
○(泉)流れるような、無理のない俳句だと思います。
○(敏)階段を滑り降りる灯のひかりに、歳晩の街の様子がうかがえます。
○(仙翁)滑る階段、確かに灯りに向かうようですね。
〇(まきえっと)「街の灯へ滑る」がいいですね。
ゆけゆけどエスカレーター冬銀河 ルカ
〇(めたもん)上五「ゆけゆけど」に諦念を感じます。一定速度で一方向に動く長いエスカレーターは時間の流れのよう。その先に冬銀河が煌めいています。
乗初や雲間にひとつ昼の月 メイ
〇(楊子)窓から見上げるけっして若くない作者の姿が浮かびます。
〇(幹夫)まるで昼の月に乗初しているみたいでいい気分。
○(卯平)「乗初」と言う季語が下五の「昼の月」を明確にしている。手堅い俳句。
近づくと動く階段冬あたたか 楊子
◎(アネモネ)シンプルですが「冬あたたか」に得心。
〇(春生)なれないと驚きますね。でも、ありがたく思います。
◯(ルカ)エスカレーターをうまく詠まれています。
○(卯平)上五、中七の説明にしか過ぎない。が、下五の季語で句全体の季感は動かないだろう。
〇(まきえっと)待っていましたという感じで動き出しますね。
〇(宙虫)何も言ってないが、季語がうまく乗ったのでは。
裸木の欅に石を投げる人 ちせい
〇 (多実生) 少年の私だったら、裸木の最高部に石を当てたくなります。
点りをるnursestation寒時雨 卯平
〇(瞳人)頼みの明かりだ
◎(楊子)このような事態に励む関係者をそう感情を入れずに詠んであるところがいいです。英語も適切です。
○(仙翁)看護師さんたちに感謝ですね。
〇(珠子)3年前に1か月間の入院。ナースステイションにはいつでも明りが灯り、ナースの背が見えました。灯りとナースの背から安心を頂いていた気がします。
(選外)(道人)「nursestation」の配置と表記がいいですね。「灯りたる」では?
乗り継いで来て買初めとする句帖 餡子
◎(藤三彩)お気に入りのサイズ、7枚数、表装などの句帳があるお店にはわざわざ出向く。共感します。
○(泉)俳句に熱心な作者です。感心しました。
〇(ちせい)句帖で句作のモチベーションが高まるのでしょう。
去年今年黄色信号明滅す 敏
〇(藤三彩)信号機が危険を注意するという、なかなかに上手い表現
〇 (多実生) コロナ禍の現在、注意信号の点滅です。
冬木の芽ふるさと遠くありにけり 道人
◯(アネモネ)まさにそうだと思いました。
〇(春生)都会の街路樹も芽が膨らんできました。故郷の河辺の木々も冬芽が光ってきたことでしょう。
〇(瞳人)ふと、思い出す先だ
〇(楊子)何もいっていないけれど故郷を想う気持ちが詠まれています。芽が希望ですね。
〇(幹夫)小さな冬木の芽と遠き故郷が象徴されて詠まれる。
〇(藤三彩)「ふるさとは遠きにありて思ふもの」室生犀星 今は帰省できない人を思う
○(敏)冬木の芽に望郷の想いが湧いたのでしょうね。
○(仙翁)ふるさとと冬の芽が呼応していますね。
〇(珠子)コロナの今は特に痛感します。さりげない季語の存在感抜群。「遠いふるさと」はよく見る句ですが季語との取り合わせに惹かれました。
白い息空に消しつつさあ出勤 めたもん
〇(幹夫)冬の朝の出勤、仕事への意気込みが佳く詠まれる。
○(餡子)朝早くからの出勤ご苦労様です。
晦日の満月欠け逝く店舗かな 藤三彩
○(あちゃこ)廃業した店舗は、数知れず…なんとも言えない。
(選外)(卯平)一読して句全体が冗漫で緩い感じを受ける。
街の灯に影濃く淡く枯木立 仙翁
○(敏)街灯による大小の枯木の影の連なりが見えてくるようです。
(選外) (メイ) 濃く淡くが素敵。
街抱く神の掌淑気満つ あちゃこ
○(メイ)しばし淑気の中にとどまりたい。
元日のアリスは不在上野駅 宙虫
◎(めたもん)上野駅の時代がかった泥臭いイメージと、中七「アリスは不在」との間に生まれる独特な世界が味わい深いです。特別な日「元日」(季語)の設定も巧み。
(選外)(卯平)当初選に入れていた。が、「元旦のアリス」が曖昧(曖昧が悪いわけではないが)で「不思議の国のアリス」なのか、フォークグループの「アリス」なのか、またそれ以外の詠み手の「思いの」「アリス」なのか、何故上野駅なのか等々句全体を共感するにはひとりよがりの句になっていると鑑賞した。
病院は休むことなき大晦日 泉
〇(春生)本当に、医療従事者は大変です。暮も正月もありません。ただ、都知事や首相など政治家がいうと、なぜこうなるまでほっといたんですか、と言いたくなります。
〇(藤三彩)エッセンシャルワーカー(生活必須職従事者)の職種七つのうち第一は「医療従事者」なのは無論です。残る職種の方々にも感謝。
水彩の指に切り取る枯木星 幹夫
◯(道人)枯木越しに見える星を水彩画に描いているのでしょうか。「指に切り取る」が詩的です。
〇(ちせい)指が絵筆と言う感じだったのかもしれません。
ぎくしゃくな自分の姿冬灯 まきえっと
○(敏)自分が落とした影の有り様。「ぎくしゃく」に作者の気持が現れているようです。
◎(あちゃこ)上五中七に惹かれます。自分を見つめる時がまだまだ必要かな。
○(仙翁)不安定な自分の姿が映っているのでしょうか。
新春の都庁コロナの徹夜組 春生
〇(幹夫)新規患者数が曜日毎更新の首都圏、緊急事態宣言発令!
◎(餡子)都庁のみならず、自治体の保健所関係は、年末年始の休暇返上で、働いて下さっています。ありがたいことです。
年明けて華やぐ筈が自粛中 多実生
新型コロナの感染拡大は、季節的に当然のことかも知れません。我が身に降りかかって来ないと、なかなか実感するのは難しい。
しかし、最近の寒さには参りました。広島でこの寒さだから、東北や北陸はいかがなものか?