お待たせしました。
結果発表です。
九州では、朝晩は、寒ささえ感じますが、日中は30度近い暑さ。
この温度差についていくのが大変。
でも、これから気温はさがっていきそうな予報です。
台風や大雨はいらないので、秋らしい天気がやってくるのを待っています。
★★結果発表★★
秋の草川の流れに育まれ ちせい
○(敏)近頃の秋とは思えない気温の高さと、台風と秋雨前線とあいまった多量の降水とで、雑草たちの伸びることといったらハンパではありません。それに川の流れが加わっているのですからその成長ぶりは驚くばかりです。
顔撫でるだご汁の湯気そぞろ寒 珠子
○(春生)「だご汁の湯気」が効いている。
○(泉)「だご汁」は美味しそうです。私は初めて知りました。
○(敏)熊本名物という「だご汁」そのものは、残念なことにまだ口にしたことはないのですが、レシピを見ていると、本当に美味しそうですね。ことに寒くなると一層食べたくなるのではないでしょうか。
○(瑠璃)だご汁の湯気暖まりそうです
畦に咲く季節のけじめ曼珠沙華 多実生
○(卯平)確かに畔に一列に咲いているまんじゅしゃげは結界である。一種のけじめをつけている。季語がひらがなであることも視覚的に訴えるものがある。
〇(瞳人)暑さを終うけじめ、なるほどね
〇(まきえっと)「季節のけじめ」が良い感じです。
○(幹夫)毎年同じ時期に同じ場所に・・・共感です。
○(ちせい)季語は「曼殊沙華」。けじめを付けて咲く彼岸花。畔にもけじめが。
思ひ出のベンチに座る秋の風 卯平
○(泉)どの様な思い出なのでしょうか。いろいろと推測しました。
◎(幹夫)様々な人それぞれの思い出を育む公園のベンチ・・・秋の風が佳い。
額に雨ランチライムの彼岸花 宙虫
〇 (多実生) 彼岸花を見ながらの美味い食事の様子。
睥睨し猛りてかなし鵙のさが 瞳人
〇(道人)鵙を人に置き換えるとより「かなし」です。
渡仏せし娘芒の高き空 瑠璃
〇(藤三彩)故樹木希林の娘内田也哉子が云うには9−10歳でホームステイに置き去りにされたと、その長男・雅楽(うた)君がパリコレデビュー、背高かあーい芒のようだろうな
◎(ルカ)芒の高き空に、海の向こうの娘への思いが感じられます。芒がいいですね。
移住して田舎暮らしや小鳥来る 餡子
○(泉)最近、「村八分」のニュースがありました。移住も何かと問題が起きるのでしょう。
◯(あちゃこ)気持ちのゆとりが伝わります。移住には勇気がいりますね。
(選外)(道人)こんなIターン、してみたい。
谷川の河童と眠る虫の声 仙翁
〇 (多実生) 詩情豊かな河童と虫の取り合わせ。
○(卯平)眠るのはどちらも架空の生き物。河童もそうであるが、眠るのが「虫」ではなく「虫の声」であるのがこの句のツボか。但しキレが明確ではない。
〇(道人)本当に河童が出て来そうな山里です。
○(ちせい)季語は「虫の声」。谷川の河童も鋭気を養っているのでしょうね。
○(宙虫)川音と虫の声、河童にも季節の移ろいがある。
秋澄むや気ままな足に川の風 あちゃこ
〇(珠子)友人が10月3日の栗駒山の写真を送ってくれましたが紅葉真っ盛り。台風と地震にショックをうけている隙に秋真っ只中。「気ままな足」になりたいものです。
○(ルカ)足元がいかにも涼しそう。
霧を出て食欲そそる幟旗 まきえっと
アングルに収まる秋や百枚田 道人
◎(瑠璃)趣味は写真を撮る事か、それともスケッチでしょうか?百枚田の広々として風景に広がりを感じます。
源流にふるさとを訪ふ草紅葉 春生
〇(仙翁)都会から帰って来たのでしょうか。
◎(まきえっと)どんな故郷でしょう。草紅葉の背丈がいいですね。
○(餡子)草紅葉が効いています。
山峡にオカリナ響き秋澄みぬ アゼリア
○(春生)「オカリナ」という楽器が素朴でいいですね。
◯(瑠璃) (瑠璃) 山峡のオカリナ聞いてみたいものです。秋澄みぬが 効いてます。
◯(あちゃこ)爽やかさがオカリナの音色でさらにましますね。オカリーナはイタリア語だとか。宗次郎のCD聞こうかな。
〇(道人)この景にオカリナを持ってきた豊かな発想力に脱帽しました。
ここもまた名もなき橋や水の秋 ルカ
〇(珠子)「あの橋」「この橋」「その橋」とだけ呼ばれて、近くの人だけが通る橋。
◎(春生)田舎へ行くと「名もなき橋」が多いですね。
○(卯平)橋に名がつくのはそう多くない。季語が「秋の水」ではなく「水の秋」であることで距離感が薄まっている。
〇 (多実生) 谷川は名もない橋ばかり、どの橋も眺める水の秋は素晴らしい。
◯(瑠璃)このようなところはたくさんあるのでしょう。何でもない所に癒しを感じる作者の感性が垣間見えます。
◎(あちゃこ)中七の名も無きが効いています。名もなき人々の豊かな暮らし。田舎の存在感が際立ってきますね。
〇(まきえっと)地元の間ではありそうですね。
○(餡子)一枚目の写真の風景は、原風景かな。妙になつかしい。
○(幹夫)秋の水の傍題「水の秋」が佳く詠まれており共感です。
○(宙虫)王道をゆく俳句。下五がいいです。
公園のベンチは無口秋の川 幹夫
◎(卯平)写生句として充分成り立つ。主題が明確である。季語が中七の背景を描ききっている。秀句である。
◯(アネモネ)「ベンチは無口」の発想なかなかです。
〇(まきえっと)晴れていたらもっと違ったかもしれませんね。
○(ちせい)季語は「秋の川」。ベンチが無口なのは当たり前なのですが、何か擬人化しているのかもしれませんね。
太陽発電半分青いひつじ田に 藤三彩
長椅子のニスは塗り立て秋高し アネモネ
○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。ニスは透明ですからね。
〇(瞳人)そうとは、知りませず、つい、つい
○(敏)嗅覚と視覚との絶妙なバランスがもたらしてくれる心地よさが、この句にはありますね。
○(幹夫)景がひろがります。
台風や小川が橋を押し流す 泉
〇 (多実生) 生活を支える板橋など、流される前に取り外すのが知恵の様です。
水音も仏の声や秋遍路 春生
◎(珠子)人生観が変わるのでしょうね。私には達することのない世界。
〇(仙翁)信心が身に付くと、水音も仏声。
◯(瑠璃) 秋遍路で歩いていると水音までも仏の声に聞こえてくるのでしょう。
◯(あちゃこ)お遍路の思い出が蘇ってきました。道の小石も野の草花も仏なり。
○(餡子)なるほど。3枚の写真からの視点の深さに感心しました。どこを歩いても、見てもそこに仏を感じるようになるのですね。
◎(道人)奥が深い句です。
○(宙虫)のどかさだけではない秋遍路・・・・。
母の声遺るベンチに小鳥来る ルカ
◎(仙翁)遠い昔の母の声でしょうか。
◯(アネモネ)「小鳥来る」でいい具合にしんみり感が中和されました。
〇(藤三彩)遺るなのだから天よりその声は聞こえるのでしょう
○(敏)亡くなった方とかつて一緒に坐ったベンチに居ると、聞こえてくる小鳥の声が、まさにその人の声のように思えたのでしょう。
〇(まきえっと)母親の存在を感じます。
◎(ちせい)季語は「小鳥」。母の声の思い出。風に乗って小鳥もやって来る。
◎(宙虫)少しベタな感はあるが、声が遺るとしたところが小鳥とハーモニーをうむ。
台風過笑み交わし合う店支度 あちゃこ
○(泉)今年は台風が多いですね。二週連続です。
〇(瞳人)今年、何度笑み交わせばよろしいかと
○(幹夫)やれやれといったところですね。
あの川を辿り秋声聞かんとす 敏
○(春生)作者の思いが素直に述べられている。
○(ルカ)詩情があります。
○(ちせい)季語は「秋声」。意志が感じられる句。あの川はどんな川なのかも気にかかりました。
(選外)(藤三彩)「あの川」は阿武隈川なのかな、それとも三途の川
秋祭殿様姫様以下従者 ちせい
〇(珠子)確かに、従者の上下などは考えようともせず「以下従者」として見てしまいます。漢字だけの小気味よさ。
○(卯平)ことば遊びだけではなく季語への共感が中七以下が明確である。
〇(仙翁)漢字ばかりの句、面白い。
◯(ルカ)祭り行列が浮かんできました。
山霧を背負ってこの地の者となる 珠子
◎ (多実生) 霧は晴天の前ぶれ、山村の暮しが見えます。
◯(瑠璃)「この地の者となる」に決意が感じられます。
〇(まきえっと)頑張ってください。
○(ルカ)山霧を背負うと、足に根っこが生えてきそうな面白い感覚。
○(餡子)この覚悟たるや・・・。いいですね。でも大変そう。
○(宙虫)空気のにおいが充分伝わる。
稲に雨シート被せる耕耘機 まきえっと
◯(アネモネ)なかなかの写生力です。
〇(道人)耕人の淡々として静かな動きが味わい深い。
かあちゃんの村の食堂さやけしや 餡子
〇(珠子)だご汁を作るかあちゃんのパワーとネットワークは最強です。
○(卯平)村の食堂の雰囲気が良く描写出来ている。私もよく行く食堂もかあちゃん食堂である。季語の位置も妥当であろう。
◯(あちゃこ)山里はまさにかあちゃんの村といった感じがします。「かあちゃん」は強い!めげない!諦めない!
○(宙虫)きっとでかい声で村の男たちのだらしなさをぶった切ってそうな食堂である。
濁り酒廃村の危惧消えぬまま アゼリア
〇(仙翁)田舎では、少子高齢化がすすんでいます。
◎(泉)「村八分」のニュースと言い、やはり村は消えてゆく運命なのでしょうか?
◯(アネモネ)泣かせるなあ。私の田舎もまさにそう・・・。
〇(藤三彩)「廃村の」で最近の一句。廃村のポストに小鳥来て夜明け 梅沢冨美男(プレバト俳句タイトル戦一位9/27)
◎(餡子) 人の姿の見えない村。人の去った別荘の庭。そして村道のわずかな店・・・。故郷が消えてゆく。酒でも飲まなきややってられない。
秋の日暮れのスイッチだった木のベンチ 宙虫
◎(藤三彩)見立てが童話の始まりのスイッチのようです
◎(敏)この七七五の破調で作者が言い止めようとしたのは、ベンチに坐るか立ち上がろうとしたことがきっかけのように生じた何らかの出来事の暗喩だと思うのですが…。例えば実際の夕暮れであり恋の破局だったかも知れません。そんなことを思わせる一句でした。
◯(ルカ)自分にとっての夕暮れスイッチ。
秋風の疎髯撫でゆけ自恃なくに 瞳人
粧へる山の麓の定食屋 幹夫
〇(瞳人)味で装ってほしいのですが
昔二人で座りしベンチ草の花 仙翁
○(春生)懐かしさが込み上げてきますね。
〇(藤三彩)離れて居るのがよい距離なのが老夫婦
カツカレー食べ冷まじき選挙戦 泉
◎(瞳人)4、5人の喰い逃げが出る面白さですね
◎(アネモネ)いやはや力(RIKI)がつきそう!
○(餡子)このような村には候補者も顔をみせないのでしょうね。地方再生?真剣に考えてくれているのでしょうか。
○(ちせい)季語は「冷まじ」。カツカレーが印象的でしたね。
(選外)(道人)こんな山里の選挙にもカツカレーチェックが付きものとは!
秋の野や「お食事処」並びをり 卯平
赤蜻蛉止まりて後に羽根傾げ 多実生
〇(仙翁)見ていると、赤トンボはその通り、よく観察していますね。
○(幹夫)赤蜻蛉がよく観察されています。
澄む秋のペットボトルに汲む湧水 道人
〇(珠子)ペットボトルに詰めた秋は帰宅してお茶やコーヒーに。「の」の使い方は難しいですね。
〇 (多実生) 山村は湧き水の数、量共に豊富。掲句はよく見かける風景です。
〇(藤三彩)お茶、珈琲、お米を炊くなどわざわざ汲みに来るんでしょう。
○(敏)清冽な湧水に出合うと、すぐに口にしたくなります。透明なペットボトルに透明な湧水、秋の澄んだ空気感まで漂うようです。
◯(あちゃこ)有名無名の湧水に出会えた嬉しさは格別。ポリタンクに汲む人もいますね。甘露の水(ニセコ)は美味しいですよー!
嫁ぐ娘の机の花瓶日々草 瑠璃
○(春生)いつまでも咲き続けて下さいね。
〇(道人)観察眼が行き届いた素敵な句です。「嫁ぐ娘」には弱いですね。
身に入むや昭和のすいとん郷土汁 藤三彩
台風に眼 野に置き去りの机・椅子 敏
◯(アネモネ)このクールさに脱帽です。
(選外)(道人)「眼」と「野」の間の余白が作るリズムが中々。
澄む秋の旗にだご汁・カツカレー アネモネ
★★★
それでは次回句会の告知も迫っています。
皆さん、ますますのご健吟を。
たくさんの参加お待ちしています。
BY 宙虫
広島は雨が降り、いよいよ秋が深くなっていく様です。今年の夏は本当に暑くて、台風は来るし、災害に遭わなかったのは、全くの幸運でした。しばらくは平穏な気候になると思います。