あっという間に二月も中旬。
能登地震の被災地も復興に向けての動きも見え始めた。
多くの力が結集していることがわかる。
その傍ら、自民党ののらりくらりにはいらいらする。
九州の日中は暖かい。
白梅紅梅があっという間に・・・・。
沈丁花もいまにも咲きそう。
春は名のみ・・・ではなさそうな今年の二月。
発表は二回に分けて
★結果発表
破れかけた世界残して鳥帰る カンナ
〇(春生)「破れかけた世界」まさにその通りです。鳥にも見捨てられました。
〇(めたもん)「破れかけた世界」は、鳥に残される私たちの世界。「破れた世界」ではないところが救いか。
蝋梅の香にも色にも安堵感 藤三彩
〇(アネモネ)いかにも安堵感。
〇 (多実生) 香にも色にもですが、春近しの安堵感も。
黒塗りの国に繋がれ春の犬 宙虫
○(あちゃこ)黒塗りは政界を騒がせているあの事?春の犬の描写はやや気にはなりますが。中七で頂きました。
○(卯平)時事としての「コト(黒塗りの国)」と春の犬の対比は成功しているだろう。「に繋がれ」か「の繋がれ」か。前者であれば春の犬が「黒塗りの国」に繋がっていると言う景。そうすると少々説明的ではないか。後者であれば繋ぐ主体は更に大きな景になるだろう。するとキレが更に明確になり春の犬がより生きてくるのではないか。しかし時事を含んだ面白さは伝わってくる。
寝そべつて犬のふくらむ冬日向 幹夫
〇(楊子)「犬のふくらむ」とは発見です。雀や猫なら類想がありそうですが。
〇(仙翁)犬のふくらむ、いいですね。
○(あちゃこ)自然体の描写に温かさが滲みます。
〇(アネモネ)「犬のふくらむ」の中七にびっくりです。
〇(あき子)冬日向にいる犬の、ふくらんでくる屈託なさが好もしい。
○(藤三彩)温かい冬ですね
〇(珠子)「犬のふくらむ」があたたかい。憂いのない犬の顔。きっとご主人様もそうなのでしょう。
〇(まきえっと)犬のふくらむから暖かさや温もりを感じます。
〇(ちせい)ふくら雀と比較してユーモラスだと思いました。
(選外)(卯平)例えば「寝そべってふくらむ犬や冬日向」であれば景が明確。揚句では三段キレではないか。
番犬の眺める先に焼芋屋 泉
〇(仙翁)焼き芋屋、面白いですね。
〇(アネモネ)焼芋好きの犬笑
○(幹夫)犬の臭覚力は人間の3,000倍から10,000倍と言われている。さぞかし旨そうな焼芋の匂いだ。
トレモロに俳人嗤ふ寒鴉 瞳人
◯ (アゼリア) ユーモラスで風刺の効いた句と思いました。
虫出しの雷や鴉の百が田に アネモネ
〇(春生)待ってましたとばかり鴉が集まりました。
〇 (多実生) 雪国は雷の季節でも、関東では稀ですが虫出しの実感は有りそうです。
○(幹夫)写真の景が上手に詠まれている。
〇(めたもん)「虫出しの雷」という季語をはじめて知りました。季語を受けた措辞も気が利き、整っていると思います。
(選外)句材、取合せとも共感するが、「鴉の百が田に」は何となく中七の数合せともとれる。
老医師の白衣の裾や臘梅花 楊子
◎(餡子)あのクリニックが、気になり、句にしたかったのですが、こういう作り方があるのですね。志村喬主演のドラマができそうです。
○(卯平)上五中七の景はまるでテレビドラマを観ているよう。このような医者は絵になる。季語は上手くついている。白色と黄色を意識したのか。それは少々作意的ではある。
○(幹夫)臘梅を老医師と見立てたのが面白い。
日脚伸ぶ犬も吠えること忘れ 餡子
◯(道人)「忘れ」の発見が季語とよく合っている。「も」は多少気になる。「犬も→番犬」くらいでは?
背を丸め行けば突然蠟梅花 多実生
〇(ちせい)誰が植えたのか、こんな所に蝋梅と驚いたのかもしれません。
冬の日溜まり老犬は夢を見る 仙翁
○(泉)映画のワン・シーンの様です。
〇(春生)破調ですがそれが却って効果的。「老犬は夢を見る」がうまい。
○(餡子)老犬だけではなく、老人もです。精悍な若い頃の自分を思い出して夢にも見るのです。ああ~~。
〇(カンナ)詩情のある句
〇(珠子)老いると犬も夢をみるようになるのかも…。土手を突っ走っていた頃の夢。
◎(めたもん)七・五・五の構成がゆったりした味わいになり、独自性が生まれ、句の魅力になっています。
(選外 )(多実生) 犬も寒がり、日溜まりが好きです。
(選外)(卯平)確かに夢を見ているだろう。しかし「冬日」に夢を見るのは老犬だけではないだろう。景は描かれいる。だから予選としていただく。
蝋梅や産科病棟閉ぢてをり 卯平
○(泉)少子化の影響でしょうか。
○(餡子)今回は、あのクリニックが気になっていながら、句にはできませんでした。産科が減ってきている現代への問題提起?
○(藤三彩)産科病棟がどうして出て来るのかしら?しかも閉まっている、どうして
◎(楊子)「産科」が効果的に働いていると思います。町の古い木造の病院を想像しました。
〇(まきえっと)少子化ですね。
◯ (アゼリア)地方では産科や小児科など医師不在で閉じていることが間々あり、困っているようです。
引き籠る子の弾くバッハ春隣 アゼリア
〇(楊子)「春隣」という季語で救われた感じです。重たい言葉を使うときのおさめ方ですね。
◎(あちゃこ)破綻ない一句。季語か生きており、切なさの中に希望が見えます。
〇(アネモネ)このバッハ聞いてみたいですね。
〇(春生)この子にも春の訪れが間近ですね。
〇(あき子)ご近所から聞こえてくるのでしょうか。それとも自宅の二階から。春隣に希望を託す思いに共感。
〇(珠子)幼いころは元気いっぱいだったのに思春期の今はほぼ引きこもっているらしい隣人。ピアノが心の支えになっているのだろうと思いつつ聴いている作者。
◯(道人)「バッハ」でほっとする。もうすぐ引籠りの我が子にも春が来る。
○(宙虫)少しずつ力強くなっていくバッハなんだろう。
(選外)(藤三彩)楽器は何?師事しないと弾けないよね。
(選外)(卯平)この句から得る景は隣の家から(ピアノかバオリンかは不明)を弾く音が聞こえる。そう言えば隣の子は引きこもりと言われていたなと言う句意を斟酌する。だとすると、俳句としての緊張感が読み手に伝わるか。弾く対象が明記されていれば、更に句として昇華するのではないか。春隣は少々理が先行しないだろうか。
寒鴉軍団として来て一人去る ちせい
〇(瞳人)意に添わないことがったのでしょうねえ、一匹鴉?
蠟梅を散らし鴉の飛びたてり 春生
〇(ちせい)鴉の軍団に驚いたのかもしれません。
限られたリードの長さ梅香る まきえっと
○(卯平)犬を散歩しているリードの長さは限られている。その犬が精一杯リードを延ばして梅の香を嗅いでいる景。臨場感がある。「長さ」が省略出来ないか。
〇(あき子)自由が制限されている犬を梅の香りが包んでいる、抑制された感覚が伝わります。
○(藤三彩)許される範囲の長さがあるのですね。散歩に行こうと目で訴える
○(幹夫)物理的な範囲と匂いの範囲という視点が好きだ。
塒への刻待つ鴉日脚伸ぶ 珠子
(選外)(卯平)なるほどとは思う。しかしこのまま上五中七を活かすとして下五の「日脚伸ぶ」がどうであろうか。少々緩いのでは。
猫の座に柴犬のいて日脚伸ぶ 道人
○(泉)言われてみれば、その通りです。
◎(アネモネ)いい雰囲気です。
〇(あき子)猫が戻ってきても、その座を平和に明け渡しそうな春の一日。
○(藤三彩)犬と猫、仲がいいのかしら
◎(幹夫)「日脚伸ぶ」には、春到来が感じられ心も明るくなる。其処には、確かに、猫が居座っていても自然ですね。
〇(楊子)ほんと、あの写真の場所に猫がいてもおかしくないですね。和犬が猫と同じような風景をつくっていますね。
◎(珠子)あの写真から「猫の座に犬」という発想にびっくり。季語の斡旋もぴたり。
◯ (アゼリア) 微笑ましいですね。
◎(宙虫)何のことはない景色に穏やかな時間が見える。
蝋梅や雲の灰色呼吸する ちせい
〇(仙翁)雲の灰色、呼吸する、面白いですね。
○(あちゃこ)雲の呼吸で頂きました。雲呼吸するでよろしいかとは思います。灰色が呼吸するのは、少し違和感が。
(選外)(卯平)面白い句。しかし、「灰色が呼吸する」景を共有出来ない。
つづく
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