時折雲に隠れてしまいましたが、9月21日の中秋の名月は綺麗でしたね。
兼題:空
空海を避けて台風過ぎにけり 泉
(選外)(卯平)と言う事は中国大陸ではなく日本への到来か。今台風が来ています!!
空吹の貌して歩く花野かな 卯平
〇(メイ)平和な花野を歩く「空吹の貌」を想像するだけでも楽しい。
秋空へ射し込んでいる自撮棒 楊子
○(敏)自撮棒を主役に仕立てた作品に、初めておめにかかりました。
◎(ちせい)戦闘宣言すら感じさせる句だと思いました。いい写真を撮ろうと思ったのでしょう。
空気人形のため息が雨鶏頭花 宙虫
◎(あちゃこ)ゆらゆら揺れる空気人形にため息を見出し、雨へと着地。卓越した感性。
(選外)(卯平)句材としては悪くない。ゴタゴタ感を整理出来ないだろうか。
秋の蚊や老をひそめし空元気 瞳人
時空超え黍引く響回向籤 吾郎
空港のロビーに鳴いてつづれさせ アネモネ
○(餡子)空の玄関と言われようと、矢張り虫はいるでしょうね。広い空間に微かに聞える虫の声。コロナ禍の空港は、いつもより虫の声がはっきり聞えるかもしれません。
〇(メイ)ひともまばらなのんびりした空港に、よく響きそう。
〇(珠子)蟋蟀はとんでもないところに潜り込んでいたりします。自動ドアから入って来たのでしょうか、裏口から長い廊下を通って迷い込んだのでしょうか。コロナ禍の中の閑散としたロビーだからこそ鳴き声に気が付いたのかもしれません。
〇(春生)そのまま搭乗して、アメリカのつづれさせと結婚するかも。いろいろ想像させてくれる句です。
〇(仙翁)時々、思いがけない所に虫たちがいるものです。
◯ (アゼリア) 思わぬところで虫の音を聞くと何故か嬉しいですよね。つづれさせの季語が効いていると思います。
〇(まきえっと)足早に歩いている空港のロビーに虫の鳴き声。いい感じです。
秋空に空っぽの身は浮遊する 仙翁
○(泉)「空っぽの身」は、まるで我が事のようです。
○(あちゃこ)空気人形に重なるが、共感の一句。
空き瓶にさしこむ光さやけしや 敏
◎(メイ)空き瓶が置いてある空間がしんと静まっていて、差し込む光はすがすがしくうつくしい。
◯(ルカ)秋の頃の差し込むひかりの美しさ。
秋の蚊のつぶやきたるは空耳か アダー女
〇(瞳人)老いには負けんぞと、つぶやいていたのでしょう、きっと
◯(道人)空耳ではなく秋の蚊は作者に何かを語りたかったのに違いない。生きとし生けるもの声は心で聞くもの。
秋桜や空耳だろか子守唄 めたもん
雲の奥にまた雲のあり秋の空 春生
〇(仙翁)雲の奥の雲、面白い表現ですね。
○(宙虫)奥行きを持たせたところがうまい。
空つぽの踊り子号や実むらさき メイ
○(吾郎)県を跨いでの外出が躊躇われる今日この頃。
〇(藤三彩)コロナ禍で伊豆への旅行者は激減り。修善寺温泉は夏目石の大患で知られる。
◯ (アゼリア) 早く踊り子号に乗って伊豆の海を見に行きたいですね。実むらさきの季語が素敵です。
虚空に手を差し入れて捥ぐ林檎 餡子
〇(楊子)林檎というたっぷりとしたものを捥ぐのに虚空という取り合わせがいいです。
〇(メイ)この林檎は虚空に実っている。?ぐという日常的な動作が非日常になる面白さ。
◎(アダー女)自分と実った林檎の間には何もないはず。虚空という仏教語には「何も妨げるものがなく、全てのものの存在する場所」という意があるらしい。句を読んだとき、「差し入れて」の措辞に言葉では表せない無のなかの有の感触が伝わってきました。
○(あちゃこ)成る程、こんな視点があったかと。虚空がいい。
長雨のあとの青空銀やんま 道人
〇(楊子)清々しい。光がきらきらと見えます。
○(泉)景色が明確に見えて来ます。
◯(アネモネ)やんまの翅の輝きがあざやか。
〇(瞳人)雨の時は、うちの渋柿の枝にじっと止まって、雨宿りしていました。
〇(めたもん)雨上がりの爽やかな景に「銀やんま」が印象的。同じ蜻蛉でも「銀やんま」以外ではこの感じは出ませんね
○(宙虫)空のまぶしさと銀やんまがピタッと来る。
縄文へ抜ける大空稲の花 あちゃこ
◎(楊子)小さな稲の花は日本人の祖先から受け継いだDNAのようです。大空と小さな花の取り合わせもいいです。
◎(吾郎)悠久と瞬時が交差する、実に美しい。
◎(泉)「縄文へ抜ける」という発想に驚きました。
◎(餡子)先日、歴博に行って、縄文時代をじっくりと見てきましたので、この句の心がわかります。今思えば現代よりも、知恵と工夫に満ちた縄文時代だったようです。
〇(藤三彩)青森の三内丸山遺跡も休館中。スカッとした大空が見たいものだ。
〇(めたもん)上五、中七の思い切った発想と断定が素晴らしい。空間的にも時間的にも大きな句だと思います。
◯(ルカ) 季語が効いてます。
◎(まきえっと)「縄文へ抜ける大空」への発想が見事です。縄文土器に付いていそうですね。
何もかも空回りして穴惑 ルカ
○(餡子)勿論、作者の有り様を詠ったのかもしれませんが、今の時代の政策?ともとれます。蛇でさえ迷っているのです。
◎(仙翁)空回りと穴まどい、いい取り合わせですね。
秋彼岸色即是空の足痺れ 藤三彩
○(卯平)秋彼岸の法要で足も痺れたか。まだまだ俗人だ。
◯(アネモネ)足痺れがなかなか。
母さんの畑だった空赤とんぼ 珠子
◎(敏)「母恋い」の秀品。赤蜻蛉がお母さんの生まれ変わりに思えてなりません。
◎(藤三彩)景が重複してしまう。ナゼそこ?秘境に住む人知りませんか?(テレ東)に畑を耕して廃墟集落で自給自足している一人暮らしの老婦人がいたな。
〇(めたもん)「母さんの畑」に「赤とんぼ」の景。懐かしさと優しさが良いと思います。
サーカスの去りし大空鳥渡る アゼリア
〇(楊子)楽しいけれど少し寂しいサーカスのイメージと、ゆうゆうと渡る鳥の取り合わせが好きです。
〇(メイ)つい空を見上げたくなる一句。サーカスの喧騒が去った後に、鳥が渡っていく秋の大空は、来るべき冬を暗示しているよう。
◎(珠子)この閉塞感ばかりの時代にこの広さとおおらかさ。それだけでも◎の価値があります!
〇(春生)サーカス小屋のあったところが何もなくなった空虚感と鳥の去った後の空虚感。
◎(ルカ)青空がいいですね。
〇(ちせい)曲芸の記憶と現前して居る鳥が重なったのでしょう。
空高し記入したもの見せ忘れ ちせい
(選外)(卯平)中七、下五が解るようで解らない。だから季語の位置も不明。
空き箱に詰める順番雁渡る まきえっと
○(卯平)何を詰めているのだろうか。雁渡るからすれば何処となく寂しさを感じる。だとすれば遺品を詰めているのか。
○(あちゃこ)何でもないような日常の行為ですが、妙に惹かれます。引っ越しか断捨離か、人は常に悩ましい。
テーマ:消えない
さくさくと遠くに軍靴星月夜 アゼリア
○(餡子)さくさくは、かなり遠くだろうが、はっきりと聞えるのだろう。美しい星月夜なれば尚更。繰り返さないと誓った筈です。
○(敏)人種と国歌がばらばらである限り、どこかしらで「戦さ」の足音はたてられているのですね。
◎(春生)戦後76年、軍靴の音はどこにいてもどんな時間でも、消えません。
○(仙翁)戦時中の思い出でしょうね。消えませんね。
◯(道人)軍靴の音なき音は心の耳を澄ませば必ず聞こえて来る。戦争はなくならないもののようだ。人間の業。
(選外)(卯平)予定調和ではあるが、星月夜で軍靴の音が響いてくる。
わはははと消えない汚点夜長かな ちせい
○(卯平)作者の汚点を誤魔化している景だろうか。秋の夜長の自傷行為。
○(吾郎)消えないものは消しちゃいましょう。消えない痣はない。
◯(道人)軽妙洒脱な句。豪快に笑い飛ばす汚点とは?ちょっとした汚点が尾を引く夜長なのでしょう。
愛嬌も運も縁無し苦瓜噛まむ 瞳人
傷跡の刀そなたか能登小豆 吾郎
○(泉)見事な回文だと思います。能登大納言小豆は有名ですね。
○(宙虫)まさか水戸黄門ばりの小豆の登場?笑える。
◎(道人)物語が紡げそうな「能登小豆」。しかも題詠の回文句とは吃驚。調べも心地よい。
〇(まきえっと)時代劇になりそうですね。吉右衛門が主役がいい。
九・一一イスラム原理主義南無や 楊子
敬天のお宝真筆南洲忌 藤三彩
◯ (アゼリア)鑑定団によく出ますよね。でも季語はなにですか?無季語ですか?
〇(ちせい)9月24日。西郷隆盛の遺徳が偲ばれます。
限りなく続く高原秋の蝶 春生
砂の絵を消す波も無し秋の海 めたもん
○(泉)静かな秋の海が、目に浮かぶようです。
蛇笏忌の口をへの字に捨て案山子 アネモネ
○(吾郎)蛇笏忌がいい塩梅。
〇(瞳人)そういう顔ですよね
〇(藤三彩)飯田蛇笏と捨て案山子の取り合わせがわからなかったがなにかありそうな雰囲気が面白い
秋桜夢中で書いた恋の丈 道人
○(あちゃこ)恋の丈がいいですね。私にもそんな青春があったなぁ⁈
十三夜失せても消えぬ注射痕 ルカ
傷つけた短い言葉星月夜 まきえっと
○(アダー女)言われた側にも、相手を傷つけてしまったと思う側にも消えない言葉の記憶。この句は後者ですね。その切ない気持ち、よくわかります。
クラウドの写真の森や雪迎え メイ
○(宙虫)時代は進んでアルバムに貼ったりする作業はなくなった。写真がぎっしり詰まって森のよう?それとも写真に写る森?どちらにとってもいい感じ。
消え残る夕日のしずく鶏頭花 あちゃこ
〇(珠子)「鶏頭花」で決まりました。鶏頭は重量感のある季語ですね。郷愁を誘うのでしょうね。「夕日のしずく」には共感しました。
○(仙翁)夕日と鶏頭の色が重なって面白いですね。
◯(道人)残照に映える鶏頭花を「夕日のしずく」とは、言いえて妙。
青春に裏切りひとつ鳳仙花 餡子
◎(アネモネ)これは誰しも覚えがあること。「鳳仙花」グーです。
○(アダー女)青春時代の裏切ったか裏切られたかの甘く切ない記憶。因みに鳳仙花の花言葉は「情熱的な恋」のほかに「せっかち、短気」「私に触れないで」なんていうのがありますね。なんか青春とピタリくるような。
〇(珠子)私にもキリキリとすることのひとつやふたつはあり共感しました。鳳仙花のあの種が懐かしくて今年初めて育てています。今、ぷりぷりとした種がたくさんついていて弾けるのが楽しみです。
○(敏)一般的には裏切られた記憶の方が強烈だと思うのですが、一句の「裏切り」は自己嫌悪に陥るほどのことだったのでしょうね。季語の斡旋が素晴しい。
〇「青春の裏切り」と季語「鳳仙花」とが響き合います。一読後は「ひとつ」が曖昧かな?と感じたのですが、何回か読むと受ける感じが変わりますね。
◯ (アゼリア) 裏切ったのか、裏切られたのかわかりませんが、季語が鳳仙花なので暗い感じが無くていいですね。
〇(まきえっと)「鳳仙花」がいいですね。
(選外)(道人)誰にでも大なり小なりある辛い記憶。相手から見たら意外と気にしていないのかも。季語が合っている。
オリパラの感動消えぬ秋高し 泉
9.11マニキュア残し死屍の臭 卯平
線量というおぞましきもの白露 珠子
◯(アネモネ)最後を「白露」でまとめた力業に得心です。
〇(春生)原発事故の遺した放射能、線量は消えることがありません。季語「白露」が効いています。
父の帽子ポマードの匂い残る秋思 アダー女
(選外)(藤三彩)亡父なのでしょうが虫が湧かないか心配。
(選外)(卯平)句材は共感。「残る秋思」では詩情が殺がれよう。
亡霊を霧に浮かべる装甲車 宙虫
○(卯平)反戦の思い。装甲車が実際そこに在る事からこの思いだろう。理を感じながらの選。
○(餡子)とても気になる一句。皆さんがどのように読んだのかも気になる一句。
○(あちゃこ)打ち捨てられた戦場の荒まじい景が浮かびます。
忘れ得ぬ日の冷ややかな空の色 仙翁
〇(ちせい)忘れ得ぬ日の空の高さ、空の青さ、なのかもしれません。
落書きに残るイニシャル秋うらら 敏
〇(楊子)くすっとなる若い頃の想い出はやはり秋うららでしょう。いいこともそうでないことも思い出されます。
○(吾郎)うふふふっ きゅんです。
◯(アネモネ)いかにも芸術の秋!
◯(ルカ)イニシャルが妙に心に残ります。
(選外)(道人)随分減ってきたとはいえ、まだまだこの景は古い公園やガード下などに残っている。昭和の子の落書。
雑詠
芒の穂絡む海抜ゼロ地点 まきえっと
○(吾郎)台風情報には注意して、できれば芒にも注意喚起を。
ブルーベリーを売る子売らぬ子しゃべらぬ子 宙虫
(選外)(卯平)ブルーベリーがこの句の中で生きているだろうか。
ラ・フランス心の奥に置いてみる 道人
〇(珠子)心臓の形のラ・フランス。これから何が起こるのでしょう。何を起こそうとしているのでしょう。不思議なおしゃれな句だと思いました。
(選外)(卯平)「心の奥」に何を置いたのか。仏国歌の暗唱か。
溢れ蚊やキンカンのある薬箱 餡子
〇(楊子)もう刺す力もない溢れ蚊でしょうがキンカンがあるから大丈夫。
○(アダー女)一家に一つ必ずあった「キンカン」懐かしいです。
秋滝や己がたましひしづもれり 卯平
〇(ちせい)竜の気配を感じたのかもしれません。
芋虫や少女は美貌の女性へと 泉
○(卯平)陽水の歌を思い出す。芋虫は少々理ではある。
◯(アネモネ)いやあ素敵な物語です!
◎(瞳人)太地喜和子という女優がいましたね、きっと、そうなのじゃあないかと思いました。
遠き台風コンパスの軸ぶれる 珠子
横たへて長し落ち鮎釣りの竿 アネモネ
我が町もまあそれなりに秋めきて アダー女
〇(瞳人)萩、芒の下から、曼珠殊沙華が一本すっくと、わが路地裏は
紅葉を待つ信濃路の並木かな 春生
秋の草コップの下の置手紙 メイ
○(敏)秋は物思いの季節です。一句のシチュエーションと置き手紙の内容から、色々な物語が生まれそうです。
○(仙翁)置手紙、いろいろ想像させてくれますね。
〇(めたもん)「置手紙」は家族からのものでしょうか。「置手紙」にはやや重いニュアンスがあり内容が気になります。
◎ (アゼリア) 何の手紙なのか想像が膨らみます。
○(宙虫)風に飛ばされないように。少しだけさみしさをともなう。
〇(まきえっと)「秋の草」のさり気なさがいいですね。
秋風や五感響かぬ現の世 仙翁
十七文字の宇宙に遊ぶ秋灯下 アゼリア
〇(春生)俳句は本当に優れた文芸だと思います。作者の俳句愛好家のようです。
小川澄むカメラ入れなど洗はれて ちせい
小鳥来る九九の暗唱三回目 楊子
◎(卯平)一生懸命九九の練習をしている子への暖かい眼差し。迷った末こちら(天の川・・・と比較して)を特選とした。決定打は作者の自己投影の強さ。
○(泉)良く勉強していますね。感心です。
生きてると気付く真夜二時ちちろ鳴く めたもん
○(餡子)今迄は全く考えたこともないことを、考えるときがたまにある・・・「明日の朝、目覚めるだろうか?」と。 真夜の二時。おおー良い虫の音だぞ。生きているぞーー。
〇(メイ)ちちろが鳴いて、ああ私は生きてると気付くその瞬間。生きてると気付かないことも多々ある。
○(アダー女)丑三つ時と言われる真夜中、ちちろ虫が鳴く声は寂しげ。爆睡からはっと目覚めたのか、虫の声に老体?病む身?もこの虫同様生きているし、まだまだ生きて行くと再認識されたのか?
○(敏)蟋蟀の生死にかこつけて、作者自身の生を確認したことでしょう。
〇(春生)何か、お悪いところがおありでしょうか。でも、このコロナ禍のなかにあっては、毎日が生死の境に立っている気分です。いつ罹っていたかも知らず、突然死がやってくるのですから。
◯(ルカ)老いの実感。
天の川あと一枚の七並べ ルカ
○(卯平)十分に特選候補。このような場面は誰でもが経験。それは上がり一歩手前の緊張感。天の川の景がその緊張感を明確にしている。上手い句だ。特選を迷った。
秋刀魚の恋し目黒羅漢の目に泪 藤三彩
繁栄す軒あり秋の炊煙は 吾郎
〇(珠子)仁徳天皇は、人家のかまどから炊煙があがっていないときには、民が貧しい状況をさっして税をめんずるなど常に民のことを考えたとか。現代の宰相は、コロナ禍の中で炊煙の上がらない民をどうやって救済するのでしょう。
◯ (アゼリア) 近所にこういうお店あります。薄汚いラーメン屋なんですが、いつもお客さんがいっぱいで昼から呑んで盛りあっがてます。
非常事態いつまで続く赤のまま 敏
〇(藤三彩)コロナ疲れは共感。
木槿忌や名付けし人又遠くなり 瞳人
○(アダー女)向田邦子さんが亡くなってはや四十年。向田さんと親しかった山口瞳さんの向田さんの死を悼む「木槿の花」という著からとって木槿忌という忌名がついたらしいですね。その名付け親の山口さんも亡くなって久しい。どんどん過去になっていくんですねえ。でも向田作品は古びない。私は向田作品の大フアンでした。
〇(藤三彩)向田邦子氏が突然の飛行機事故で亡くなって40年。山口瞳氏を知る人も少なくなっているだろう。
〇(ちせい)山口瞳氏ですね。木槿忌の主体は向田邦子ですが。
(選外)(卯平)季語は向田邦子の忌日。没後40周年の今年の句か。中七下五の措辞が安易。
(選外)(道人)向田邦子逝きて40年。「木槿忌」追悼の本「木槿の花」の著者山口瞳もその本を絶賛した久世光彦もこの世の人ではない。有名無名を問わず誰にでもある感慨であろう。
螽斯鳴いてぎしぎし骨二百 あちゃこ
◎(めたもん)骨二百は人間のことでしょうか。「ぎしぎし」は螽斯の声とも骨の音とも。孤独、無念などと共に諦念に近い強さも。リズムと詩的不可解さが魅力です。
◎(宙虫)この骨たちが感情を持っていそうな。螽斯の鳴き声がさみしくもあり、不気味でもある。
◯(道人)人間のからだは206個の骨の組合せ支えられているようだ。この句は意味よりも韻律のもたらすイメージを読み手がそれどれ味えばいいのでは?キリギリスの鳴き声に浸る老境の作者の境涯句かと。
◯(ルカ)俳諧味があります。
〇(まきえっと)骨を通して何か言っているように感じました。
☆次回をお楽しみに。
広島はさすがに秋らしくなって来ました。しかし、まだまだ暑い日が続きます。広島カープは来年に期待ですが、ヤクルトが案外と穴かな?大谷は確実に大リーグの歴史に名前を刻みました。立派だと思います。