小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第409回小麦句会結果発表

2019年07月24日 21時00分03秒 | 15日句会

こんばんは。

九州、四国、関西、北陸が梅雨明けしましたね。

今週は来年のオリンピックに備えてテレワークを試してみました。

 

兼題:半

四半分の三分の一のメロンかな  敏

○(餡子)結局十二分の一ということですね。薄い一切れ。きっとウン万円のメロンでしょう。

〇(宙虫)あれあれどんどん薄いメロンになっていく。面白い。

(選外)(幹夫)高価な夕張のマスクメロンですね。嘗ては炭鉱の町も破綻から10数年、その後の夕張市は如何に?!

 

訥々と語る半生送り梅雨  道人

(アゼリア)送り梅雨の季語が効いていると思います。

(選外)(敏)誰にでも余人には代えられない人生があるということ、それを語るとき、人は訥々としてしか語れないということを、一句は示しているのでしょう。

 

半夏生埴輪に易き臍の穴  珠子

〇(楊子) 眼も口も臍もあっけらかんと空いている穴が何かを語っているようで、そうではないようで。

 

半袖をまくりバナナの叩売り  アネモネ

○(幹夫)「半袖になりしついでのひと仕事」(神田秀子)と詠まれているから「半袖」も幾分夏季語っぽいのですが、ここでの季語は勿論「バナナ」!昔バナナと言えば、高級果物の筆頭でしたね。句は、おっちゃんのダミ声も聞こえてきそうな。逞しき二の腕の様子がよく詠まれていると思いました。

 

絶筆の半身の馬遠き雷  あちゃこ

○(卯平)坂本繁二郎のことか。繁二郎と関係がある地に住む者として戴かざるを得ない。少々ゴツゴツした吟ではあるが。

(珠子)大地の画家の作品名に季語を付けただけの句ですが揺るぎない。

 

夏月や半分残すアップルテイ  卯平

 

長梅雨や白鵬敗るもう半分  瞳人

〇(藤三彩)夏場所取り組みの折り返し。同じモンゴルの逸ノ城は一気に白鵬を押した。鶴竜は万全の白星。

 

七月の姉の回転二回半  楊子

(あちゃこ)場面は想像の域を出ないのですが、全身で元気をアピールする姿が面白い。

 

かまきりの子たちの夢に夜半の雨  宙虫

○(仙翁)カマキリの子たち、面白い。

(多実生) 孵ったばかりの無数の小さなかまきり、子かまきりにとって雨の衝撃は大変。

 

五時過ぎて鯵は半値や主婦集い  泉

〇(藤三彩)鯵より高値で売り残るキングサーモン、さわら、かつお冊などが8時ごろのお奨め。

○(ちせい)季語は「鯵」。スーパーのタイムセールでしょうか。面白い現象です。

(多実生) この光景は目撃しました。五時は一例でしょうが、雨の日など時間が早まる様です。

 

暗がりに浮かぶ白壁半夏雨  幹夫

(ルカ)この時期のひかりと雨の暗さがよく出ています。

(珠子)半夏雨のころは7時過ぎても何となく明るくてこういう感じです。取り合わせがきっちりとはまっています。

○(吾郎)そういう季節のはずなんですが、曇天続きでいやはやなんとも。

○(敏)しきり降る半夏雨の中、浮かびあがる白壁に半夏生の姿を重ねて見ているようです。

〇(まきえっと)「浮かぶ白壁」がいいですね。

 

バカなのか裸身紳士ら彼の半ば  吾郎

 

ポケットに映画の半券梅雨滂沱   餡子

○(卯平)このようなことはよくある事。その一瞬を句に出来る事は俳句文芸の所以だ。季語からその映画がどのような映画であったか、誰と言った映画かなど多くの情報が圧縮されている

○(泉)何となく魅力的な俳句だと思います。説明は出来ませんが・・・。

〇(藤三彩)あるある。洗濯しようとポケットを探るとあらぬ映画の半券が・・

 

四半分に線香を折る盂蘭盆会  仙翁

(ルカ)四半分に実感があります。

〇(宙虫)独特の空気を持っている句だと思う。

 

半分は作り話やところてん  ルカ

○(卯平)この場合の作り話は許されるし、滑稽感もある。それは季語の力である。

〇(瞳人)そんな真剣な目で見るな、決まってるだろ

○(泉)ユーモラスでインパクトのある俳句だと思います。

〇(楊子)うんうんといい加減に聞いて話して気がすむのです。そんな時間もいい時間。

○(アネモネ)「ところてん」で話を聞いている人たちの年齢が見えてきます。

(珠子)話し手も聞き手も、半分は作り話とわかっているのです。ホントと冗談の境目がわからない話を楽しそうにする方は私のまわりにもいます。

◯(道人)ところてんの人情句の妙味。

(あちゃこ)あっけらかんとした言い切り。リズムもいい。

〇(まきえっと)笑いながら話している様子がします。

 

大半は酸欠自覚富士登山  多実生

○(アネモネ)なるほど。得心です。

〇(藤三彩)山小屋に一泊して低酸素に慣らせればよいものをダンガン登山するから倒れちゃう心肺停止。

 

月鈴子やつれる恋の半音階  藤三彩

(あちゃこ)月鈴子は、鈴虫のこと。秋の先取り句ですが、恋の辛さが半音階とマッチしています。

○(敏)盛りを過ぎた蟋蟀の鳴き声を「恋の半音階」と捉えた観察力に、感心しました。

 

西日差す古き下宿の四畳半  アゼリア

◎(餡子)古きと言わなくても、あの昭和の貧しき時代と分かります。色々なドラマが生まれました。ああ~~~。 

選外(吾郎)四畳半がある下宿というだけで、充分古いっす(笑)

(選外)(道人)昭和で時間が止まったままの感覚、よく分かります。

 

半分の炭酸水を信じます  ちせい

 

お喋りに半分溶けるかき氷  まきえっと

○(卯平)まさに女子会の風景。それもうら若き乙女らのそれ。ある程度の年かさを経れば季語は「生麦酒(ビール)」だろうか。

〇(瞳人)あはは、きっと、いい話なんだ

(ルカ)確かにそうです。

○(道人)日常の一瞬を切り取って巧い。

◎(幹夫)季語「かき氷」の捉えどころが佳くて共感です。

 

テーマ:乗り物に関すること

ケーブルカー濃霧の上の千畳敷  多実生

(選外)(藤三彩)「駒ケ岳ロープウェイ」に乗り「千畳敷カール」へ。「霧」が秋、高山植物の夏は短い。

 

トラックの荷台にトマト鴉鳴く  仙翁

○(ちせい)季語は「トマト」。移動スーパーでしょうか。それとも卸し。鳥は声援か、果実を狙って居るのか。

 

ヨット航く湖底に零戦志士の靴  幹夫

(珠子)戦争はしてはいけない。

◎(道人)「ヨットの湖底に零戦志士の靴」とは見事な時間軸の飛躍と深い鎮魂の思いがよく伝わって来ます。

(あちゃこ)湖底や海底には、戦争の記憶がたくさん沈んでいる。

 

急流に夏を捉える棹捌き  まきえっと

○(泉)川下りでしょうか。夏らしくて良いと思います。

◎(吾郎)これは壮快、実に涼し気。夏を捉える~がいいですねぇ。

○(仙翁)河下りの様子がよく見えます。

○(敏)川下りの一景でしょうか。棹捌きを「夏を捉える」としたところユニークな表現です。

(アゼリア)夏を捉えるー上手な表現と思いました。水飛沫がかかりそうです。

 

駅弁を作るロボット明け易し  泉

○(卯平)なるほど早朝作る駅弁はAI作業なのか。作者はそこで働いているのだろうか。必ずしも季語はこの時期で限定しなくても良いだろう。つまり、季語は少々不安定である。

〇(楊子) もうそれは見たくないですが、ありうる情景でしょう。

○(アネモネ)これはもう「明け易し」の勝利。

(ルカ)不易流行の一句。

○(餡子)これからの世の中、すべて、ロボットとかAIがやるようになるのでしょうか。人の手に勝るものはないと思うのですが。

(珠子)深夜から始める駅弁作りにロボットが使われていると。例えばどの部分の作業なのでしょう。平易な言葉で現代をさらりと詠んでいるところに惹かれます。

◯(道人)昼夜働き尽くめの駅弁ロボット。今日性のテーマと季語がよく合っている。

〇(宙虫)時代を感じますね。季語にもう一工夫あればとも思う。

(多実生) 晴海の展示会場で食品機械展を見た事があります。機械で出来ない食品はないのでは?

 

越南のバイク洪水明易し  瞳人 

 

夏草やお客のいない縄電車   餡子

◎(卯平)遠い昔への郷愁。そこに乗っているのは「たましい」。季語の位置がこの句の詩情を膨らませている。秀吟。

〇(瞳人)ちとさみしいけど、いつでも、お客になったるでえ

○(仙翁)子供の頃の遊びを思い出しました。

○(敏)運転手と車掌が乗ると、お客の乗るスペースが無くなるほど短い縄電車遊びをした、遙けき昔を思い出しました。

(選外)(道人)付き過ぎの感もありますが、何かしらもの寂しい郷愁を感じます。

 

河童忌や誘われ墜ちるステルス機  藤三彩

 

泣かんでと箕輪桑の実都電かな  吾郎

〇(藤三彩)昔は校庭にも桑の実が成って口の周りを紫にして小学生が下校した。こんなに汚してと下町の母親に叱られる。

◯(道人)都電箕輪駅周辺には、色々物語があります。 ??

(宙虫)リズムいいし、あれあれと言葉を追っていると都電が出てくる展開が好き。

◎(まきえっと)箕輪がいいですね。「泣かんで」と響きあっている。

 

荒梅雨をかいくぐり来し救急車  敏

 

最終の灯り涼しく総武線  アネモネ

◎(瞳人)いま、総武線って何時ごろ、これもきっと、いいはなしで、遅くなったんだ

(珠子)終電に乗っていたのか、その時間帯に外にいたのか。決して爽やかな状況の中で灯りを見たのではない気がしますが、中七が爽やかです。

(多実生) 勤めの頃最終電車に乗った記憶あり、総武線に限らずどの線も最終は独特な共通点があり、乗客一変の様相です。

〇(まきえっと)総武線とは扇風機の時代からの付き合いです。

(選外)(藤三彩)東京の三鷹りから千葉へと伸びる総武線。錦糸町、亀戸辺りで途中下車して居酒屋にしけ込んでしまう。

 

自転車の灯にしぶく雨星祭   珠子

(アゼリア)てるてる坊主さげたのに残念でした。

 

七色のホワイトノイズ夜半の夏  卯平

(あちゃこ)ホワイトノイズについては知りませんでした!睡眠アップ?暑苦し夏の夜をこのように表現できるんですね。

 

水引の赤い点々負けず嫌い  楊子

○(ちせい)季語は「水引(草)(の花)」。座5の「負けず嫌い」が字余りながら手柄でしょうか。

 

青嵐や荷台に並ぶ牛の耳   あちゃこ

◎(仙翁)牛の耳が不気味で面白い。

 

電車過ぐ魔法にかかる梅雨茸  ちせい

 

白南風やたった一人の観覧車  道人

○(餡子)さもありなん。我が家の近くのビッグホップというところの観覧車はいつもこんな感じです。

○(吾郎)寂しいというよりかなりシュールな絵柄、当然モノクロ映画。

○(仙翁)乗っているのを見ているのか、自分が乗っているのか。

〇(宙虫)上五で観覧車からの景色そして心情を見せる。

◎(ちせい)季語は「白南風」。孤独を楽しむ心と俳句心は通じ合うものがあるのかもしれません。

○(幹夫)明るい空に白南風と一寸切ない一人ぼっちの観覧車との対比。季語が佳く詠まれていると思いました。

〇(まきえっと)白南風が一人でも寂しさを感じさせないです。

 

浮き桟橋を体が覚えている西日  宙虫

(ルカ)中七がいいですね。

○(敏)浮き桟橋ではなく浮き橋ですが、それを渡った時のあやうさは、たぶん似たようなものだと思いますが、私の体もしっかりと覚えています。

 

立葵廃線の危機乗り越えて  アゼリア

○(餡子)銚子電鉄のことでしようか?立葵がぴったりの季語です。 

○(幹夫)縦軸立葵と横軸廃線の取り合わせが佳いですね。

 

六月の路面電車の音の中    ルカ

 

雑詠

あめんぼの水面せましとゐるゐるゐる  アネモネ

◎(藤三彩)「ゐるゐるゐる」を選択した文字そのものが「くるくるくる」と渦を巻いている。

○(餡子)この場合、「ゐるゐるゐる」の旧仮名がいきています。

○(吾郎)旧仮名のゐの繰り返しがヴィジュアル的にも蠢く感じでよろしいかと

(あちゃこ)ゐるの字面が映像化を助けている。表記の効果は大事ですね。

〇(宙虫)下五の面白さに。

(アゼリア)景が良く見えて臨場感があります。

○(幹夫)敢えて下句字余り効果により水面に溢れるように発生アメンボが佳く描かれていると思いました。

(多実生) ゐるゐるゐるの表現に風景が浮かび上りました。

〇(まきえっと)「ゐるゐるゐる」がいいですね。

(選外)(敏)なんといっても水馬の象形として「ゐるゐるゐる」としたところが、着目の面白さでしょう。

 

電柱に猫探す紙夏の月  まきえっと

〇(瞳人)きっと見つかるよ

○(泉)何となくユーモラスで、何となく物悲しい俳句だと思います。

 

夏山に足搔き掻き分くけもの道  仙翁

 

ネックレス笑顔で値切る夜店かな  泉

(ルカ)夜店だから許される笑顔。

 

短夜や一字を敲く一行詩   餡子

〇(楊子) 敲くにひかれました。キーの音が響きます。

◎(敏)私も投句直前には、いつも掲句のように字句に拘り、推したり敲いたりをしていますが、しすぎると大抵駄句に陥ります。

○(ちせい)季語は「短夜」。推敲の心ですね。

 

フェデラーの滴る胸毛夏つばめ  藤三彩

○(幹夫)先般ウインブルドン2019、錦織圭は芝生の帝王フェデラーには及ばず、大熱戦最後はジョコビッチだった!他にはナダル、マレーのテニス界BIG4!低滑空スピード感満載、「夏つばめ」がいいですね。

 

可笑しさや昼寝兼ねる日優し顔  吾郎

(アゼリア)共感の句です。昼寝がなければ夏は乗り越えられません。

 

夏衣まといて海女の日曜日  道人

(選外)(幹夫)海女ちゃんには日曜日もないのですね。「海女」を晩春の季語とする歳時記もありますが、ここでの季語は断然「夏衣」なのですね。

 

古民家にカードリーダー梅雨晴間  楊子

 

黒ビール逝ってから聞く立志伝   珠子

◎(楊子)逝ったひとにはライバル心や恨みはなく、そうだったのかと素直に納得しながら飲む黒ビール。 苦さは自戒とも。

○(吾郎)だいたい飲んべえの通夜はそういう話で盛り上がる。

◯(道人)黒ビールが好きだった故人なのでしょう。見かけは普通の人が、意外な成功者だったりすることはままあることですが、中七下五の措辞に惹かれました。

 

プレハブを載する列車や夏の果  卯平

〇(楊子)家というものの使命や価値は根底からくつがえされつつある。意外に楽しそうに乗るプレハブ。

(アゼリア)スケールの大きな句と思います。アメリカの西部を思い浮かべました。

 

讃美歌の歌が聞こえる大雪渓  あちゃこ

(選外)(藤三彩)うーん難しい。喜びなのか悲しみなのか感情や祈りが伝わってこない。「山路こえて」404番「峯の雪とこころきよく、雲なきみ空とむねは澄みぬ。」松山伝来の作詞。遭難、被災などを悼む祈りならば298番 「やすかれ、わがこころよ、主イエスはともにいます。」 

 

寺町で目覚め水音酔芙蓉  宙虫

 

夏草や抜けば大地のでかい穴  ちせい

○(泉)豪快な草取ですね。暑さも吹き飛びます。

○(吾郎)けっこう根が深いというか複雑怪奇に広がっているもので。植物はホントに凄いと思う。

○(仙翁)大きな穴が開くとは、どんな草だったのか。

(多実生) 肥えた土地ですね。でかい穴にユーモアと痛快感。

 

ラムネ飲むおどけ目玉のピエロかな  幹夫

○(ちせい)季語は「ラムネ」。何か上5の季語と中75の内容が合っているような。

選外○(卯平)一瞬発見があると見受けたが、ピエロとおどけ目玉は同じ事ではあるまいか。季語の位置が面白いので選にいただいた。

 

青梅雨やことは次第に複雑に  敏

〇(瞳人)あはは、日韓みたいだ、いや、こっちはまったくもって正しいよ、言うまでもなく

 

短夜のホラー映画のエンディング     ルカ

 

朝顔の遠い記憶に釣瓶井戸  多実生

◎(アネモネ)上手い!まさに「遠い記憶に」!

(選外)(幹夫)朝顔と言えば、私も加賀千代女の「朝顔につるべとられてもらい水」の句が思い浮かびます。

(選外)(敏)最近の歳時記には、加賀千代女の「朝顔に釣瓶渡られて…」は載らなくなったようですね。広辞苑には、人物紹介だけは載っています。

 

脳トレの後の筋トレ雲の峰   アゼリア

○(アネモネ)笑いました。お励みなはれ!!!

(選外)(幹夫)こういうのも文武両道の一つの手段なのでしょう。上句から中句のリフレイン、リズムがいいですね。

 

梅雨空の歴史となりしザ・ビートルズ  瞳人

◎(泉)確かに遠い記憶になりました。しかし、未だに燦然と輝くスターです。

○(アネモネ)ほんとほんと。ビートルズはもう歴史!

 

次回をお楽しみ。



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2019-07-25 16:07:04
まきえっとさん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島はいよいよ梅雨が明けました。今年の梅雨は長かった、と思います。広島カープの調子は今ひとつですが、今後に期待ですね。偶然にテレビ番組で、ロボットが弁当を作っているのを見ました。「オカズ」を詰めていたのですが、なるほど単純作業ですから。


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