こんばんは。
桜が満開です。やっぱり綺麗ですね。
兼題:根
紙風船つぶして水をやる毛根 宙虫
風邪模様大根おろしが効く噂 泉
○(餡子)タンポポ茶がコロナに効くとか、~~が痩せる効果があるとか・・・いろいろと怪しいのがありますね、でもこの句はほんとうかもしれません。
〇(宙虫)コロナウイルスの件もあるが、大根おろしってこういう噂は確かにある。問題はないからたくさんどうぞ。
根掛りの縺れ極まる鶏蹴合 瞳人
息の根の先にありけり春の水 卯平
〇(仙翁)息の根の先とは、面白い。
根無し草大地を知らず春に舞う 仙翁
○(あちゃこ)根無し草になりたい最近の暮らし。見えない檻を抜け、春を謳歌したいものの叶わず。
走り根の辺り上座に花の宴 アネモネ
〇(珠子)多少ごつごつしていても、走り根は年長者が座る椅子にもなりそうですし、やはり上座はそこでしょう。今年の花見は1m間隔の車座で?
◎(楊子)大木を背に上座が設えられるのに気がづいた。たぶん座りごこちはよくないかもね。とりあえず盛り上がりましょう。
〇 (多実生) 花の下の宴が目に浮かびますが、上座の位置がユニークです。
〇(ちせい)季語は「花の宴」。上座もちょっと居心地が悪いのかもしれません。
○(まきえっと)やっぱり平がいいですね。
(選外)(道人)そんな感じです。花見は場所取りが大変。
花に酔う根明根暗も共々に 敏
○(泉)みんなで愉快に花見です。新型コロナを吹き飛ばす!
根の国へ往復切符鳥雲に 道人
◎(餡子)あーー往復切符でよかった。行ってきたらどんなだったか教えて下さいね。
◎(宙虫)故郷に帰れる往復切符は大事にしていきたい。
春苗木根元を結わえられて立つ 楊子
◯(アネモネ)上五は窮屈ですが措辞に納得。
(選外)(藤三彩)春苗木が具体的に何なのか。ポット苗ではない。果樹ならありそうだが春苗木というのかな。サクランボ苗の佐藤錦を買ったばかり
大根の花袴の妣の通学路 アゼリア
やわらかに尾根青みゆく巣立ち鳥 あちゃこ
◯(アネモネ)鷹の巣立ちでしょうか。景の大きないい句だと思いました。
〇(春生)いよいよ、新しい世界への旅立ちですね。気持ちの良い句です。
◎ (アゼリア)巣立鳥が希望に満ちた春を思わせて、こういう時期だからこそ爽やかな句に惹かれます。
○(敏)緑を帯び初めた尾根を目指すかのような若鳥たちの巣立ち。早春の息吹に溢れています。
◎(まきえっと)気をつけて。景の大きな句です。
菊根分け数カ月後の先を見て 多実生
〇(藤三彩)「菊根分けあとは自分の土で咲け」結婚式に吉川英治が詠み贈った句。新婚さんが仲良く暮らせますように
すっと抜く春大根に疵一つ まきえっと
○(ルカ)大根抜くの、結構難しいです。春大根は冬より抜きやすそうですね。
〇(珠子)これは泥付きの大根にできた真っ白な疵かもしれませんし、花を咲かせ子孫を残そうとする頃の大根の筋っぽさかもしれません
〇(楊子)ハッとする発見があります。すっと抜けただけに疵が気になります。
〇(春生)細かい観察で、実存感が出た。
◯(道人)「疵一つ」で春大根の強さと新鮮さが「すっと」伝わって来ます。
◎(ちせい)季語は「春大根」。疵一つの着地が決まって居ると思いました。
蓬餅根っこの同じ友といて ルカ
◯(アネモネ)「根っこの同じ友」素敵です。
○(泉)「根っこの同じ」・・・親友ですね。
〇 (多実生) 季語が効いています。根っこの同じ、こんな友もごく少数になりました。
○(あちゃこ)根っこは、色々にとれます。故郷や感性、考え方等々。強い絆で結ばれているのでしょう。
〇(宙虫)蓬餅がその根っこのあるところを教えてくれているようだ。
遠き日の根室の別れぼたん雪 餡子
◯(アネモネ)伊勢正三やイルカの声が聞こえて来そうです。
○(泉)映画のワン・シーンの様です。
◯(卯平)初恋の淡い思い出。ロケーションは劇的である。イルカの歌からの発想か。それとも詠み手の体験か。体験であればもう少し自己投影が表現出来ても良さそうだ。
◯ (アゼリア) イルカの名残り雪を思わせる懐かしくロマンチックな句と思いました。
人影に逢わねど谷根千花の陰 藤三彩
○(敏)花どきならば人出に溢れる谷根千界隈も、今年ばかりは閑散としていることでしょう。
休校の花壇に教師菊根分け 春生
◎(アネモネ)先生の後ろ姿が見えます。
○(餡子)うれしいですね。学校が始まって秋になったら、丹精込めた綺麗な菊がさくことでしょう。ほのぼのします。
○(まきえっと)ちゃんと見ていてくれる先生なんだろうな。
沈下橋根元蝌蚪もね芝感知 吾郎
春泥や根が露出して脈をなす ちせい
◎(あちゃこ)脈は、生きる鼓動。力強さが映像としてはっきりとみえます。
鎮魂の青空万の木の根開く 珠子
◎(道人)詩情豊かな東日本震災忌詠。「万の木の根」が心に響きます。
テーマ:空
足跡の上を足跡鳥帰る まきえっと
○(ルカ)鳥の足跡、人間の足跡。足跡は続く。
〇(楊子)そういうことあるよなあと納得しました。寂しさが漂います。
○(餡子)海岸でしょうか?山道でしょうか?足下から広い空への転換が見事です。
〇(宙虫)人間の歴史、大きな時間を感じる。
クーと鳴き被災地の空白鳥引く アゼリア
春雷や大地に生まれ空に消え 仙翁
しゃぼん玉ふわりと受胎八週目 楊子
○(泉)受胎の重さと、しゃぼん玉の軽さ。ユーモラスな俳句だと思います。
○(餡子)おめでとうございます!安定期までは、まだまだ気をつけて過ごして下さいね。
◎(春生)新しい生命の誕生、不思議と魅力的な句になりました。
◯(卯平)まだ目立ったお腹でもないが、何処か自分以外の「イキモノ」が宿っている不思議さを、詠み手は上五から中七で示している。季語の位置が詠みの今の気持ちを表している。秀句。
◯ (アゼリア) しゃぼん玉と受胎の取り合わせが素敵です。
空耳か自粛自粛と春の風 泉
◯(アネモネ)いやあ空耳じゃないですよ。まさに「自粛自粛!」です。
〇(瞳人)またはコロナコロナと聞こえるや
〇(藤三彩)新型ウイルスの影響は句会の開催にも及ぶ。中止か延期か、それとも不要不急な集まりなのかと。
(選外)(道人)何でも自粛自粛で、本当に春風の音までが「自粛」に聞こえそうです。
現世哉一切皆空飛花落花 卯平
○(敏)この世はすべて、飛び散り消えゆく花のように空しい、といったところでしょうか。経文のような作品ですね。
〇(ちせい)季語は「飛花落花」。仏教的な悟りの境地に桜が散り。
行春や棚々空に目に泪 藤三彩
樹木葬の若木一本春の雲 珠子
〇(楊子)「若木」に尽きます。季語もつかず離れずでいい感じです。
○(餡子)妹の連れ合いを去年樹木葬にて弔いました。見晴らしの良い丘。桜の若木でした。
◯ (アゼリア) 友達がご主人を樹木葬で見送り、最近電話でパパの桜大きくなったのよーと言っていた事思いだしました。
春の空鳥影に差す飛機の影 ちせい
空っぽの学舎すり抜け花の風 あちゃこ
○(ルカ)今の世相も反映していそうです。
〇 (多実生) コロナウイルス禍で、子供達の声は消え春風の音ばかり。早く歓声を呼び戻したいものです。
〇(仙翁)空っぽの学舎は、コロナによるものでしょうか。
つり橋の空をゆらゆら木の芽山 春生
〇(珠子)作者の位置は?ゆらゆらしているのはどなた?「を」が私にはわかりにくいのですが、強引に解釈しまして、いいなあ~、春だなあ~と。
〇 (多実生) 掲句の揺れる吊り橋に冒険心をそそられ、芽吹く木々を上から見られのは壮観。
○(吾郎)こういった普通の光景はうれしい。
◎ (敏)あたかも木の芽山に揺すられているような錯覚にはとらわれますが、高所恐怖症の私でも安心して味わえる表現です。
春の日が居坐る列車無人席 敏
〇(珠子)無人席が多少気になりますが、空いている席に春の日差しが居座るという視点がいいと思いました。
〇(楊子)南への旅でしょうか。ぼんやりと目的のない一人旅もいいですね。
○(吾郎)当季雑詠グループ?「空」感は出てるけど。モチーフは好き。
◯(卯平)ローカル線の一隅。そこに春の日が。作者の位置はこの座席を冷静に見つめている。だから、春の日と言うハレと無人席と言うケが相乗作用してこの句が立ち上がっている。秀句。
〇(仙翁)春の日が居座る、面白いですね。確かに、そのように感じることがありそうです。
青空の隅っこ探す葱坊主 ルカ
○(あちゃこ)葱坊主を見ていると、人の目を連想します。隅っこには、何かありそう。広々とした葱畑が見えます。
設計は丹下健三風光る アネモネ
◎(珠子)「世界のタンゲ」の建物にはこの季語が合う気がします。
◯ (アゼリア) 目白のカテドラルを想像しました。風光るの季語が効いていると思います。
〇(ちせい)季語は「風光る」。あの都庁を設計した人ですね、恐れ入りました。
空箱を潰す春夜の新任地 餡子
〇(瞳人)ピースというタバコがあったけど、森永キャラメルかなあ
〇(春生)大変な引っ越しですが、新天地への期待が出ました。
◯(道人)モノだけで詠われている単身赴任者の感慨に共鳴。
〇(藤三彩)確か黄砂が降っていた単身赴任の夜がありました。
○(まきえっと)何かいい感じです。夜も更けて参りました。
朝寝しておはると呼ばふ夢の中 瞳人
二十度が春の霙となる落差 多実生
播州の海は空色桜鯛 道人
○(泉)リズムが良くて、活気のある俳句だと思います。
◎(ルカ)瀬戸内生まれの私は、実感します。
○(吾郎)これは綺麗だ、いい取り合わせ。
浮くんかな過度の荷長閑な関空 吾郎
○(あちゃこ)関空で見事にしめ、映像が浮かび上がりました。
〇(宙虫)初めて飛行機に乗るとき、こんなこと考えた。かのリズムがおもしろい。
◯ (アゼリア) 浮きましたね。レバノンで優雅な日々を送っているのでしょうか。
〇(藤三彩)空港の長閑さ、荷重な荷物だかコロナ禍に旅客が消える。アイロニーな回文でした。
○(まきえっと)空港は順番待ちの列ですね。あの塊。
(選外)(道人)遥か昔のような昨年末のカルロスゴーンの逃走劇を思い出しました。
落ちてくる天使がきらり鱒跳ねて 宙虫
〇(仙翁)堕天使ですか。面白いですね。
雑詠
囀や五足並べて旅仕度 楊子
◯(卯平)ズバリ「五足の靴」の事。その旅の主発はこのように囀のなかだったのだろう。
目に見えぬ思惟を咥えて鳥帰る 餡子
○(あちゃこ)思惟は見えぬもの。説明的ですが、巷に溢れる様々な思いを運び去っていくという発想に共感しました。
◎(仙翁)思惟を咥える、面白いですね。鳥もいろいろ思うでしょう。
埋められぬまま三月十一日の欄 敏
〇 (多実生) 戦後最大の災害、試練は続きます。
〇(春生)未だに震災の傷は深いです。復興五輪とはいえ、未解決なことのなんと多いことか。
○(吾郎)てすりとみるか、記事と読むか。無念さは伝わる。
墓守の南部牛追い唄余寒 珠子
○(ルカ)風土をどっしりと感じました。
◎(卯平)就職した昭和三十八年の四月一日の歓迎会で披露したのが「南部牛追い唄」。既にその職を退き十年以上経ち、今では長子としての墓守が私の役季語の位置は段々と先細りになる世情を表しているのか。そう言う私の子も墓守は継承しないであろう。秀句である。
◯(道人)句材とリズムと「余寒」の止めが巧い。
〇(ちせい)季語は「余寒」。民謡を歌う墓守の矜持でしょうか。
馬蛤貝め買うのは農家姪が手間 吾郎
◯(道人)「馬蛤貝」の句は久しぶりに拝見。経験はないですが採るのはかなり手間でしょう。
大石忌カレー饂飩の昼餉かな ちせい
◎(瞳人)せめてカレー蕎麦にしてください
◎(泉)「大石忌」と「カレー饂飩」。意外と良くマッチしています。
○(吾郎)こういったストレートなのが好き。
一族の記念撮影花こぶし 春生
○(ルカ)大きな一族もあれば小さな一族もあり。それぞれの白が咲いています。
〇(珠子)花こぶしの頃は卒業や就職、別れ、一族集合の記念写真を撮ることも多いでしょう。結婚式かもしれませんね。
ぎくしゃくと動く背凭れ鳥雲に まきえっと
○(敏)郊外の壊れかかったベンチにでも凭れながら空を眺めているのでしょうか。
人間は持ちつ持たれつ春を恋う 多実生
春愁やあの世かの世のすさびうた 卯平
(選外)(道人)この世を斜めにみながら遊んでいる感じが佳いです。
ゆきやなぎなだれて魔女の背が縮む 宙虫
○(敏)夕闇の中に出会った雪柳の印象かも知れません。
一二合あたり朧のそれで好し 瞳人
春雨や帽子目深な訪問者 仙翁
〇(瞳人)佐田啓二の顔がにわかに浮かびました。小津映画を見たせいかなあ
〇(宙虫)雨の訪問者。チャールズブロンソン。思い出す。
◯(道人)春雨が紡ぐ物語の一齣が素敵です。
宿坊の低き看板春の雪 ルカ
〇(春生)「宿坊の低き看板」に臨場感が出ました。
〇(仙翁)何となくひっそりと、いい感じですね。
〇(ちせい)季語は「春の雪」。修行の姿などが思い浮かんだのかもしれません。
語り継ぐ火の空と街大樹の芽 あちゃこ
◎ (多実生) 私は、東京の戦禍の惨状を終戦直後に見ています。この句より“焼けて直ぐ芽ぐむちからや棕櫚の露”横網町公園の永田青嵐(秀次郎)の句碑を思い出しました。
原稿はなかなか書けず桜餅 泉
◎(吾郎)食べてから考えよう。言い訳とか。
〇(藤三彩)一息入れたい、伸びをしたいときの一服、草大福と豆大福をいただいた。
競輪場行きのミニバス山笑ふ アネモネ
〇(瞳人)タイヤの差という勝負があるそうで山も笑います
〇(楊子)小さなコミュニティバスが山間を走ります。諧謔味のある場所がいいですね。
○(まきえっと)小さな競輪場なんだろうな。楽しそうです。
休日を出勤日とす春愁い 道人
感染検査遠くでもなく春炬燵 藤三彩
ニーチェもサガンも遥か蓬摘む アゼリア
〇(瞳人)この組み合わせ、さて、どういうものなのでしょう
◯(卯平)何方も大学時代に一度は読んだ本。それは詠み手と同感である。今は蓬摘む生活。自然の中で第二の人生を歩んでいる作者。これらの本は本棚にあるものの今では紐解くこともない。それは鑑賞者である私と同様か。
◎(藤三彩)哲学もポエムも青春の記憶の彼方。そして高齢者と呼ばれる春が来ました。時は流れる。
次回をお楽しみに。
広島は春本番になって来ました。しかし、新型コロナの影響で今一つ盛り上がりに欠けますね。しかし、この様な経験をするとは、人生いろいろありますね。カネよりも命が大事。思う事は皆さん同じです。