つづき
石橋は昔のままや曼珠沙華 春生
〇(瞳人)ふりし石橋なつかし
◯(アネモネ)「昔のままや」に得心です(アネモネ)
○(仙翁)ふるさとに、久しぶりに帰って来たのでしょうか。
コロッケを食べれば輝く稲穂かな ちせい
◎(泉)「コロッケ」という発想に驚きました。共に黄金色ですね。
永らへし我が身横たへ狐花 卯平
◯(ルカ)淋しさが漂う。
◎(敏)「狐花」は数多ある曼珠沙華の異称のひとつ。「我が身横たへ」がただならぬ気配を感じさせるのは、ひとえに「狐」の文字のせいかも知れない。
水底に兄と拾った小さき秋 道人
〇(春生)懐かしい思い出ですね。
〇(珠子)まさに「うさぎ追いしかの山 小鮒釣りしかの川〜」の世界。「水底に」拾ったのがいい。
〇(まきえっと)水温のほうが高いんでしたっけ?
◯ (アゼリア) 姉と自然の中で無心に遊んだ幼い頃が甦ります。
○(あちゃこ)抽象的ですが、数々の思い出を懐かしむ作者が見えます。
◎(餡子)小さい秋、小さい秋、小さい秋 見つけた。サトーハチロウさんの世界ですね。こういう遊びのできる環境も失われていってます。
○(幹夫)幼き頃の兄弟の思い出が心地よく詠まれる。
〇(宙虫)兄弟の思い出は大切だ。
志士たちはルビコン渡り曼珠沙華 泉
○(アダー女)志士というと放映中の大河ドラマ「青天を衝け」もあり、日本人としては幕末の志士を思い浮かべますよね。作者の発想の飛ばし方が凄い!この志士はカエサル将軍で川はイタリアのルビコン川ですね。こんな壮大な景に発想が飛ばせる様になりたいものです。曼珠沙華という東洋的な言葉が血なまぐさい戦いという点で不思議と違和感ないですね。
○(卯平)日曜日の大河ドラマではこのような世界も美化され過ぎ。
〇(ちせい)志士なのにルビコンと言う組み合わせがいいと思いました。
(選外)(藤三彩)維新の?志士とカエサルのルビコン川を渡る軍勢との対比は面白いがよく掴めない
彼岸花風の墓標の如く立つ ルカ
◯(アネモネ)「風の墓標」がいかにもです(アネモネ)
〇(春生)まさにこんな感じですね。「墓標の如く」と捉えたのが手柄。
○(仙翁)風の墓標が面白いですね。
◯ (アゼリア) 風の墓標の措辞が素敵です。
(選外)(アダー女)さらりと読むと彼岸花、墓標とすんなり合い、美しい句ですね。平岩弓枝の「風の墓標」を意識しての句でしょうか?
さらけだす自分の姿秋の川 まきえっと
◯(道人)秋の川は何もかもお見通しなのでしょう。
突然も必然も赤曼珠沙華 楊子
〇(珠子)一読では曼珠沙華に「赤」は不要と思ったのですが、「突然も必然も赤」で切ってみたら、何かすごいものが浮かんできました。何物かハッキリしないのですが「強烈な何か」が。でも、やっぱり「赤曼珠沙華」なのでしょうね。
〇(まきえっと)そうなんですね。
◎(メイ)「も」を繰り返して次に何がくるのかと思ったら、曼殊沙華の赤に集中していくところが劇的で、魅了されました。
○(卯平)「曼珠沙華」を「彼岸花」と置き換えると素敵な句に生まれ変われるのでは。
翻訳アプリが鳥語をひろう秋棚田 宙虫
○(アダー女)今時の句として秀逸。澄んだ棚田には秋の鳥たちの声が気持ちよく聞こえてくるのがよ〜く伝わってきます。芭蕉さんが読んだら、さっぱりわからないでしょうが・・・
◯(ルカ)上五が新鮮。
◎(藤三彩)鳴き声の研究者によると幼鳥の頃から鳥たちは鷹や蛇の危険や餌があるぞなど教え合う。
◎(道人)素材が新鮮。時代を読むのも大事な俳句の役割。
〇(楊子)外国からの観光客でしょうか?狭い日本の暮しの工夫を見てほしいですね。知らない外国語は鳥語に聞こえますね。
母許へ何処曲がれども曼珠沙華 珠子
○(アダー女)「ははがり」と読むのを初めて知りました。ご生存の優しい母上を訪ねるというより懐かしい無き母の面影をたどっている心の旅路ととらえましたが、違ったらごめんなさい。
◯(ルカ)切ない句。
〇(春生)曼珠沙華ばかりの田舎に風景が伝わってきます。
◎(めたもん)咲き乱れる曼殊沙華と彼方の「母許」。そこには安らぎと共に逃れ難くどろどろとした母性が。リアルとイメージが重なり合った独特の世界。
◯(道人)中七のやや窮屈な調べが気になるが、その中七の意に感銘。
○(餡子)おかあさんの居られる家の庭も、曼珠沙華が咲いているのでしょうか。
〇(メイ)音とリズムが心地よい。自分の場所から母のもとへ、どの道を曲がっても曼殊沙華が待っているという構図が胸に迫ってきます。
○(卯平)眼目は上五の「母許へ」。この母は既に黄泉で遊んでいるのか。
◎(ちせい)思いの強さから曼殊沙華が母に見えて来たのかも知れません。
曼珠沙華川の辺りに生かされて あちゃこ
〇(瞳人)川のほとりが一番似合います
〇(珠子)兄弟のうち誰かが父祖の地に残り、家・土地・墓を守ります。そう育てられました。逆に他の兄弟は家を出て自立するように育てられました。
〇(メイ)「生かされて」には、曼殊沙華が咲いている川辺に立って、その川を眺めながら暮らしてきた人生を肯定する思いが伝わってきました。
粗方は跡取りひでり稲の秋 アゼリア
○(敏)「跡取りひでり」は言い得て妙。これでは満作の稲の取入れは難しいに違いない。
石橋を渡れば彼ノ岸秋遍路 藤三彩
◯(アネモネ)「秋遍路」がなかなかです(アネモネ)
〇(春生)石橋の役割をしっかりと捉えています。
○(敏)秋彼岸の句。「彼ノ岸」に秋遍路の姿を幻視したのだろう。
★それでは、次回告知をお待ちください。
元気で会いましょう。
今朝は関東地方での地震のニュースで大変でした。やはり東京の異変は、大きなニュースになります。広島も南海地震の恐れがありますが、人口密度が違いますから。しかし、地震は突然来るから怖いです。