小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第520回小麦句会結果発表(1)

2024年03月08日 09時44分24秒 | 1日句会

東京の雪を朝からのテレビで観ていた。

春の雪・・・。

桜の開花がすぐそこまで来ている。

自分たちの幼い頃は、こういった感覚は三月の終わりあたりの感覚だった。

優に半月は季節の進行が速い。

入学式の桜・・・俳句のうえからは消えそうだ・・・。

 

★結果発表(2回に分けて)

 

水切りの石のどぼんと水ぬるむ  楊子

○(アネモネ)不器用にもほどがある((笑)

○ (あちゃこ)俳諧味のある一句。

◯(道人)水切りをしたくなるような春の気分がよく出ている。

 

朧の夜甲斐なき野良の泣き音かな   瞳人

 

ラーメンや葱とチャーシューたっぷりと   泉

 

ビニシート一反もめんに春嵐    藤三彩

 

犬連れて陽気な春の空の端    幹夫

〇(まきえっと)空の端がいいですね。

 

蓮華田を見たかも母が泣きじゃくる   宙虫

◎(カンナ)何があったのでしょう? 読者に想像させるのが上手いと思います。 

○ (餡子) 何か、何本ものドラマが書けそうな場面。

◎(あき子)「見たかも」によって、母の存在感が表現されていると思いました。

 

立春大吉ビニールハウスに風入れて   アネモネ

〇(楊子)明るいめでたい詠みが素直で心地いい。

○(泉)明るくて気持ちの良い俳句だと思います。

〇(春生)新しい季節を迎えて、いよいよ仕事にとりかかろうとする気負いが出ました。   

○(卯平)ようやく訪れる春。如何にも早春の句。立春大吉が上手い。

○ (あちゃこ)季語が効いています。

〇(めたもん)季語との響き合いもあり、大らかで気持ちのいい句でだと思います。

〇(あき子)厄除招福の風をビニールハウスに入れる、1年の始まりへの願いが伝わってきました。

◯(道人)専業農家の立春の気持ち、今年も豊作でありますように。「風入れて」がいい。

 

一期一会の別れ寂しい鳥帰る    カンナ

〇(瞳人)鴨にもそういうことがあるのだなあ    

 

麦青む鍬の力点作用点   珠子

◎(楊子)物理の法則を俳句にうまく取り入れてなるほどと思わせています。これから始まる春の動きも表現されています。

◎ (多実生) 鍬は横からの力で盛り土や耕しの農具。この道具の力点作用点は、私にはぼんやりしか判りませんが、目の付け処が見事です。

◯(道人)丁寧に鍬をふる耕人の立ち居振る舞いがよく分かる。

○(宙虫)固い力点作用点という語が鍬の動きにリズムを生んでいる。

 

春の水脈重ねて鴨のお引越し  アゼリア

 

水温む利根川べりに魚の群     春生

◎(幹夫)ゆるりとした水の流れに水底の魚も出現、春ならではですね。

 

早起きはどうやら苦手残り鴨  まきえっと

〇(仙翁)早起きの苦手なのは、あなたでしょうか。

〇(めたもん)水に浮く鴨はどことなく早起きは苦手な感じの表情をしています。

 

引鴨の残せし月日うつくしく    道人

〇(カンナ)上手い句だと思います。

 

逢ひ引きのビニールハウス水温む    卯平

○(泉)ビニールハウスの中で「逢ひ引き」ですか。お見事です。

〇(カンナ)発想が面白いです。

○(アネモネ)いいですねえ。永島敏行の映画を思い出しました。

〇(春生)ビニールハウスで「逢ひ引きの」とは、心躍りますね。 

 

貪りは知らず小川に沿う花菜    仙翁

〇(珠子)力まず欲張らず淡々と。しかし、どこかでは必死に生きる闘いをしてきたから現在があるわけで。時にはそっと自分をほめましょう。

○(宙虫)小川の存在が力みのない世界を見せる。

 

春待つやビニルハウスの皺の張り   めたもん

〇(まきえっと)ビニルハウスがはち切れなければいいですが。

〇(春生)「皺の張り」に春待つ心が出ました。

〇(仙翁)皴の張り、面白い表現ですね。

◯(道人)「皺の張り」に待春の趣きあり。観察眼が鋭い。

 

束の間は晴れ愚図つくは菜種梅雨  多実生

 

川ベリの春を左見右見して独り    餡子

〇(珠子)私にも時々こんな時間があります。 

◎ (あちゃこ)中七(左見右見)が心情を想像させます。春と独りの対比で心騒つかせる一句。

〇(あき子)「左見右見」が川べりの「独り」を際立たせています。

 

開け放つハウスの匂い草青む   あちゃこ

〇(楊子)匂いは季節を表すときに大事な要素です。あたたかな春がやってきたことが具体的な詠みでわかります。

〇(春生)活気がみなぎっています。  

〇(珠子)そろそろ開け放す気候に。むうっと生あったかいハウスの匂い。陽だまりには、犬ふぐり・仏の座・姫踊子草などが咲き出していることでしょう。 

◎(まきえっと)たまには新鮮な空気を入れてあげないと暑さでだめになってしまいそうですね。

○(卯平)詠み手の位置が面白い。この位置は詠み手の実感だろう。開け放されたビニールハウスからの少々蒸せた匂いがリアル。

◎(餡子) 今回の能登半島地震でも、ビニールハウスで村の人何人かで共同生活していました。色々と工夫して協力している姿に、驚きと感銘を。この句の作者は違う観点で作られたのでしょうが、そんなことを色々と考えさせられた句でした。 

◎(仙翁)写真の情景から、香りがしますね。

◎(めたもん)ビニールハウスの匂いの代わりに青み始めた草の匂いの風が。早春の表情をよくとらえていると思います。  

○(宙虫)これからの季節を予感させる。ビニールハウスの中で着々と進む季節。

 

今日の無事奇跡のごとし梅二月    あき子

〇(瞳人)何がったのでしょう 

〇(珠子)ほんと。しみじみ共感します。 

○(餡子)具体的ではないのですが、自然災害、人為的災害、事故、病気・・・と取り囲まれている事に改めて考えさせられるこの頃です。梅の美しさに心救われます。 

〇(めたもん)他の花に先駆けて咲く梅の花。凛とした感じが「奇跡」とよく響き合っていると思います。 

 

つづく



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