温もりの残るベンチに春の雨 アゼリア
〇(春生)「温もりの残るベンチ」と捉えたところに物語が生まれた。
〇(仙翁)さっきまで、どんな人が座っていたのでしょうね。
〇 (多実生) いつの間にか小ぬか雨に濡れている事も有りそうです。
◎(幹夫)情景が佳く詠まれており共感の句です。
○(瑠璃)春の雨は冷たい。しかし 温もりの残るベンチという表現に春の暖かさが伝わります。
〇(宙虫)ひとの動いたあとの空気感があります。
三月の樹木に鳴かない鴉あり ちせい
○(泉)何だか不気味な鴉?が止まっていますね。
〇(道人)烏は他の鳥の鳴き声に聞き惚れているのだろう。囀りを直接詠わずに烏に詠わせて面白い。
簡単に済ます昼食鳥渡る まきえっと
〇(藤三彩)鳥だって人だってみんな忙しい。
◯(ルカ)今日も一日、闘うサラリーマン。
春の雨日々方舟を待つベンチ 宙虫
◎(藤三彩)何気なくいて、地球脱出を想っている。「生きる」黒澤明監督はブランコのシーンだった。
◎(敏)春雨に「方舟」を待っているという。なんと観念の勝った作品でしょう。私などゴドー(god?)を待っているだけで春眠に取り憑かれてしまいそうです。
◎(仙翁)ノアの箱舟、何が起こるか分からない世の中です。
○(瑠璃)日々方舟を待つはインパクトがあります。
○(ちせい)季語は「春の雨」。ふと安部公房を思い出しました。ベンチの気分や如何にと推察しました。
(選外)(道人)春雨には「待つ」という感覚が合う。「方舟」に乗って何処へ行きたいのでしょうか?
春雨に濡れて大樹は絵の如し 泉
○スラーの絵。
佐保姫の輿迂回して雨雫 珠子
◎ (アゼリア) 大河ドラマではまもなく篤姫のお輿入れが見られそうですね。
母と児の途切れぬ会話春の雨 ルカ
〇(春生)「途切れぬ会話」に臨場感が生まれた。
○(敏)お喋りを楽しみながら春雨の中を行く母子の姿が、なんとも微笑ましい。
〇(道人)新学期や入学式などの会話でしょうね。春雨には他の季節の雨とは違い、温かさと明るさがあります。
○(幹夫)景が佳く詠まれており共感の句です。
◎(まきえっと)こんな時間てそうそうないので大事にして欲しいです。
〇(宙虫)写真の端っこに写る親子。途切れぬ会話がいい感じです。
春の日のビルの影木の陰となる 仙翁
〇 (多実生) 影が強くなる、裏返すと日差しが強くなった事です。
〇(珠子)影と陰の使い分けがよくわからないのですが。やっと暖かくなったのだから、どこにも春の日陰を作りたくないのでしょうか。
春時雨ペンキ塗り立て木のベンチ 幹夫
◎(アネモネ)なめらかなリズムがなかなかです。
◎(泉)「ペンキ塗り立て」と言う表現は最高ですね。思わず笑ってしまいました。
○(ちせい)季語は「春時雨」。ふと芥川の句が思い浮かびましたが、塗り立ての木のベンチもおつなもの。
絡み付く蔦に芽吹きを促す樹 敏
◎(春生)「蔦」と「樹」の交感が見事。
〇(珠子)蔦に養分を吸われるのを嫌っているわけではなく、早く芽吹きなさいと催促し応援しているのですね。見方の転換が面白い。
◯ (アゼリア) 子供に自立を促しているようなー何かを暗示しているような深い句と思います。
〇(まきえっと)蔦と樹。きっと気持ちが通じるんでしょう。
雨傘のぐるんと膨らむ東風の色 藤三彩
〇(道人)「ぐるんと膨らむ」の措辞が素敵です。春ですね。
〇 (多実生) 何となく東風を自覚させられます。
〇(まきえっと)膨らむが良いですね。
見上げれば冬木に宿る活葉樹 多実生
啓蟄や音をしづかに傘の雨 アネモネ
〇(仙翁)傘の雨、面白い。季節と音と情景とよく合っています。
〇(道人)中七の言い回しをどうとるかですが、啓蟄と雨をつなぐ春らしい措辞だと思います。
〇 (多実生) この頃の雨は意外と濡れる小ぬか雨があります。
〇(珠子)こういう日も大事にしたいものです。
○(幹夫)一雨ごとにあたたかくなってくる今日昨今です。
〇(まきえっと)「音をしづかに」がよいです。
◎(宙虫)いろいろな音が聞こえだす季節。ねじれ感のある「傘の雨」が面白い。
寒鴉地表に降りる時笑ふ 瑠璃
○(アネモネ)いかにも寒鴉!
○(泉)確かに不気味な鴉?です。不吉な感じですね。
○(敏)鴉の笑い声って、無気味な気がします。でも、どこかおかしさも(自嘲のような)。
○(ルカ)鴉の表情を笑ふ、と捉えた作者の心情いかに。
〇(仙翁)カラスが笑いますか、面白い表現ですね。
山鳥の啼くや母子の傘の上 春生
◯ (アゼリア)山鳥の声が聞こえてきます。
春愁を連れ思い出を巡る日々 餡子
◎ (多実生) 何となく思い出と明るい希望です。
○(ちせい)季語は「春愁」。ああ、何となくわかる感覚。「連れ」が印象的でした。
共白髪梅見帰りのひと休み 多実生
○(アネモネ)いいですねえ共白髪。甘酒でも飲んでいるんでしょうか。
◯ (アゼリア) 我が家のことを詠んでくださったのかと思いました。
野晒しとなりて受けるや春の雨 仙翁
佐保姫を迎える鳥の羽繕い 珠子
○(敏)春の到来を待ち受ける鳥の姿が鮮明です。
◎(瑠璃)鳥の羽繕いを佐保姫を迎えると見た想像力が凄いです。佐保姫が効いています。
〇(まきえっと)準備は大事ですね。
〇(宙虫)羽繕いがいい景色を作り出した。
◎(ちせい)季語は「佐保姫」。和歌にも詠われる素材。鳥の羽繕いがユーモラスで印象的でした。
切り株の椅子がいくつも鳥雲に アネモネ
〇(春生)雰囲気のある句です。
〇(道人)「切り株」と「鳥雲に」の取り合せがが佳い。天と地の対比、ひいては切り株が鳥にも思えて来る。
(選外)(ちせい)季語は「鳥雲に」。大変いいとも思ったのですが、切り株の椅子と「鳥雲に」の季語との共鳴性が少し弱いと思いました。
春愁や公園族のティータイム 道人
○(アネモネ)公園族が面白いと思いました。
○(餡子)私も、この3枚から春愁が強く感じられましたので、共感します。
青年の家で定食椿咲く ちせい
○(アネモネ)「青年の家」にびっくり!「椿咲く」がいいですね。
外回り昼定食は蕗の薹 泉
〇(藤三彩)営業の外回りでフキノトウは余裕ありすぎ元気はでないが、ほろ苦さが残る。
○(餡子)外交のお仕事、大変そうですが、会社を離れるのがそれはそれで、息抜きもできるのかましれませんね。春野菜の天麩羅定食でしょうか。
○(ルカ)目で味わう早春の味覚。
(選外)(多実生) 宛もなく入った店で偶然の様に春を自覚させられます。
パステルの花柄シャツと春を待つ 瑠璃
○(ちせい)季語は「春を待つ」。待春の情が素直に出て居ると思いました。
ランチプレートに花菜一輪初デート アゼリア
◎(餡子)懐かしのベンチ、懐かしのレストラン、懐かしのランチ・・・。今は遠い過去。
五十年とは一瞬の春の風 道人
○(泉)「春の風」か否かは別としても、五十年も過ぎてしまえば一瞬ですね。
〇(藤三彩)兜太氏の98歳も一瞬だったかもしれない
○(餡子)この50年は、どこからの50年なんでしょうかね。でも、振り返ると一瞬でした。春風でよかったですね。
〇(仙翁)僕には60有余年、また、幻の一瞬かも。
〇 (多実生) 長いと思っていたのが過ぎてみれば一瞬。
◎(珠子)春風のような人生の経過中ということです。どうぞこれからも!
○(幹夫)春の風・・・人間五十年下天のうちを比ぶれば夢幻の如くなりと言ったところでしょう。
〇(宙虫)日々の一瞬の積み重ねなのに。振り返れば一瞬なんですね。
さみしさを町に落として春鴉 宙虫
○(餡子)木のベンチも、レストランも、なぜかしんみりしています。
○(敏)春鴉とさみしさは、相反するようですが、小さな町の一景とすれば、分かるような気はします。
◎(道人)烏の立居振る舞いに焦点を絞って、閑かな春の日の趣を瞬時に切りとった感覚が魅力的。
〇(珠子)街の鳥の王者も日々孤独な闘いをしているわけです。
○(瑠璃)春は新しい出来事に巡り合うワクワク感もありますが、同時にさみしさもありますよね。共感します。
廃工場二月の鳥の影落とす ルカ
○(敏)寂しい風景ですが、写真から受けた感じはその通りだと思いました
〇(珠子)すごいスピードで新しい家が建ち大型店舗がオープンしますが、反面、「廃」のつく建物はどんどん増えていきます。動物も虫も植物も声にならない悲鳴をあげています。
〇(仙翁)廃工場に鳥の影、いい取り合わせですね。
◯ (アゼリア) 我が街も廃工場、廃業の店見られます。二月に寂しさ、厳しさが表現されていると思います。
巣づくりの場所探しおく昼下がり まきえっと
〇(藤三彩)巣箱が目につく。そんなに高くはない人のいるところがいいのだそう。
花の雨降る公園のレストラン 春生
○(アネモネ)句またがりのリズムがなかなか。
○(餡子)情緒があっていいです。
○(幹夫)共感の景です。
〇(宙虫)しっとりとした情景が見える。
新しい父さんと会う日鳥曇 餡子
〇(春生)「新しい父さんと会う日」という想像力には、驚きました。
(選外)(道人)新しい父さん、とは中々思いつかない。自由自在ですね。
(選外)(藤三彩)シュールな状況の見立て。
賄いに旬の菜の花裏メニュー 藤三彩
○(泉)「裏メニュー」という表現は、秀逸だと思います。
○(ルカ)裏メニューも、旬の味。
◯ (アゼリア) 賄いって食べてみたいです。美味しそうです。
〇(まきえっと)裏メニューへの発想がすごいです。
寒戻る鴉が枝に兜太死す 敏
〇(春生)兜太の死を、うまい詠いました。
○(幹夫)享年98歳金子兜太の訃報を知ったのはその翌日朝刊の第一面からでした。何れ2月20日が兜太忌と呼ばれるようになるのでしょう。合掌。
○(瑠璃)偉大な巨星が消えました。金子兜太さんのご冥福をお祈りしたいと思います。
○(ちせい)季語は「寒戻る」。私もニュースを聞き大変ショックでした。枝の鴉が何かを訴えているように思いました。
(選外)(藤三彩)喪を表す黒いカラスがいたよ。それが兜太氏の死・詩・思想とどうつながるのか・・・わからん
学食にたんと盛られた春キャベツ 幹夫
○(泉)学生たちの食欲は旺盛です。気持ちの良い俳句だと思います。
〇(藤三彩)キャベツひと玉480円。がこの句の背景にあるのでしょう。
○(瑠璃)学食の学生に対する愛を感じます。春キャベツ美味しいですよね。
お待たせしました。
三月に入った途端、春の嵐が続きますね。
やっと咲いた梅もあっという間に散らされてしまった感じです。
いまひとつ安定しない天気が続いています。
明日からパラリンピックもあります。
いろいろなごたごたの世界にあって、選手たちの一生懸命さに惹かれます。
広島は春の嵐が吹きまくっています。次第に暖かくなり、やっと春が来た、という感じです。冬季オリンピックは終わりましたが、これからは野球が始まります。今年の広島カープの活躍に期待しています。
パラリンピックの開会式には、安倍総理は出ないのですね。出る、出ない、平等にしてほしいです。
泉さんは広島在住。カープおばさんとしては、うらやましいです。