小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第401回小麦句会結果発表

2019年03月09日 07時00分59秒 | 1日句会

 
お待たせしました。
卒業のシーズン。
いろんなもの卒業してきた。
いくつもいくつも。
新しい何か始められたらいいけど。
それは、これからの春に期待しよう。
 
★★★★

春爛漫先取りしたるガラス越し  多実生

〇(まきえっと)風は冷たいけれど日差しの温もりは春そのものです。ガラス越しから伝わってきます。

 

屋上に春の初めの薪能   アネモネ

◎(藤三彩)「あの屋上の灯はなんだろう」薪能を想起したのはすばらしい

 

(選外)(道人)写真の篝火から薪能で作ろうと思いましたが、屋上がどうしても繋がらなくて諦めました。

 

春の雲商店街の長き屋根   まきえっと

○(アネモネ)春の雲との取り合わせでのどかな景に。

○(泉)なるほど、あの長い金属は商店街の屋根でしたか。

○(餡子)あの、ぐにゃぐにゃしたのを、なんと見るかで句がちがってきますね。やはり、商店街のアーケードなのでしょうね。今回は難しい写真吟行でした。  

○(幹夫)佳く写生されている。

 

春うららビルの窓から街の裏  珠子

◎(まきえっと)春うららから「街の裏」への展開が興味深いです。 

○(敏)裏窓から見たうららかな裏町の様子、庶民の生活が見えるようです。

○(ルカ)街の裏にも春が。

〇 (多実生) 街の裏側、意外な実態も目撃出来ます。

○(餡子)街裏とか駅裏とか、人生の吹き溜まりの様で、好きです。

〇(宙虫)ビジネスホテルの窓などからの景色。春うららが安心感を与える。

 

移り住む漫画喫茶や春の雨   あちゃこ

○ (アゼリア) 定着してしまったような格差社会を淡々と表現されていると思いました。

○(ちせい)季語は「春の雨」。時事ニュース的な、マンガ喫茶を根城に生活しているような、そんなユーモラスな生き方。

 

ビル街を産土として土鳩の巣   アゼリア

〇(春生)ビル街に生まれ、ビル街に子孫を育てる、感慨深いものがあります。 

○(アネモネ)土鳩にとってビル街が故郷。

〇(珠子)鴉だけでなく鳩も雀も都会に順応して逞しく生きていますが厳しい世界です。いつか庭の木に作った雉鳩の巣から、一瞬の隙に卵を奪っていたのは鴉でした。 

◯(道人)土鳩の気持ちになればビル街も産土ですね。

○(あちゃこ)人間社会にしっかり馴染んでしまった鳩たち。幸せですか?

 

「浅蜊を買いに」言い置き君が消える街   宙虫

〇(藤三彩)「君の名は」のアニメ映像の中のひとこまのよう、異次元へ君は行ってしまったのだろうか。

〇(まきえっと)財津さんの歌と村上春樹を思い浮かべました。

○(敏)この、とんでもない飛躍、物語の創生に脱帽です。

◯(道人)この写真からこういう詩が生まれるとは吃驚です。脱都会ですね。

◎ (アゼリア) 当たり前に思っている事が突然変わる怖さを突き放して表現されているところに惹かれました。

 

工場の町春闘の旗古りて   春生

○(泉)今は春闘も、すっかり寂しくなりました。

〇(珠子)春闘に勢いがなくなり旗も古びてきたということでしょう。   

○(ルカ)かつての熱気は今や消え失せて。

○(あちゃこ)廃工場なのでしょうか?忘れ去られた風景のひとつです。

○(幹夫)工場の町の歴史が佳く詠まれている。

 

燃え上がる炎に花粉が舞ひ落ちる   ちせい

 

春光の遍く都会南無阿弥陀  餡子

◎(珠子)確かに、平等にゆき渡る春先の光には南無阿弥陀と感謝したくなります。こういう感性には参ります。  

◎(道人)コンクリートの街への鎮魂句のようです。

○(ちせい)季語は「春光」。風光る春に浄土真宗のお経が。都会に光は遍く。

 

春浅き温室ビルの空遠く   ルカ

 

わが炎二月の雲に燃え移れ   敏

〇(藤三彩)何にそんなに燃えているのでしょう。『わが闘争』などと言わないでね

 

莫大な五輪の予算目刺食う   泉

〇(春生)オリンピックという一大行事の陰で、国民の暮らしは、一層大変になります。 

〇(珠子)あの想像もできない予算はどこから出てくるのでしょう。五輪は気候の一番良い時期に、同じ場所でやるべし!と思います。パンチのある下五にびっくり。

〇 (多実生) 莫大な予算と目刺食う庶民の暮らしの対比が面白い。

〇(道人)写真の篝火を「聖火」と見立てられた眼力に一票。

○(幹夫)絶妙の取り合わせに共感!

○(ちせい)季語は「目刺し」。庶民感覚や政治家との対比や、季語の目刺しの比喩的な用い方がいいと思いました。

 

心音にてのひらあてて春の空   幹夫

〇(藤三彩)たゆまなく心臓が胸を打ち続けている。生死に関わる重さを不思議さの軽みへ展開。

○(ルカ)春空に聞かせたい音。

○ (アゼリア) 温かい佳句と思いました。

〇(宙虫)体温、気温、いろいろな温度がじわっと伝わる。

 

屋上のコーヒータイム春愁い  道人

〇(春生)屋上という場所が効いています。

 

シンゴジラ去れり暮春のアーケード   ルカ

◎(春生)想像力豊かな句です。 

○(あちゃこ)都会を俯瞰すると私も怪獣映画が浮かびました。ウルトラマンでチャレンジしましたが、撃沈!

 

春泥を排除し都市は機械なり  泉

〇(多実生)街から春泥は遠ざかりましたが、機械に使われる生活です。

 

近未来都市の遺跡となって春  敏

〇(珠子)あの三枚の写真からは、都市の未来の危うさを思わずにはいられませんでした。    

◎(ルカ)現在が未来になる既視感。時の疾走感が感じられていい。

○(餡子)本当に、これから100年後はどうなっているのでしょうか?地球は遺跡になっているのでしょうか。  

◎(あちゃこ)時間の流れと発想の面白さでいただきました。猿の惑星を思い出します。

○(ちせい)季語は「春」。「都市の遺跡」が印象的でした。

〇(宙虫)遺跡などと言われるものって、たかが100年前くらいのものだって言われるのだから、ほんとに・・・・。

 

太き管薬品流れ梅盛り   ちせい

○(泉)あれは太い管で、中には薬品が流れている。現代のミステリーですね。

 

シャッター街に行列の店桜餅    アゼリア

○(泉)シャッター街でも、人気の店はあるものです。

〇(まきえっと)老舗のおいしい桜餅が想像できます。

 

凍戻る頂上ふたりの木のベンチ   藤三彩

〇(多実生)ベンチの二人には寒さは無さそうです。

 

バスの時刻までの屋上春の風邪   宙虫

 

盛り場の裏の混沌目借時   珠子

◎(アネモネ)猥雑さ感横溢です。

〇(まきえっと)裏の混沌がいいですね。目借時と合っています。

○(敏)盛り場裏の混沌は、目借時語源の一説「妻狩り時」がふさわしいのではないでしょうか。

〇(道人)アンニュイな世界が「目借り時」の俳味で救われている。

○(餡子)そのとおりです。裏にはたくさんのいろいろな人生があります。  

 

街でさえ春の息吹が堰を切る  多実生

 

暖かや屋上にある樹のひ弱   餡子

 

つちふるやコンクリートの街しづか  道人

〇(春生)大都会の風景ですね。それもちょっと寂れた感じ。 

〇(アネモネ)キリコの絵のように絵画的。

○(敏)大陸から毎春もたらされる黄砂を、当然のように受け入れているわが町々の度量のほどが見えるようです。

○(ルカ)コンクリートに降り注ぐ黄砂。無機感が漂う街。

○(幹夫)つちふるの季語が上手く詠まれていると思いました。

○(ちせい)季語は「つちふる」。静かな街に霾る。コンクリートの街は静か。

 

アーケードの屋根見下ろして布団干す   アネモネ

〇(春生)すっきりと詠い出したところがうまいです。

○(泉)あの太い管は、やはりアーケードでしたか。

〇(まきえっと)生活臭が漂っていていいですね。

◎(餡子)今日も変わらぬベランダからの眺め。蒲団干しながら、今日も無事によい一日であることを祈ります。

○ (アゼリア) 秋葉の電気街で同じような光景を目にして驚いた事があります。住めば都なのでしょうね。

○(幹夫)景全体が佳く詠まれています。

◎(宙虫)太陽の光といろんな雑踏・・・そして生活。うまい取り合わせ。

 

(選外)(道人)マンションの屋上の生活感とは成る程です。

 

浅春の背中向き合う木のベンチ    まきえっと

〇(藤三彩)きっとふたりが座るはずの木のベンチ

○(敏)背中あわせの恋人たちの、ちょっとした他愛ないすねっぷりを想像してしまいました。

○(ルカ)季語が想像力を呼び覚ます。

○ (アゼリア) 木のベンチが温もりがあって良いですね。

○(あちゃこ)向き合うは少し言葉の違和感がありますが、シチュエーションに物語が生まれそうな予感。

◎(幹夫)いい雰囲気を醸し出しています。

 

屋上の雑草の中蝶生る    あちゃこ

○(アネモネ)ビルの屋上の蝶の誕生。まさに今風です。

〇(多実生)蝶の世界も住み難くなりました。

○ (アゼリア) 雑草も蝶も逞ましいですね。見習いたいです。

◎(ちせい)季語は「蝶生る」。神秘的な蝶、胡蝶の夢などが思い浮かびました。

 

春空にひょいと麒麟が首を出す   幹夫

〇(藤三彩)麒麟の長い首が寒さが解けゆき春のやわらい陽が指す雲間に顔を出す、想像の楽しさ

◎ (多実生)ひょいと麒麟がの意外さにユーモアを感じます。

○(宙虫)写真の街から麒麟の首が出てきたら面白いなと。

 

啓蟄のカフカ棲まわす銀の繭   藤三彩

◎(泉)「カフカ」とは、意味深ですね。現代の街と、良くマッチしています。

◎(敏)俯瞰写真のアーケードを銀色の巨大な繭と見立て、この日頃今にも顔を出してきそうな、カフカの(創造した)虫を棲まわせた力量に唖然とするばかりです。

 

ドローンの戻る屋上山笑ふ   春生

○(アネモネ)通信はみんなドローンで。

〇(珠子)ドローンの活躍にはただただ唖然とするばかりです。山は淡々と萌えてゆく…。  

◯(道人)見えない山が見えるようです。

○(餡子)なるほど!ドローンの動き回った後とは・・・。良い観点です。  

○(あちゃこ)今では当たり前の風景ではありますが。春の山々を巡り無事ご帰還。カメラ搭載かな?

○(宙虫)ドローンの登場でいろんなものが変わってきた。見たことのない景色を見せてくれる。

 

♪♪♪

投句・選句のメール作成のうざいほどの呼びかけに対し、ご協力ありがとうございました。

おかげで、まとめるストレスが随分と軽減されました。

今後ともご協力よろしくお願いします。

では、まきえっとさんの次回告知をお待ちください。
 


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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2019-03-09 21:05:41
宙虫さん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

三月になりましたが、何だか暖かくなりません。それでも、プロ野球がそろそろ始まるので、楽しみに待っています。今年は広島カープも苦戦するでしょうが、何とか優勝を!と期待しています。
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