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『望蜀(ぼうしょく)』
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既に隴(ろう)の国を得ているのにまた蜀の国をも望むという意味から、一つの望みを遂(と)げ、更にその上を望むこと。人の欲望というものは無限で、足ることを知らないこと。
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類:●隴を得て蜀を望む●思う事一つ叶えばまた一つ●千石取れば万石羨む
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故事:魏の曹操が隴の地を手に入れたとき、「人は満足することを知らないもので、自分も、更に蜀の地を望むものだ」と言った。
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出典:「後漢書-岑彭伝」「人苦不知足、既平隴復望蜀」
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<松下幸之助一日一話> PHP研究所編
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同行二人
弘法大師さんが開かれた高野山にある霊場に詣でる人びとの菅笠には、みな一様に“同行二人”とかいてある。どこにいようと、どこに行こうと、自分は一人ぼっちではない、いつもお大師さまと二人という意味である。つまり、これら信仰三昧の人びとの心の中には、いまもなお大師は生き生きと存在しておられるのである。もちろん、大師の生身の身体が、そのままここにあるというわけではない。しかし、大師はいまもなおここにおわすと感じること、また感じようとつとめるところに、大師の教えが永遠に生きてくることになる。真理は永遠に生きるというのは、こんな姿を言うのであろうか。