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『木乃伊(みいら)取(と)りが木乃伊になる』
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ミイラを取りに行った人が、熱帯であるため乾燥して、うっかりすると自分までもミイラになってしまうというところから、人を連れ戻すために出掛けた者が、役目を果たさず、自分も先方に留まってしまうこと。また、意見しようとした者が、話しているうちに先方と同じ考えになってしまうこと。
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類:●人捕る亀が人に捕られる●捕まえに出た者が捕まえられる★何日も遊郭に泊まっている人を連れ戻しに行った者が一緒になって遊んでしまう、という状況を表わすものとして流行したという。★木乃伊は、江戸時代初期から、万能薬として輸入されていた。日本語の「ミイラ」は、オランダ語の「モミイ=瀝青」を語源とし、たまたま、香辛料である「没薬(ミルラ)」と発音が似ていたため混同して用いられたとする。 ★「木乃伊」の字は、中国語(ムナーイー)を借用したもの。
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<松下幸之助一日一話> PHP研究所編
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人事を尽して天命を待つ
「人事を尽して天命を待つ」ということわざがある。これは全く至言で、私はいまも自分に時どきその言葉を言い聞かせている。日常いろいろめんどうな問題が起きる。だから迷いも起きるし、悲観もする。仕事にも力が入らないことがある。これは人間である以上避けられない。しかしそのとき私は、自分は是と信じてやっているのだから、あとは天命を待とう、成果は人に決めてもらおう……こういう考え方でやっている。小さな人間の知恵でいくら考えてみても、どうにもならぬ問題がたくさんありすぎる。だから迷うのは当たり前である。そこに私は一つの諦観が必要だと思うのである。