YOSHIの果てしない旅(人々との出会い、そして別れ)

ソ連、西欧列車の旅、英国滞在、欧州横断ヒッチ、イスラエルのキブツ生活、シルクロード、インド、豪州大陸横断ヒッチの旅の話。

カースト制度の話~インドで見た・感じた・経験した話

2022-03-02 08:21:57 | 「YOSHIの果てしない旅」  第10章 インドの旅
・カースト制度の話
 日記の中で、『上流階級』、或は『下層階級』の言い回しを書いて来たが、インドでは身分制度、所謂カースト制度が実際に存在していた。*以下、いくつかの参考文献を参考に纏めました。

 カーストには基本的に4つの身分がある。1番偉いのがブラーマン(司祭)、2番目がクシャトリア(武士)、3番目がバイシャ(平民)、1番下がシュードラ(奴隷)である。更にその下にハリア、又はアチュータ(英語でUntouchable、日本語で不可触民)が大勢いる。
 しかし実際には職業そのものがカーストになっていて、職業の数だけ身分があると言う。現代風的職業を大まかに分ければ、1番偉いのはブラーマン(僧侶)、2番目はクシャトリア(軍人、実業家)、3番目はバイシャ(一般庶民)、1番下はシュードラ(洗濯人、掃除人等)である。身分制度に入らないハリア(屍体処理人、動物の解体作業人、排泄物やゴミ処理人等)である。日本の士農工商の身分制度に似ているが、現実的にはインドのカーストの方が厳しい。そしてその制度にも入らなかった不可触民が部落民と言えそうだ。いずれにしてもその職業が、その人間の身分をズバリと表しているのだ。そして現実に恐ろしい事かも知れないが、このカースト制度はしっかりとインド社会に生きていているのだ。我々旅行者も、カースト制度を意識せずに、インドで滞在する事が出来なかった。この様に“細分化された職業”(カースト)間においても上下貴賤(きせん)があり、異なるカースト間において結婚や共に食事等してはならないそうだ。
 4つの身分制度にあるものが、『カーストヒンズウ』と呼ばれ、カースト制度の正式構成員で、その下の不可触民は存在そのものが『不浄』と見なされているのである。それこそ人間扱いされていないその数は、8千万人~1億人と推定されている。実にインドの人口(1969年当時の人口は6億人)の7分の1が不可触民なのである。その最も気の毒な不可触民は、住む所も一般の人達と区別され又、一般の人達が行く寺院に入ったり、その井戸を使ったりする事も禁じられているそうだ。
 所で、カースト制度の最も重要な概念や中心的存在は、その人間の魂の『浄・不浄』観なのである。殆どの肉体労働者、動物の屍体処理、排泄物の処理、ゴミ処理、これらは『不浄』としてタブー視され、すべて不可触民達にのみ行われて来た。何百何千年に渡る『インド社会の掟』なのである。逆に言うと『不浄』な事をやってくれる不可触民がいるからこそ、カースト・ヒンドゥは、『不浄』な事から免れて来たのである。『賤しい、汚れた生まれ』として常に差別され虐げられてきた彼等を、ガンジーは彼等を『ハリジャン』(神の子)と名付けた。しかしいくらガンジーが彼等を『神の子』と名付けても、実際には「ハリジャン」「ハリジャン」と言ってバカにして、彼等の人間としての扱われ方は、一向に改善されていない。
 インド人と一口に言っても、肌の色が大分異なる。白い人もいれば、黄色の人もいる。又、少し黒い人もいれば、黒い人や真っ黒い人もいる。肌の白い人や黄の人に高貴な方・上流階級が多く、黒い人や真っ黒な人はシュードラやハリア(不可触民)の人達に多い。カースト制度は、肌の色でも分けられているようだ。
 インド社会に於いて、人々は相手が自分より上なのか下なのか、常にカーストを意識して生活している。だからインドへ行った時、「自分は豚・牛の解体作業者」、「斎場の死体を焼く係」とか「ゴミ収集人、トイレ清掃人」と言っては駄目だ。言ったら『不浄』とみなされ、ホテルやレストランから追い出されてしまうかもしれません。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿