「府中三億円事件を計画・実行したのは私です。」 白田 著 ポプラ社

　まるで青春映画のシナリオを読んでいるかのような作品でした。
　私が、シナリオというものをきちんと読んだことがあるのか、と問われれば「無い。」に等しいですが。

　犯罪の計画から実行までを自慢げに語る回想録というよりも、勢いにまかせた青春時代を優しく語るかのような作品で、私はグイグイ手を引っ張られるかのように引き付けられて、最後のページまで突っ走りました。

　現場では、誰も傷つけることなく完全犯罪が成立したかのようですが、著者も述べているように、実は様々な人を傷つけ、人生を狂わせてしまった…
　著者の青春時代は、本人にとっては満足できる環境ではなかったのかもしれませんが、私には羨ましい環境と時間を過ごしているように感じてしまい、違う道も選ぶことができたのではないでしょうか…。