少年野球ブログでありながら、最近 野球から脱線しっぱなしです。
まあ、それもよか、ということで。
夏休み、中国語の勉強といいわけしながら、目に留まったものをレンタルしてみた。
何とこの二本はちょっと古いけど、大当たり!だった。
まだ見てない皆さんにおすすめします。
それと先月読んだ二冊の本もあわせて紹介します。
「我的父親母親」 初恋の来た道(邦題) THE ROAD HOME
主人公の無垢であどけない少女がなんと可憐なことか。
初恋で結ばれ、夫を慕い続けた彼女の思いが主題の映画である。
背景は「北の国から」を思い出さずにはいれない美しい自然。
走る姿で懸命な思いが、トコトコ歩きでは嬉しくてたまらない思いが画面から伝わる。
モノやカネはないけど、きちんと生活している農村の人々の清廉、正直な暮らしぶりから
我々が置き忘れたものに気付く。
自分にとっても、中学まで歩く田んぼの通学路や、当時、好きな女の子に抱いていた淡い思いが、
昨日のことのようによみがえってきた。
「一个都不能少」あのこを探して(邦題) NO ONE LESS
13歳の代用教師の少女が、都会ではぐれたクラスの生徒を懸命に探す物語。
チョーク一本すら貴重品である農村の学校の様子。
驚いたのは先生ですら、バス代やコーラ1本の値段の見当もつかない。
商品の価格を知らなくて暮らせる・・これが農村の実状なのかも知れない。
26人の子どもたちに物が乏しい暗さは微塵もなく、むしろ子どもらしい元気のよさ、
表情の豊かさを楽しめる。
他の人物描写も丁寧でおもしろい。
村長のおとぼけぶり、出稼ぎ少女と教師のたくましいやりとり。
仕事に忠実な受付嬢、責任者らしくない優しい局長。
ちぐはぐな局アナ・・。
ストーリーは単純至極だが、最後は涙ナシには見られない、感動する映画です。
中国の「今」を教えてくれる二冊の本。
日本で書店に並ぶ中国関連書は、現政治体制への批判や過去の歴史の検証、或いは強大化した中国への恐怖を扇動するものが多いが、
最近、少し趣の異なる良書に出会ったので、紹介します。
これらは二人の米国人ジャーナリストが書いた現代中国のルポである。
・疾走中国「COUNTRY DRIVING」 ピ-ター・ヘスラー著(栗原泉訳)
著者自ら中国で自動車運転免許を取り、万里の長城に沿いレンタカーでドライブしながら各地でのレポート。
高速道をバックで逆走しても誰も驚かない遵法感覚や運転免許の問題例には思わず笑える。
以下のような報告もある。家主の息子の病気治療に献身的に関わることで生まれる心の交友と現地医療の実態。
起業の終始からわかる現地人のビジネス感覚、村の選挙への出馬から落選までの党地方組織活動の一端。
他にも多くの事実から問題が投影される。
・現代中国女工哀史 「FACTORY GIRLS」 レスリー・チャン著(栗原泉訳)
中国生まれのアメリカ人女性が、工場に出稼ぎにきた地方のティーンエイジャーたちの夢や希望と落胆、都会での変貌ぶりを伝える。
日々の管理職との丁々発止や工場脇にある怪しげな各種専門学校への潜入、出会い系サイトの利用や婚活など彼女らの上昇志向と生活ぶりが鮮やかに描かれる。
著者は親友となった女工員の里帰りにも同行して、彼女の母親と三人で同じ布団に寝ながら、
農村で幾月も共に過ごした詳細なレポートや、祖父が過去に中国で悲劇的な最期を遂げた事実を関係者にインタビューして検証した章もある。
両書ともに中国の急激すぎる変化に書き手の驚嘆と困惑が率直に表現され、
事実の記述を基本としながらも、随所に人への優しいまなざしがあり、ウィットに富む文章もテンポがよく一気に読める。
なお、この二冊の著者は夫婦であり同時期に滞在して取材しながら、そこにほとんど触れられてないというのもおもしろい。
中国の「今」を知りたい方におすすめの二冊である。