田中大介ブログ2

関西大学卒業
杏林大学大学院修了
日本の国家安全保障とメディアを研究
田久保忠衛・元時事通信ワシントン支局長に師事

日本の国家安全保障90年代 47

2022-08-11 18:05:15 | 安全保障

第3節 東アジアの戦力 台湾   1990年代   1

 

 

 

 

 

 中国の軍事的圧力、脅威に絶えずさらされ続けている台湾は、近年まで1982年の米中コミュニケや、中国の圧力により近代兵器の購入が滞っていたが、1990年代以降ようやく近代化が可能になってきた。

 

 

 

 陸軍は12個師団、海軍陸戦隊2個師団とあわせて地上兵力27万人で、M48A5パットン戦車など旧式戦車を配備していた。

 

 

 

 

 海上戦力の近代化は進んでおり、世界有数の強力な海軍となっている。現役兵力は6万8000人、水上戦闘艦は40隻、潜水艦は4隻、18隻の揚陸艦を保有、海軍陸戦隊の上陸作戦も可能である。

 

 

 

 

 

 最新鋭艦は

 

康定(カンディン)級フリゲート

 

である。

 

 

これはフランスの

 

ラファイエット級フリゲート

 

を輸入したものである。

 

 

 

ラファイエット級フリゲート

 

は本格的にステルス機能を取り入れた船体で、レーダー捜索は困難である。

 

康定級フリゲートはフランスで船体を建造したが、

 

電子装備、兵装は台湾において艤装が行われ、台湾オリジナルの兵装となっている。

 

ラファイエット級フリゲートにはない対潜兵装が加えられたため、ステルス性が損なわれていると思われる。

 

康定(カンディン)級フリゲート

 

 

満載排水量3800トン、

 

ディーゼル推進で、

 

兵装は

 

OTOメララ 76mm単装砲1門、

 

40mm単装機銃2基、

 

Mk32 324mm3連装短魚雷発射管2基、

 

雄風Ⅱ艦対艦ミサイル8発、

 

シー・チャパラル短距離艦対空ミサイル4発、

 

Mk15ファランクス20mm近接防御武器システム1基

 

である。

 

搭載航空機は

 

SH-60シー・ホーク哨戒ヘリコプター

 

の民間バージョンである

 

シコルスキーS-70C(M)

 

で、

 

アメリカ製の対潜哨戒機器が装備されたものを1機搭載している。

 

康定級フリゲートは1996年から1998年までに6隻が就役した。

 

 

 

 

 

 

 台湾の艦隊防空を担うのは

 

成功(チェンクン)級艦隊防空ミサイル・フリゲート

 

である。

 

これは

 

アメリカのオリヴァー・ハザード・ペリー級艦隊防空ミサイル・フリゲート

 

を台湾でライセンス生産したものである。

 

1993年から8隻が就役している。

 

満載排水量4105トン、

 

ガス・タービン推進、

 

兵装は

 

Mk13発射機(RIM-66スタンダードMR艦対空ミサイル44発)、

 

OTOメララ 76mm単装砲1門、

 

40mm単装機銃2基、

 

雄風Ⅱ艦対艦ミサイル8発、

 

Mk32 324mm3連装短魚雷発射管2基、

 

Mk15ファランクス20mm近接防御武器システム1基、

 

である。

 

搭載航空機はシコルスキーS-70Cヘリコプター2機である。

 

 

 

 

 

 

 対潜戦で主力となるのは

 

合衆国海軍の中古艦船を購入したノックス級フリゲートであった。

 

満載排水量4260トン、

 

蒸気タービン推進、

 

兵装はMk42 127mm単装砲1門、

 

20mm単装機銃4基、

 

Mk32 324mm短魚雷発射管2基、

 

8連装対潜ロケット発射機1基

 

である。

 

搭載航空機はマクドネル・ダグラスMD500小型ヘリコプターで、

 

小型なためその能力は限られたものになるだろう。

 

1972年に合衆国海軍で就役し、

 

1993年に台湾が購入、就役させている。

 

台湾はノックス級フリゲートを8隻配備している。

 

 

 

 

 

 ギアリング級駆逐艦は、

 

合衆国海軍の中古艦船で1946年に建造された非常に古い艦で、

 

1980年代に近代化工事を実施、

 

RIM-66スタンダードMR艦対空ミサイルを発射可能にしていた。

 

満載排水量は3540トン、

 

蒸気タービン推進、

 

兵装は76mm単装砲1門、

 

40mm単装機銃2基、

 

12,7mm機関銃6基、

 

RIM-66スタンダードMR艦対空ミサイル10発、

 

雄風Ⅱ艦対艦ミサイル4発、

 

8連装対潜ロケット発射機1基、

 

Mk32 324mm3連装短魚雷発射管2基

 

である。

 

搭載航空機はマクドネル・ダグラスMD500小型ヘリコプターである。

 

 

 

 

 

 

  潜水艦は4隻配備されている。

 

1987年と1988年に就役した

 

海龍(ハイルン)級潜水艦

 

は、

 

オランダのウィルトン・フィエノルド社が建造し、

 

台湾が初めて購入した近代的潜水艦である。

 

水中排水量2660トン、

 

ディーゼル・エレクトリック推進、

 

533mm魚雷発射管6門と、

 

90年代の先進国の潜水艦として遜色のないものとなっている。

 

 

 

 

海龍級潜水艦導入以前に台湾が保有していた潜水艦は

 

1945年に合衆国海軍が建造した

 

ガピーⅡ級潜水艦のみであったので、

 

台湾の潜水艦作戦能力は大幅に向上した。


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