ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

野党調整評議会メンバーがウクライナへ国外追放されかかったがパスポートを破り捨てる

2020-09-08 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 9月7日、ミンスク市内の路上で覆面姿の男ら数名に携帯電話を取り上げられ、黒いミニバンに押し込められて拉致された、野党調整評議会の幹部メンバー、マリヤ・コレスニコワ氏ほか2名のメンバー(広報担当アントン・ロドネンコフ氏とイワン・クラフツォフ事務局長)とが、9月8日の朝、ウクライナとの国境地帯にいることが目撃されました。

 2名のメンバーは越境して、ウクライナに入国できたようです。しかしコレスニコワ氏はウクライナへの国外追放を断固拒否するべく、自ら自分のパスポートを破り捨てました。

 パスポートを所持していない人はウクライナの入国管理局が入国拒否するからです。

 ベラルーシ国内に残ったコレスニコワ氏は身柄拘束されました。

 ベラルーシ政府側もそれを認め、大統領自ら、コレスニコワ氏はウクライナにいる妹のところへ逃げようとした、とロシアメディアのインタビューの質問に答えました。

 しかし、本当にウクライナに逃げたいと思ったのなら、パスポートを自分で破り捨てたりしないでしょう。

 

 今、情報が交錯しているのですが、ウクライナに入国した2人のメンバーは、ウクライナの国境警備隊に身柄拘束されたというニュースが入っています。

 しかしウクライナ政府側はこれは事実ではないと発表。

 いろんな立場の人がいろんなことを言っていて、真実がまだはっきり見えてきません。

 続報があったら、また書き込みます。

・・・

 ウクライナに入国した二人の野党調整評議会のメンバー、広報担当アントン・ロドネンコフ氏とイワン・クラフツォフ事務局長はコレスニコワ氏と同じ日に拘束されました。

 9月8日にウクライナで行われた記者会見の席上で、二人はこのように述べました。

 9月7日の朝、ジャーナリストから、コレスニコワ氏と連絡がつかない、何か知らないかと電話がかかってきました。二人もコレスニコワ氏に電話をしたものの、出ません。しかし、コレスニコワ氏の携帯電話が自宅にあることはコンピュータのおかげでわかったので、二人はコレスニコワ氏の自宅に向かいました。しかし自宅は留守。

 マンションの外へ二人が出るとそこに警察とミニバンが待ち構えていました。そして二人は車両に乗せられ、警察署に・・・ではなく組織犯罪・汚職捜査局へ連行されました。

 そこで40分ばかりいたのですが、拘束の理由など説明は全くありませんでした。その後二人は手錠をかけられ、頭に袋をかぶせられました。

 そしてどこか別の建物に連れて行かれ、手錠と目隠しをされたまま、4時間放置されました。

 午後2時ごろだったか、手錠と目隠しは外されましたが、そのままKGBに移送されました。

 そこで午後9時半まで拘束されていました。というのがロドネンコフ氏の話です。

 クラフツォフ事務局長も同様に組織犯罪・汚職捜査局に連行されましたがロドネンコフ氏よりいろいろ尋問を受けたようです。

 3人の担当官が身元は明かさずにクラフツォフ事務局長に質問をして調書を取ったようです。質問の内容クラフツォフ事務局長の前職のことだったようで、職権乱用の疑いがあると言われたそうです。尋問は午後3時半から午後9時まで続きました。

 そして、「今すぐ国外へ退去しろ。そうしなければ裁判にかけられ、5年から12年の刑になるぞ。」と脅されました。

 クラフツォフ事務局長は以前、こういうことを想定しており、コレスニコワ氏と、このような事態になったらどうするか話し合ったことがありました。そのとき、国内での野党の活動を続けるため、国外退去命令が出ても拒否しようと、決めていたそうです。

 KGBは「自分の車に乗って自分で運転して越境する。コレスニコワ氏も連れて行く。」という選択肢があると言いました。

 クラフツォフ事務局長はコレスニコワ氏が国外退去を強制されているらしいと感じました。

 その後クラフツォフ事務局長はKGBに移送されたときにコレスニコワ氏もKGBにいるのだろう、と予想しました。そして3人を合流させて、そのまま国境地帯へ連れて行かれるに違いないと考えました。

 ロドネンコフ氏にはKGB職員らしき二人がやってきて、自分を含め他の二人を助けたいだろう、そのためには越境するしかない、と説得してきました。

 これから取り調べのため、18ヶ月は留置所で暮らすことになると言われました。

 ロドネンコフ氏は三人で越境することに同意しました。

 

 その頃にはこの3人が所在不明になっているとメディアも騒ぎ始めていたのですが、問い合わせに対し警察は、拘束についての情報はないとしていました。

 (警察は拘束していなくて、KGBが拘束している、というところでしょうか。)

 コレスニコワ氏の親族(おそらく父親)は捜索願を警察に提出しています。

 

 こうして三人は三台の車に分乗させられ、(最初の20分間は頭に袋をかぶせられていたそうです。)他にも数台の車が取り囲んだ状態でウクライナ国境地帯へ向けて連れて行かれました。

 その車の中にはクラフツォフ事務局長所有の車もあり、本人が運転するよう強要されました。

 ミンスクからウクライナの国境まで5、6時間かかりますが、車両の列は一度も止まりませんでした。その間、車の中で、「コレスニコワは不安がっている。二人でなだめるように。」と言われていました。

 ベラルーシの国境出国管理局に到着すると、三人はやっと顔を合わすことができました。するとコレスニコワ氏はふだんどおり、とても元気なようすでした。国外に出るなどさらさら考えていないことが、二人にはすぐ見て取れました。

 出国審査をした係員は、コレスニコワ氏の姿を見ると、とても長くパスポートと見比べていましたが、「マーシャ、ありがとう。」と言って通したそうです。

 国境地帯(ベラルーシ出入国管理局とウクライナ出入国管理局の間にある中立地帯)に三人を連れてきた係員たちはクラフツォフ事務局長所有の車に残りの二人を移動させ、三人そろってウクライナに出国させ、自分たちはベラルーシ側に残ろうとしました。クラフツォフ事務局長は運転席に、ロドネンコフ氏は助手席に。そして係員は後部座席に無理やりコレスニコワ氏を押し込みドアを閉めました。コレスニコワ氏は「私はどこにも行かないわよ!」と叫んでいました。

 その車の中に三人のパスポートがあるのを見つけると、コレスニコワ氏は自分のパスポートを細かくちぎってしまいました。その破片を握ると、車の周りにいた係員たちに向かって投げつけました。そして後部座席の窓から身を乗り出して外に出ると、走ってベラルーシ出入国管理局の方向、つまりウクライナとは反対方向へ走って逃げて行きました。

 しかしすぐに係員たちがコレスニコワ氏を追いかけて、他のマイクロバスに押し込んでしまいました。

 そして残りの二人にも「ベラルーシ側に戻れ!」と命令が出ました。すると国境地帯すぐそばの森の中から青いマイクロバスが急に出てきて近づいてきたので、クラフツォフ事務局長は車を急発進させ、出せる限りのスピードを出して追っ手を振り切り、ウクライナ側の入国管理局に走り込みました。

 この森から出てきた青いマイクロバスが何だったのかよく分かりません。これに三人を乗せて越境させようとしたのか。あるいは越境がうまく行かなかった場合の護送用だったのか。

 ともかくクラフツォフ事務局長の頭の中にあったのは、コレスニコワ氏がパスポートを破ると、ウクライナ側は入国させることができないので、コレスニコワ氏をウクライナに出国させる計画が失敗したこと、そしてそれはKGBの大失態で、それを目撃証言するであろうクラフツォフ事務局長とロドネンコフ氏は、邪魔な存在になってしまい(最悪の場合、KGBに消される?)何が何でも拘束しなくてはいけなくなったこと、そして拘束されたら刑務所に最低5年は放り込まれてしまうことなど・・・です。

 クラフツォフ事務局長は必死でアクセルを踏みました。ベラルーシKGBは行く手を遮断することは全くできず、自分たちも車に乗って後を追いかけてきました。

 しかしクラフツォフ事務局長はウクライナの入国管理局に逃げ込むことに成功。ウクライナの出入国管理局の職員はすぐに二人をかくまってくれました。

 もちろんウクライナ側に拘束されることなく、無事に二人はキエフにたどり着くことができました。

(三人とも国外退去させる計画が失敗したので、「残る二人がウクライナの悪しき策略により、拘束されてそれでウクライナ国内にいるのだ。」・・・ということにベラルーシ政府側はしたかったのかもしれません。)

 後でクラフツォフ事務局長の車の中を調べると、ウクライナに入国するために必要な書類が三人分、ちゃんと用意されていたそうです。

 例えばコロナウイルスの検査結果(もちろん三人とも陰性結果。検査を受けていないのに。)、旅行保険、さらにはクラフツォフ事務局長とロドネンコフ氏名義のキエフからトルコ行きの飛行機のチケット(もちろん片道)、コレスニコワ氏名義のウイーン経由ミュンヘン行きの飛行機のチケット(もちろん片道)などがばっちり出てきたそうです。

 二人はすでにウクライナで居住できる許可も出て、これからはウクライナの支援者とともにベラルーシの野党活動を続けるそうです。

 二人は事態を飲み込み、国境をすぐに通してくれたウクライナ国境警備隊と出入国管理局職員に感謝の意を表しました。

 

 同日、ロシアのメディアのインタビューで、ベラルーシ大統領はこのように述べました。

「あの野党メンバーの三人は以前から国外へ出ようと準備していたのです。飛行機のチケットなども予約してたのですよ。そして一人が自分で運転する車に乗って、ウクライナへ向かった。国境地帯に差し掛かり、男二人は、女一人(コレスニコワ氏)を車から捨てたのです。道中でですよ。道中で。あの二人はよくそんなことができましたね。ベラルーシ国境警備隊は当然規則に則って彼女を拘束しました。」   

 

 野党調整評議会幹部は、コレスニコワ氏の所在を探し回り、モズィリ市の国境警備管理局のどこかに拘束されていると思われると発表しました。

 同日、ミンスク市内ではコレスニコワ氏の解放を訴えるデモ行進が行われ、多数が拘束されました。 

 

 またミンスク市勝利広場から独立広場に向けて政府支持者によるデモ行進も行われました。

 ベラルーシの国歌を歌い、ベラルーシ国旗のほか、ロシア国旗やソ連国旗をかかげる参加者もいました。


ベラルーシのコロナウイルス感染者73208人。死者数721人

2020-09-08 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 9月8日の書き込みです。

 ベラルーシのコロナウイルス感染者数は73208人になりました。1日の新規感染者数は177人です。

 死者数は721人になりました。

 71916人が回復しました。

 159万件を超える検査数となりました。


9月8日、コレスニコワ氏を支持するデモ行進始まる

2020-09-08 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 9月8日、ウクライナに国外追放されかかったコレスニコワ氏は、モズィリに近い国境警備隊の下、身柄拘束されているようです。

 コレスニコワ氏の解放を求めるデモ行進がミンスク市内で始まりました。

 そしてまた身柄拘束。ベラルーシのテレビ製造工場ゴリゾント近くの通りです。

 平和的なデモをしていたところへ治安部隊、護送車が大量に投入されました。

 男性が先に拘束され、それを抗議すると女性でも拘束されます。

 悲鳴が上がり、怒号が飛び交い、デモ行進は分断されます。それをまたスマホで撮影しているひとがいて、すぐにネット配信されます。

 カマロフスキー市場近くで人間の鎖を作っていた人たちも次々と身柄を拘束され、数人がかりで手足を抑えられて、護送車に入れられています。

 

 昨日私の自宅マンションのエレベーターに、白赤白の旗のイラストなどプリントした紙が貼られました。すぐに剥がされました。

 今日、「この企業の商品を買わないで!」という誰かが作った張り紙がエレベーターに貼ってありました。

 国営企業のいくつかのロゴマークにバツ印がついていて、「これらの企業の売り上げは警察や治安部隊の給与になっています。」と書いてありました。

 つまり政府系企業の商品の不買運動を呼びかけているのです。

 

 ミンスク市内には、以前から「この食堂での売り上げの一部は警察や軍隊のために使われており、市内の治安維持のためにこの食堂も一役買ってます。」とわざわざ壁に張り紙している店もあります。

 今、このような店の客の出入りはどうなっているのでしょうか。逆に治安部隊や警察を支持している人は進んで食べに行くようになるでしょう。

 

 追記です。この日、121人が身柄拘束されました。女性も年齢に関係なく拘束されています。


ロシアのユーチューブの動画でベラルーシへの侮辱発言

2020-09-08 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 ユーチューブで動画配信されている「コメントアウト」というロシアのショー番組(お笑い番組)の中で、チハノフスカヤ元候補のことを「犬」と呼んだり、女性蔑視発言、反政府デモ参加者や白赤白の旗を侮辱する「ジョーク」が司会者やゲストタレントによって、読み上げられました。

 もちろん非難され、この動画のスポンサーだったユニリーバ(紅茶のリプトンやスキンケア商品などで日本でもおなじみ)とヤンデックス(ロシアの最大大手インターネット企業)が展開するネットショッピング部門ヤンデックス・ラフカがスポンサー契約を打ち切りました。

 当然といえば当然ですね。

 ちなみにこの動画は今でも配信されており、問題の「ジョーク」も視聴することができます。

 私も見てみましたけれど、はっきり言ってすごく低俗な番組で、ケーキを顔にぶつけ合ったり、日本の昔のお笑い番組みたいでした。

 問題になったのは、いかにも視聴者から来たお手紙を読んでいるような体裁で、実際には脚本家が書いたと思われる小さいボードを出してきて、司会者やゲストが順番に読み上げるというシーンです。

 何枚かの「おもしろい話」が書いてあるボードの中にベラルーシのネタがあったということです。

 3人いるうち一人のゲスト芸能人は、ちらっと内容を見て「自分はこれ読みたくない。」と何度も拒否。司会者は読め読めと強要。

 仕方なく読み始めたのですが、やっぱり読みたくなかったので、「チハノフスカヤ」という名字を「チャウチャウ」とわざと読み替えたりして、抵抗したのですが、司会者ともう一人のゲスト芸能人(女性)は、ちゃんと読み上げました。

「白赤白の旗は国旗(?)」と読み上げて、「ああ、あの旗は国旗じゃないんだ。」などというコメントを出しました。

 他にもやっぱり、雌犬チハノフスカヤの思いつきで作られた旗とか、事実にも基づいていないし、女性蔑視の発言、下品な表現が続きました。

 こんなジョーク、全然おもしろくないんですけど。政治ネタをお笑い番組で扱うのは、注意したほうがいいですよ・・・と21世紀の現代に生きている私などは思うのですが、ネット配信用の番組なので、タガがゆるみがちなのかもしれません。

 これをおもしろいと思うロシア人もたくさんいるのかなあ・・・と思うと嫌な気分になりますね。女性、そしてベラルーシ人全体への差別発言ですよ。

 政治ネタをお笑い番組で扱うのは絶対ダメとは思いません。表現の自由というものがありますからね。ロシアはそれがあるようです。だったら、他の国の政治をネタにするのではなく、まずは自国の政治(身内)をネタにすればいいのに。他の民族や他の国の政治家(他者)をネタにしたいのなら、やはりある程度の礼儀をもって、ネタにするべきでしょう。そうしないとまたまたネット上で世界中の人から一気に叩かれ、簡単に炎上する社会に私たちは生きているのですから。

 動画のコメント欄も炎上。ベラルーシのインターネット企業トゥト・バイ(TUT.BY)がコメントを書き込みしていて、

「ベラルーシでは人々が拘束され、拷問を受けて死にそうになっている人もいるんですよ。お笑いにしないでください!」

などと書き込んでいます。

 「読み上げようとしなかった一人のゲストはえらい。」というコメントを残した人もいます。

 

 有名スポンサーが2社も下りたのは正解だと思います。


「ミンスクの日」祭りが大幅縮小へ

2020-09-08 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 毎年9月の第2土曜日と第2日曜日は「ミンスクの日」祭りが開催されます。

 ミンスク市内の様々な会場でイベントが催されます。

 日本のお祭りのように屋台が出ます。屋外コンサート、ハーフマラソンも行われます。

 しかし、ハーフマラソンはすでに今年は中止されることが決定していました。理由はコロナウイルス感染拡大の危険があるからとしています。

 さらにミンスク市役所は屋台やコンサートなど多くの人が集まるイベントは中止することを決定しました。

 今、ベラルーシでは、通りをグループで固まって歩くだけで、道路交通法違反で身柄拘束、逮捕されます。この法律があるかぎり、大勢の市民が集まるお祭りなどは、開催そのものが規則違反になってしまいます。

 そのため、屋内のこじんまりしたイベント(美術館内の特別展)などを除き、多くのイベントを行わないことになりました。

 (この屋台も多くは国営企業が出店するので、「儲かるチャンスが減ってしまった。」と悔しがる個人経営者はほとんどいません。)

 逆にこの土日もまた反政府派デモ行進が予定されているので、あまりにも多くの市民が街中に繰り出すと、まちがってお祭りの屋台でアイスクリームを食べていた人が、身柄拘束されてしまうかもしれません。

 家族づれでお祭りに行っても危険だし、楽しくないし、デモ行進など生で子どもに見せて刺激するな、というのも理由の一つだと思います。

 ミンスク祭りのイベント大幅縮小の理由は、コロナウイルス感染拡大防止とは無関係のようです。