ベラルーシ内務省の発表です。
反政府デモ集会の参加者が「声がうるさい。」「無法行為を行なっている。」「公共交通が閉鎖してしまい、片道15分の職場まで1時間半歩いて通勤している。」ので、何とかしてください、という訴えが数百件、警察に届いているんですよ、と発表。
さらには、このような訴えの中には、
「警察は武器を手に取り、デモ参加者の脳天に一発お見舞いしちゃってください。そしたら、目が覚めるんじゃないの。」
と言っている市民もいるんですよ、と強調。
法律を守り、反政府デモにも行かずおとなしく暮らしている善良な市民がこう訴えているのです、と主張しています。
こうなったら、善良な市民の訴えを聞いて、警察も武器を手にとっていいですよね。これからバンバン、デモ参加者を撃ちまくってもいいよね。撃って死んでしまっても警察は悪くないですよ・・・と言えるようになってしまいます。
私の考えですが・・・こんな過激な訴えが「善良な」市民の口から出るでしょうか?
日本人のそこのあなた、自宅の周りで毎晩騒いでいる人がいるとします。日本人で「日本の首相は辞任しろ。」とか叫んでいる。変人の集団? でも毎日うるさくてしょうがないから、警察に通報しました。そして、
「警官は武器を手に取って、あの人たちの脳天に一発お見舞いしちゃってください。」
と言いますか?
「善良な一般市民」はそんな言い方しません。
もしかするとベラルーシ人の一般市民で政府派で、こういった「冗談」を言うのが好きという人もいるかもしれません。
でもそれをわざわざ内務省が、公式サイトに取り上げて、
「善良な市民からの言葉に耳を傾け、これから武器を使って治安維持をします。はい、もう前もって言っておきましたよ。今日からデモ集会に行くかどうか、よく考えて判断してください。それでもデモがしたいのなら、どうぞ。その代わり、頭に銃弾を受けてもいい覚悟で参加している人間だと認識しておきますからね。本当に脳天に一発食らっても、文句言わないでね。撃った警察官は殺人罪には問われませんよ。」
と言っているのと同じです。
これも私の考えですが、「反政府デモ制圧のために警察は武器を使っていい。」という市民の意見そのものが、内務省が考え出した嘘ではないか・・・という気がします。
その意見を言った人が実在するかどうかもわかりません。
本名などその点はプライバシー保護のため、発表できません。だから、警察官の誰か家族の一人が、
「昨日、うちの親父がこんなこと言っててさあ。」
というのが、「善良な市民の訴え」の一つとして、内務省の公式発表の一つになっているかもしれないのです。
日本人が日本人に向かって日本の警察に、騒がしいご近所さんはバンバン、ピストルで殺しちゃって! と発言するのはどうなのでしょう。
こんな発言をする人が、不謹慎にはならないのでしょうか。
逆に、反政府デモ参加者が、「武器を手に取り、政府派のやつらを殺そう。」などと近所の人に呼びかけたら、社会に騒乱を起こそうとした罪で、逮捕され5年は刑務所暮らしになります。つまり、発言するだけで犯罪者です。
それなのに、反政府デモ参加者制圧のために警察は武器を手に取り、迷惑行為をしている人たちの脳天に向かって銃弾を撃ってください、と発言するのは罪にならず、逆に内務省公式サイトで、「警察に寄せられたよくあるご意見の一つ」として取り上げられるのは、どういうことなのでしょう?
ともかく、実際に警察が武器を使っての反政府派に対する殺人行為はしてほしくないです。
そんなことをしたら、自衛を理由に一般市民も武装するようになりますよ。そして内戦状態になります。