ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ベラルーシのコロナウイルス感染者44万8335人。死者数3483人

2021-08-03 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2021年8月3日の書き込みです。
 ベラルーシのコロナウイルス感染者数は448335人になりました。1日の新規感染者数は581人です。急に減ったように見えますが、1日の新規検査数も6588件なので、この数字です。
 
 死者数は3483人です。

 442380人が回復しました。

 733万件を超える検査数となりました。

 すでに99万人が2回目のワクチン接種を終えました。それでもまだ人口の10%ですね。

2021年8月3日。発見

2021-08-03 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2021年8月3日。前日2日の朝から行方不明だった亡命ベラルーシ人支援グループのリーダー、ヴィタリー・シショフ氏の遺体が発見されました。

 シショフ氏はベラルーシのゴメリ出身。ウクライナの首都キエフで、「ウクライナのベラルーシの家」という団体のリーダーをしており、ベラルーシから出国したベラルーシ人の住居や仕事、法的支援などを提供する活動をしていました。

 日本でポーランドに亡命申請したツィマノウスカヤ選手の夫ズダネーヴィチ氏(スポーツ・マッサージ師)もすでにベラルーシからウクライナへ出国しており、この団体が支援した可能性が高いです。もっとも、ズダネーヴィチ氏はウクライナからポーランドへ移動し、そこでポーランドにあるベラルーシ人支援団体の助けを借りて、妻が日本からポーランドへ到着するのを待つ計画だと思います。

 シショフ氏は、友人に最近誰かに尾行されているようだと語っていました。
 そのわりに普段の日課であるジョギングにいつものように一人で行ってしまいました。その後連絡がつかなくなったと、パートナーの女性がキエフの警察に通報しました。

 今朝のニュースでは、シショフ氏の自宅近くにあるキエフ市内の公園の木に、首を吊っている状態で警察に発見されたそうです。
 携帯電話など所持品は現場に落ちており、持ち去られた物はなさそうです。
 ウクライナ警察は、自殺に見せかけた殺人事件である可能性も視野に入れて、捜査を始めました。


 新たに3人のスポーツ関係者がベラルーシから出国しました。
 2008年北京五輪の陸上男子10種競技の銀メダリスト、アンドレイ・クラウチャンカとその妻ヤナ・マクシマワ(陸上7種競技選手)が、滞在先のドイツから、ベラルーシへ帰国しないことを発表しました。
 ハンドボールの国内チームのトレーナー、コンスタンチン・ヤコブレフもウクライナへ出国しました。
 ツィマノウスカヤ選手のポーランド亡命と関連性があるかどうかは分かりません。
 ただ、クラウチャンカ選手とヤコブレフ氏は、すでに反政府派デモに参加していた罪により、逮捕、有罪判決が出て服役し、すでに出所した身です。
 マクシマワ選手は自身のインスタグラムで、ドイツからベラルーシへの帰国を夫婦自ら取りやめたことを公表し、そこで「ここドイツでは胸いっぱいに息を吸うことができる。(ベラルーシではできない。)とても長い時間夫婦で話し合った結果、ベラルーシへ帰国しないことに決めた。」と書き込んでいます。

 
 在日ポーランド大使館で保護され、明日のポーランド行きのフライトを待っているツィマノウスカヤ選手は、取材に答えて、
「祖国に帰りたい希望はあります。でも帰国するのは今ではありません。」
と話しました。
 またオリンピックに出場したいと話しており、そのときは今度こそ200メートル走を走りたいそうです。

 ツィマノウスカヤ選手の実家にはすでに警察が事情聴取のため訪れました。
 母親がマスコミの取材に対して、「私達(両親)は何も知りません。ノーコメントでお願いします。帰国してほしいかどうかですか。それはもちろん、ベラルーシへ帰ってきてほしいです。うちの娘は何も悪いことはしていません。人を殺したわけでも物を盗んだわけでもありません。でも、実際、日本でどうしてあんなことをしたのか、私達には分かりません。」
とツィマノウスカヤ選手の行動が両親にとっても思いがけないことだったことを話しています。

(一部の報道でツィマノウスカヤ選手には子どもがおり、その子どももウクライナに行ったとされていますが、ツィマノウスカヤ選手にはお子さんはいません。)

 ベラルーシ国営テレビのニュースでは引き続き、ツィマノウスカヤ選手のネガティブ・キャンペーンを行っています。
 例えば、選手村では、他の選手が同じ部屋のルームメイトになりたがっていなかったとか、銅メダルをとった男子選手に、(スポーツのことを聞けばいいのに)ツィマノウスカヤ選手が今回起こした騒動についてどう思いますか、と質問して、その選手は「私はあの人嫌いなんですよ。」などと答えています。
 子ども同士のいじめみたいです。オリンピックに出場するような選手が何を幼稚な発言をしているの?と思うのですが、コーチ陣に言わされている(指導に従っている)のかもしれません。選手たちの発言の内容が感情的なことばかりですから。感情的な表現はあやふやで、確実な証言にはなりません。

 在日ベラルーシ大使館はツィマノウスカヤ選手の所在についての情報提供を日本政府に求めました。
 いっしょに東京までついてきた、ベラルーシ・代表団チームのメンバー(選手のお目付け役)が、帰国させることに失敗したので、ポーランドに移動するまでに(日本にいる間に)ツィマノウスカヤ選手を確保しようとしているのかもしれません。そうすれば、自分たちが帰国した後、処分を免れると思っているからです。
 ポーランド大使館に保護されている間はベラルーシ側も手が出せませんが、空港までの移動、ポーランド到着まで、ポーランド領事が付きそう予定です。移動中(日本領内の道路の上にいる間)の警護は日本警察の役目なので注意してください。
 ベラルーシは政府が危険人物、絶対身柄確保と決めたら、飛行機を無理やりミンスクに緊急着陸させるような国です。(当然ツィマノウスカヤ選手が搭乗する飛行機はベラルーシ上空は飛びません。

 ツィマノウスカヤ選手は保護してくれた日本の警察、外務省、ポーランド大使にも感謝の言葉を述べています。
 在日ポーランド大使はそれに対して、奔走したことを外交官冥利につきると話していて、大人な対応ですね。
 一方、ベラルーシの刑務所にもう1年近く収監されている日本人男性の解放に向けて、日本政府は全く積極的でないままなのが、私としては複雑な気持ちです。

 ツィマノウスカヤ選手の夫、ズダネフスキー氏がメディアのインタビューに答えて、
「私達夫婦は、政治には無関心で、反政府派のデモ活動に参加っしたこともないし、スポーツのことしか頭になかった。」
と一部の報道でツィマノウスカヤ選手が以前から、反政府派であり、政府に批判的な発言をしていたとニュースになっていたことを全面的に否定しました。
(でも、今はウクライナやポーランドにある反政府派活動家や野党の支援を借りて、夫婦そろって、ベラルーシを脱出。ポーランドで再会しようとしているので、これからは反政府派に恩返ししないといけないですよ。)
 また、妻がSNSで、200メートル走に出場できなくなった、1600メートルリレーに出るよう言われた、とコーチ陣批判をする動画を投稿したときには、こんなに大騒ぎになるとは思ってもいなかったそうです。政治的な内容の発言ではないし、一筆欠かされていたけど、それとは無関係の発言だという認識で、夫婦ともども思っていたそうです。

 ツィマノウスカヤ選手もインタビューに答えました。
「ベラルーシのいる家族はとても心配している。私の父は脳卒中の後遺症で、自宅療養中で母が常に介護をしている。(私の夫のように外国へ出国するなんてできない。)父の具合は悪くなっているので、入院させるほうがいいと母に話したが、今も自宅療養中で、父も母も自宅に釘付けの状態です。」

 亡命ベラルーシ人支援グループのリーダー、シショフ氏の遺体発見の続報です。
 キエフの警察の調査で詳細が明らかになってきました。
 まず、8月2日午前8時58分にシショフ氏は日課のジョギングにでかけた様子が自宅マンションの防犯カメラに記録されていました。
 午後3時18分にパートナーから、所在が分からなくなったと警察に通報。
 警察の捜索が始まりました。遺体が発見されたキエフ市内の公園は同氏がよくジョギングで走っていた場所なので、そこも捜索されましたが、異常はなし。午後10時にその日の捜索が終了。
 8月3日午前5時に捜索が再開。午前7時40分に公園内で遺体発見です。

 遺体発見現場の状況。首を吊った状態で遺体は発見されましたが、そのロープの輪の部分は地面から3メートル8センチの高さにありました。つまり輪が結びつけられた枝の高さは、さらに上です。
 切り株が3つあり、首吊り自殺したい人が踏み台にする可能性がある場所にありました。一つの切り株の高さは60センチ。残り2つの切り株の高さは両方とも50センチです。
 同氏の身長は185センチ。切り株の上に立って輪に手が届くでしょうか? 手が届いたとして、それを首にかけられるでしょうか。

 ロープは4重になっていました。同氏が自殺したいと考えていたら、自宅からロープを持ち出していたか、あるいは家を出てから、ロープを購入して、公園に向かったという考えもできます。
「ジョギングに行ってくるよ。」
とでかけた人が玄関でロープを手にしているというのは、あまりありえないですね。
 ロープを購入したなら、近辺の店の防犯カメラに映っていると思います。きっとキエフ警察が懸命に捜査していると思います。

 朝9時頃家を出てどこにいたのでしょう。午後10時までこの公園内を警察がすっと張り付いて捜査していたわけではないのですが、仮に午後10時まで遺体はなかったとすると、同氏は8月2日の昼間、どこか別の場所に隠れていて、午後10時以降、暗くなった公園に行って、高い木の上によじ登ってロープを結びつけ、輪を自分の首にかけて飛び降りる・・・といった方法で自殺したのではないかと想像できます。

 一つの切り株には、靴の足跡が残されていました。同氏の靴の跡とは異なるようです。誰のものかまだ判明していないというのが警察の発表です。
 遺体の鼻、左膝、胸、上唇に擦り傷がありました。
 遺書は見つかっていません。
 一部の報道で、同氏の携帯電話など所持品は持ち去られていた、とありますが、私が読んだロシア語のウクライナ警察の発表では、遺体発見現場に電話も所持品も残されていた(落ちていた)とあります。
「最近尾行されているようだ。自分の身に何かあったらパートナーの女性のことを頼む。」と友人に話していた、という報道もあります。しかし、キエフ警察は、この件についての相談は同氏から受けていなかったと発表しました。
 
 現地の警察は他殺の線を固めて捜査中です。

 昨年8月23日にも、ミンスク市内の雑木林で首吊り自殺したとされる反政府デモ参加者の遺体が発見されました。このときも他殺説の噂が流れましたが、離婚を苦にしての自殺だろうということになっています。このケースでも遺書は見つかっていません。

 ウクライナ大統領は今回の事件について、自ら捜査を指揮すると発表しました。