2021年8月4日、今度は国境地帯で遺体発見です。
ベラルーシとリトアニアの国境地帯で、意識不明のイラク人男性をベラルーシ国境警備隊が発見。救命措置をしましたが、死亡が確認されました。
この男性は、ベラルーシ経由でリトアニアに入国したイラク難民の1人で、リトアニア政府がベラルーシ側に再入国させた(ベラルーシへ追放)とベラルーシ側は発表しています。しかし、ベラルーシからリトアニアに入国しようとして、リトアニア国境警備隊から阻止されて、入国前だった可能性もあります。
ベラルーシ当局は、すでに殺人事件であると発表。捜査の最高責任者はベラルーシ大統領自らが名乗りを上げ、これから指揮していくようです。
そもそもベラルーシ政府がイラクなどの難民を呼び寄せ、ベラルーシ経由でリトアニアの国境を超えさせ、不法入国を後押ししていることが問題です。
連日難民が徒歩で国境を超えて押し寄せてきたリトアニアは、難民キャンプを急ごしらえしたり、ベラルーシとの国境地帯に鉄条網を張り巡らしたりしました。自国の予算では補えない緊急支出です。そのため他のEU加盟国が支援を始めました。
またベラルーシ政府に、不法入国者をリトアニア(それとポーランドにも)国策で送り込まないでほしいと再三要請しましたが、ベラルーシ政府は無関係だという態度を取っています。
一方でイラクのバグダッドとミンスクのフライトの本数を増やすことをイラク政府と合意して、どんどんイラク人をベラルーシ国内に入れ、徒歩による国境の越えかたのマニュアルを教え込み、リトアニアの国境近くまで送って、不法入国させているのです。
どうしてこんなことをするの?と不思議に思う日本人も多いかと思います。結局これは、21世紀における戦争の戦法の一つなのです。
野党リーダーのチハノフスカヤ氏をリトアニアに追放したのはベラルーシ政府ですが、その後リトアニア政府は野党やリトアニアに逃れたベラルーシ反政府派のベラルーシ人を擁護しました。
ベラルーシ政府の考えでは、「そんなにリトアニアにやってくる外国人を助けたいのか、そんなに余裕があるのか。だったらイラク難民も世話したらいい。」という思考回路なのです。
冷戦というと、経済戦争のイメージがありますが、難民を送りつけて、敵国の国庫を攻撃する(国を貧乏にさせる)のも、冷戦の戦法の一つなのです。というかこういう戦法が出てきたのも、21世紀になったからと思います。時代は変わっていきますから。
さて、難民キャンプが満杯になったので、リトアニア政府も人道的に、食べ物を与えたりといったことはしたくても、継続できなくなってきており、とうとう、一旦収容した難民を強制的にベラルーシに再入国させる(「やってきたところへ戻ってください。」という考え)あるいは、入国した瞬間に無理やり、国境線の向こう側(ベラルーシ領)に押し戻す・・・ということが最近始まりました。
難民の中に当然「いやだあ! リトアニアに入国するんだあ!」と走り出す人や暴れ出す人がいるので、リトアニア国境警備隊員も武器など振り回して威嚇します。
その結果、怪我をして、よろめきながらベラルーシ領におっぽり出される難民もいます。
怪我をした難民がベラルーシ領内にいたら、ベラルーシの国境警備隊が保護をして救急措置などしなくてはいけません。
そして、国営メディアは「リトアニア国境警備隊は、難民にこんなひどいことをしている! 非人道的だ。」と報道します。
リトアニア政府を悪者にしたいわけです。(イラクからベラルーシにつれてきて、リトアニア国境を越えさせようとベラルーシ側が画策しなければ、この難民はそもそも怪我などしなくてすんだのですが。)
今日発見されたイラク人も、このようにリトアニア国境警備隊に怪我をさせられ死に至ったもので、殺人事件だとベラルーシ政府は認定。
昨日は昨日で180人の難民がリトアニアに不法入国できず、鉄条網の前でうろうろしていると報道されました。
またベラルーシ国境警備隊の発表によると、昨日40人の難民が、リトアニア側からベラルーシ領強制的に出国させられたそうです。
難民の押し付け合いが始まっています。しかしもともとこの国境地帯に第三国の難民を連れてきたのはベラルーシです。
国境地帯で死亡したイラク難民の男性(氏名、年齢など未公表。遺体を引き取ってくれる親族をベラルーシ当局が探しています。)は、全身を殴られた跡があった。(もちろんリトアニア国境警備隊の仕業と報道)ベラルーシの国境警備隊が発見したときは、まだ息があったが、まもなく死亡。と報道されてすぐ、ミンスク市内にあるリトアニア大使館前に、イラク人ではなくベラルーシ人が集まり、抗議デモを始めました。
手書きのプラカードには「リトアニアは21世紀の強制収容所」「暴力反対」「けして忘れない」「リトアニアを国際法廷へ」などと書かれています。
国営メディアがそのようすを報道し、平和的なデモ集会で法律に触れていないとしました。
リトアニア国防相は、こうなることを前もって準備していたベラルーシ政府の挑発とし、それにはリトアニアは乗りませんよ、と牽制しました。
ウクライナで亡命ベラルーシ人支援グループのリーダー、シショフ氏の遺体が発見された事件を受けて、ウクライナ大統領は、ウクライナに脱出した反政府派ベラルーシ人の安全を守るため、ウクライナの治安部隊を投入する命令を出しました。
これで今ウクライナにいるはずのツィマノウスカヤ選手の夫もやや安心できますね。
日本でも報道されたようにツィマノウスカヤ選手は、日本を出国し、ポーランド亡命のため、オーストリアへ出発しました。
最終的にはポーランドに入国するでしょうが、それまであまり足取りとか服装とか詳しくマスコミは報道しないでください。
ツィマノウスカヤ選手の夫は在ウクライナ・ポーランド大使館で、ポーランドの人道ビザを受け取りました。
ポーランド政府は今年だけで9000人のベラルーシ人に人道ビザを発給したと発表しました。
発給手続きなど、非常になれた感じで素早いですよね。
国境地帯で死亡したイラク人男性について続報です。男性の年齢は39歳。氏名は明らかではありません。
この男性が見つかったのとは別の国境地帯で、今日5人の難民が怪我をしていたので、ベラルーシの国境警備隊が保護したと報道されました。
5人の男性はいずれも怪我をしており入院しましたが、暴行されたときにできた傷であり、また犬の噛まれた跡のある人もいるそうです。
これはリトアニア国境警備隊がパトロールのため使っている軍用犬だと思います。
ベラルーシ政府は再びリトアニアを激しく非難しています。