2021年8月9日、昨年の大統領選からちょうど1年経ちました。
東京五輪も閉幕し、ベラルーシのメダル数は合計7個。(金は1個)
最少記録で、もちろんベラルーシ五輪委員会は非常に不満な結果です。
色は関係なくメダルを獲得した選手はいいのですが、そうでなかった選手は、厳しい処分は受けないにせよ、引退するケースがすごく増えると思います。
ポーランドに亡命したツィマノウスカヤ選手は2017年ヨーロッパ陸上競技選手権大会100メートル走で獲得した銀メダルをオークションに出品しました。
本人が肌身放さず東京まで持って行っていたとは思えないので、自宅で保管していたのを夫がポーランドまで持ってきたのでしょう。
外国に亡命したので、当座の生活費用のために「走っているとき私を声援する声が聞こえた。ゴール後涙が出た。陸上選手としてキャリアアップできたメダル」という思い出のメダルを手放すのかと思ったら、
「オークションでの売り上げは全てベラルーシ・スポーツ連帯基金に寄付します。」
と宣言しました。
ベラルーシ・スポーツ連帯基金は反政府派スポーツ選手で国外に出国した選手たちがリトアニアで創立した基金です。
第2のナショナルチームと言ってよいです。
もし2024年までに現政権が転覆したら、次のパリ五輪には現政府容認のナショナルチームの選手は出場できなくなり、ベラルーシ・スポーツ連帯基金で練習してきた選手の中から五輪代表が選ばれます。
ツィマノウスカヤ選手とその夫は、自分たちは政治とは無関係で純粋にスポーツがしたいだけと話して言いましたが、亡命したことにより、手助けしてくれたベラルーシ・スポーツ連帯基金に恩返しすることに転換しました。
ますます帰国などできない状況に自ら追い込んだようにも見えますが、もう帰国する気は現政権下ではさらさらないという決意の表われでもありますね。
今回、メダルが取れず、帰国する選手の多くは引退すると思いますが、でも競技を続けたい人はベラルーシ・スポーツ連帯基金の所属メンバーになることを期待すると思います。
つまり出国するということです。ベラルーシ・スポーツ連帯基金を頼る選手が急増する場合、やっぱりお金が必要なわけですから、先を見越してツィマノウスカヤ選手がメダルをオークションに出したのは、大きな恩返しであり、他のベラルーシ選手のためにもなることです。
亡命後の会見で、自分の同じ境遇の選手を支援したいと語っていましたが、ツィマノウスカヤ選手は足だけじゃなくて行動も早いですね。
今日、大統領府で行われた大規模記者会見で、ベラルーシ大統領は初めてツィマノウスカヤ選手について言及しました。
それによるとツィマノウスカヤ選手が反政府思想の持ち主であることは把握していた。(これは2020年以降のことですね。)
将来有望な学生や才能の持ち主であるスポーツ選手などがもらえる大統領基金からの奨学金を2020年12月から受け取っていた。
今回のベラルーシ五輪チームの中に反政府派は7人いた。そのうちの1人がツィマノウスカヤ選手である。
どうしてこのような選手選別をしたのか? それはIOCが以前から、反政府派の選手もベラルーシ五輪チームに入れろと要求してきたからである。
(ベラルーシ五輪委員会長が大統領自身であることをIOCから認められず、長男にその役職を譲ったのですが、その長男も欧米の制裁対象者であるので、ベラルーシチームは東京五輪に出場できない、と言われていたのですが、結局参加できたのは、IOCが反政府派選手もチームのメンバーに入れたら、ベラルーシ五輪委員会長が大統領長男のままでも五輪に出場できる、という条件を飲んだから・・・ということです。)
・・・この説明に対してIOCは反応するでしょうか?
また今回の亡命についてツィマノウスカヤ選手1人ではできることではなく、手助けした者がいたとし、ベラルーシ政府のアンチ・キャンペーンの片棒を担がされたという見方も述べました。大統領はよくこう言います。野党のチハノフスカヤ氏など反政府派は、西側諸国の操り人形なのだと1年前も言っていましたよ。
また自分は独裁者ではないと繰り返し、また制裁を発動している欧米諸国と話し合う用意があるとも述べました。
近いうちに大統領の席を離れると述べ、しかし、それがいつなのか明言はできないし、誰も予測などしなくてもいい、とも語りました。
さらにベラルーシの大統領の器になれる人材は国内に10−15人はいるとし、自分が辞任した後の大統領はその中の1人になることを示唆しました。
そして来年の憲法改正後は、議会に大統領権限を一部移して、大統領の権力を分散させるようです。しかし、新大統領候補の1人が長男で、現大統領が大統領職を辞した後、議会長に就任し、親子で権力を掌握するのではないかという予測もあります。
この記者会見は8時間15分続きました。ベラルーシ大統領としては最長記録です。
この土日で349人の不法入国者がベラルーシからポーランドに入国しようとして、拘束されました。
リトアニアには不法入国させづらくなったので、今度はポーランドです。スポーツ選手の亡命を受け入れられる余裕があるなら、難民も受け入れたらいいでしょう、ということです。
逆にリトアニア政府は不法入国していた難民150人をべラルーシ側に返還しました。
イラク難民の場合、ベラルーシからイラクへ帰国させるそうです。
リトアニアの難民キャンプは飽和状態で、急激に不法入国者の数が増えたため、対応が追いつかず、食事も1日に1回しか配られていないそうです。
イラク政府はリトアニア政府とベラルーシ政府にイラク人を人道的に扱うよう求めていますが、それができそうにないので、イラクへ呼び戻そうとしています。
アメリカを来訪し、大統領とも面会した野党リーダー、チハノフスカヤ氏はイギリスで首相と面会しました。
今日、イギリス政府は独自の経済制裁をベラルーシに発動することを決定しました。
ベラルーシの航空会社のイギリス領内の離着陸禁止、石油製品やカリウムなどの貿易制限。国家機関への保険・再保険の提供、国債や国有銀行が発行する証券などの売買も禁止だそうです。
ドイツの外相は、ベラルーシ大統領はベラルーシという国を全部人質にしていると発言しました。
ワルシャワなどでは、1年前の大統領選挙が不法なものだとしてデモ集会が行われました。
アメリカも新たな経済制裁を発動させました。その対象にベラルーシ五輪委員会が含まれていました。
東京五輪も閉幕し、ベラルーシのメダル数は合計7個。(金は1個)
最少記録で、もちろんベラルーシ五輪委員会は非常に不満な結果です。
色は関係なくメダルを獲得した選手はいいのですが、そうでなかった選手は、厳しい処分は受けないにせよ、引退するケースがすごく増えると思います。
ポーランドに亡命したツィマノウスカヤ選手は2017年ヨーロッパ陸上競技選手権大会100メートル走で獲得した銀メダルをオークションに出品しました。
本人が肌身放さず東京まで持って行っていたとは思えないので、自宅で保管していたのを夫がポーランドまで持ってきたのでしょう。
外国に亡命したので、当座の生活費用のために「走っているとき私を声援する声が聞こえた。ゴール後涙が出た。陸上選手としてキャリアアップできたメダル」という思い出のメダルを手放すのかと思ったら、
「オークションでの売り上げは全てベラルーシ・スポーツ連帯基金に寄付します。」
と宣言しました。
ベラルーシ・スポーツ連帯基金は反政府派スポーツ選手で国外に出国した選手たちがリトアニアで創立した基金です。
第2のナショナルチームと言ってよいです。
もし2024年までに現政権が転覆したら、次のパリ五輪には現政府容認のナショナルチームの選手は出場できなくなり、ベラルーシ・スポーツ連帯基金で練習してきた選手の中から五輪代表が選ばれます。
ツィマノウスカヤ選手とその夫は、自分たちは政治とは無関係で純粋にスポーツがしたいだけと話して言いましたが、亡命したことにより、手助けしてくれたベラルーシ・スポーツ連帯基金に恩返しすることに転換しました。
ますます帰国などできない状況に自ら追い込んだようにも見えますが、もう帰国する気は現政権下ではさらさらないという決意の表われでもありますね。
今回、メダルが取れず、帰国する選手の多くは引退すると思いますが、でも競技を続けたい人はベラルーシ・スポーツ連帯基金の所属メンバーになることを期待すると思います。
つまり出国するということです。ベラルーシ・スポーツ連帯基金を頼る選手が急増する場合、やっぱりお金が必要なわけですから、先を見越してツィマノウスカヤ選手がメダルをオークションに出したのは、大きな恩返しであり、他のベラルーシ選手のためにもなることです。
亡命後の会見で、自分の同じ境遇の選手を支援したいと語っていましたが、ツィマノウスカヤ選手は足だけじゃなくて行動も早いですね。
今日、大統領府で行われた大規模記者会見で、ベラルーシ大統領は初めてツィマノウスカヤ選手について言及しました。
それによるとツィマノウスカヤ選手が反政府思想の持ち主であることは把握していた。(これは2020年以降のことですね。)
将来有望な学生や才能の持ち主であるスポーツ選手などがもらえる大統領基金からの奨学金を2020年12月から受け取っていた。
今回のベラルーシ五輪チームの中に反政府派は7人いた。そのうちの1人がツィマノウスカヤ選手である。
どうしてこのような選手選別をしたのか? それはIOCが以前から、反政府派の選手もベラルーシ五輪チームに入れろと要求してきたからである。
(ベラルーシ五輪委員会長が大統領自身であることをIOCから認められず、長男にその役職を譲ったのですが、その長男も欧米の制裁対象者であるので、ベラルーシチームは東京五輪に出場できない、と言われていたのですが、結局参加できたのは、IOCが反政府派選手もチームのメンバーに入れたら、ベラルーシ五輪委員会長が大統領長男のままでも五輪に出場できる、という条件を飲んだから・・・ということです。)
・・・この説明に対してIOCは反応するでしょうか?
また今回の亡命についてツィマノウスカヤ選手1人ではできることではなく、手助けした者がいたとし、ベラルーシ政府のアンチ・キャンペーンの片棒を担がされたという見方も述べました。大統領はよくこう言います。野党のチハノフスカヤ氏など反政府派は、西側諸国の操り人形なのだと1年前も言っていましたよ。
また自分は独裁者ではないと繰り返し、また制裁を発動している欧米諸国と話し合う用意があるとも述べました。
近いうちに大統領の席を離れると述べ、しかし、それがいつなのか明言はできないし、誰も予測などしなくてもいい、とも語りました。
さらにベラルーシの大統領の器になれる人材は国内に10−15人はいるとし、自分が辞任した後の大統領はその中の1人になることを示唆しました。
そして来年の憲法改正後は、議会に大統領権限を一部移して、大統領の権力を分散させるようです。しかし、新大統領候補の1人が長男で、現大統領が大統領職を辞した後、議会長に就任し、親子で権力を掌握するのではないかという予測もあります。
この記者会見は8時間15分続きました。ベラルーシ大統領としては最長記録です。
この土日で349人の不法入国者がベラルーシからポーランドに入国しようとして、拘束されました。
リトアニアには不法入国させづらくなったので、今度はポーランドです。スポーツ選手の亡命を受け入れられる余裕があるなら、難民も受け入れたらいいでしょう、ということです。
逆にリトアニア政府は不法入国していた難民150人をべラルーシ側に返還しました。
イラク難民の場合、ベラルーシからイラクへ帰国させるそうです。
リトアニアの難民キャンプは飽和状態で、急激に不法入国者の数が増えたため、対応が追いつかず、食事も1日に1回しか配られていないそうです。
イラク政府はリトアニア政府とベラルーシ政府にイラク人を人道的に扱うよう求めていますが、それができそうにないので、イラクへ呼び戻そうとしています。
アメリカを来訪し、大統領とも面会した野党リーダー、チハノフスカヤ氏はイギリスで首相と面会しました。
今日、イギリス政府は独自の経済制裁をベラルーシに発動することを決定しました。
ベラルーシの航空会社のイギリス領内の離着陸禁止、石油製品やカリウムなどの貿易制限。国家機関への保険・再保険の提供、国債や国有銀行が発行する証券などの売買も禁止だそうです。
ドイツの外相は、ベラルーシ大統領はベラルーシという国を全部人質にしていると発言しました。
ワルシャワなどでは、1年前の大統領選挙が不法なものだとしてデモ集会が行われました。
アメリカも新たな経済制裁を発動させました。その対象にベラルーシ五輪委員会が含まれていました。