2023年6月27日。
ベラルーシは少し気温が下がりました。
軍事監視団体「ハユン」は、プリゴジン氏が使用している航空機2機が今朝、相次いでベラルーシの首都ミンスク近郊のマチュリシチ軍用空港に到着したとの分析を明らかにしました。
到着機はプリゴジン氏の出身地で、ワグネルが本部を構えている露西部サンクトペテルブルクを出発したとそうです。
ベラルーシのメディアでは同氏がベラルーシに到着したという報道はしていません。
ベラルーシへ行ったと見せかけて、自分が普段使っている飛行機を飛ばしただけかもしれません。
あるいは本人は陸路でとっくにベラルーシ入りしており、今日到着した飛行機に乗って、また別の場所へ移動する可能性もあります。
ベラルーシ大統領は独立宮殿での将軍肩章授与式において、(またロシアで今回のような不足の事態が起こったら)ベラルーシ軍の部隊をロシアに送る用意があると述べました。
24日にプリゴジンの乱が起きたときにも、ベラルーシ軍を完全な戦闘準備態勢に置くことを決定していました。
軍だけではなく警察や治安部隊も警戒態勢にあります。
またベラルーシ大統領は「(ベラルーシとロシアは)一つの祖国であるため、内乱が発生しそうだった24日のできごとに心を痛めていた。」
と述べ、またワグネルがモスクワへ進んでいるのを見て、ウクライナ側で戦っているベラルーシ義勇兵の部隊は同じようにミンスクへ突入(政権転覆)しようと浮足立っていたが、25日プリゴジン氏がすぐにワグネル部隊をUターンさせたので、ベラルーシ義勇軍も行動を起こすのをやめたことを明らかにしました。
ベラルーシ大統領の諜報による情報ですね。
こうして考えると、ベラルーシ大統領が仲介役を買って出たのは、早くワグネルを止めないと、ベラルーシの政権転覆を狙う輩がこっちへやってくるというのが分かっていたので、それでプリゴジン氏を急いで説き伏せた、ということになります。
他にも「理由もなくベラルーシでは革命は起きない。」「ここ(プリゴジン反乱)にヒーローは存在しない。」とも述べました。そのとおりですね。
また24日の朝(推定9時)にロシアから電話がかかってきたときのようすも詳細に語りました。
ベラルーシ大統領が質問をしていくうちに、非常に複雑な状況になっていることを理解しました。ただしこの質問と回答の詳細は明らかにしません、とベラルーシ大統領は取材に対して答えました。
しかし、次のような会話の内容があったそうです。
「電話で話しているときに、ロシア大統領が『残酷な決定』をした。」(どう残酷なのかは分かりません。)
「話の行間からそれが読み取れた。それで、ちょっと待つようにロシア大統領に言った。私がプリゴジンと話してみよう。ワグネルとも話す。しかし、ロシア大統領は『サーシャ(ベラルーシ大統領の愛称)無駄だよ。奴(プリゴジン)は電話にも出ようとしない。誰とも話をしようとしないんだ。』」
それを聞いてベラルーシ大統領が言った言葉。
「それでも悪い平和のほうが良い戦争よりましなんだ。あわてるな。プリゴジンに連絡を取ってみる。次こそ話し合える。しかしロシア大統領は『無駄だ。』と繰り返すので、うん、そうだな、でももうちょっと待て。」
と30分ぐらい両大統領は話したそうです。そして、ロシア大統領がウクライナとの戦線について、
「不思議なことに前線の状況は今までになくよいものになっているんだ。」
とベラルーシ大統領に情報提供したので、
「ほら、悲しいことばかりではないさ。」
と励ましたそうです。
この電話会談の後、ベラルーシ大統領は自分が持つ3種類のコンタクト方法でプリゴジン氏に電話をかけることに成功。説得した結果、同氏はモスクワへ向かっていたのをUターンしました。
ベラルーシ大統領からすると、こいう会話のやり取りがあったことをメディアに披露することによって、自分が仲介者として能力が高いことをアピール。ロシア大統領からすれば恩人。ロシア大統領を励ますのが上手だとアピールすると同時に、ロシア大統領が精神的に相当参っていたことをさらっと漏らしています。ロシア大統領のイメージが弱くなり、自分のイメージが強くなりましたね。ロシア大統領に貸しを作りましたね。
もちろんロシアがよろめいたら、ベラルーシも倒れてしまうのが分かっているので、自分のためにも必死で説得したと思います。それを差し引いても、ベラルーシ大統領の立ち回りは大変上手だと思いました。
プリゴジン氏との会話の中では、ベラルーシ大統領は(プリゴジン氏がロシア国防相などに不満があってこういう反乱を起こしたと主張しているが)ロシア上層部はショイグ国防相もゲラシモフ参謀総長もどっちもプリゴジンに渡さない(両氏とも更迭されたりしない。)議論の余地もないことは、プーチン大統領のことをよく知っているはずだから分かるだろう? と話したそうです。
プリゴジン氏はそれに対してしばらく黙り込んだ後、
「正義がほしい。彼ら(ショイグやゲラシモフ)はワグネルを捻り潰そうとしている。だからモスクワへ行って訴えるのだ。」と答えました。
それで「そこへ行く途中、虫のように潰されるだけだ。今、ウクライナとの戦線にロシア軍は人員を取られているが。(ワグネルはロシア軍に大敗する)もう一度よく考えろ。」
「いやだ。」という押し問答が続いたそうです。
そして、ベラルーシ大統領はとうとう
「好きなようにすれば。でも、私を(ベラルーシを)怒らせるなよ。1941年の戦時のようにモスクワを守るためなら、ベラルーシ軍の大隊丸ごと投入する覚悟だから。昔何があったのかお前(プリゴジン氏)、本で読んで知っているだろ。読書をする人は教養というものを持っているだろ。」
と言いました。
この言葉が効いたのかどうか分かりませんが、結果としてプリゴジンの反乱は収束しました。
ロシア国防省は今日、ワグネルの重装備を接収し、正規軍へ移転する準備を進めていると明らかにしました。プリゴジン氏が身ぐるみ剥がされるということでしょうか。
ロシア大統領は自国の軍人、治安部隊に対して実質、内戦を阻止したと称えました。
昨日は止めたのは自分だと言っていたような・・・
さらにワグネルの攻撃により24日に亡くなったロシア軍パイロットを追悼し、1分間の黙祷を捧げ、軍人たちが名誉ある義務を果たしたと強調しました。
ワグネル戦闘員にお咎めなしという決定にパイロットの遺族から不満が出ないように、このような称賛と哀悼の意を表そうとしたのでしょうか。
ラトビア外務省はロシア国民に対するあらゆる種類のビザの発給を停止したと発表しました。
人道ビザすら取得不可能に。厳しいですね。
旧ソ連の国でこのような措置を決定したのはラトビアが初めてだと思います。
今日の午後4時40分、ベラルーシ大統領はプロゴジン氏がベラルーシに入国したことを正式に認めました。
同氏が飛行機で入国したこと、現在同氏の命の安全は保証されていることも述べました。
さらにプリゴジン氏がベラルーシにいるということがそのまま、ワグネルがベラルーシを拠点にするということではないと強調しました。
ロシアでまたワグネルが戦闘員の募集を始めたという報道がありますが、ベラルーシでも募集をするわけではないとも重ねて強調。
仮にベラルーシ人で、報酬につられてどうしてもワグネル戦闘員になりたいのなら、ロシアへ行ってそこで申し込めばいい。しかし、その前に、ワグネル戦闘員になるということは、毎日死と抱き合わせで暮らす生活が始まるということで、頭の下に機関銃を敷いて毎晩寝るということだと、知ったうえで申し込むようにと、ベラルーシ大統領はベラルーシ国民に釘を刺しました。
またベラルーシ領内にワグネルの拠点となるベースキャンプが建設されるという情報が流れているが、そんなものは計画されていないとベラルーシ大統領が明言しました。
ただベラルーシへ入国したワグネルのメンバーの身柄引受の役割をすると、ロシア大統領と約束し、その約束を守りたいので、軍の敷地内に宿泊できるスペースを用意すると話しました。避難民に対して仮設住宅を提供するという感覚ですね。軍事的な思惑はないと噂を払拭したいようです。
またベラルーシ領内に核兵器が整備される計画について、もうすでに予定していた核兵器の大部分がベラルーシ領内に持ち込まれていることを明らかにしました。
今回プリゴジン氏がベラルーシへ行くことが知れ渡ると、ポーランドなどのメディアが、核兵器を守る任務をワグネルはロシア大統領から仰せつかったのでは? という噂が飛んだので、それに対してベラルーシ大統領は、ワグネルは核を守らない(そんな仕事しないし、しに来たのではない。)と断言。
ベラルーシ領内の核兵器はロシア軍が整備し、ベラルーシ軍とともに守るが、ワグネルは関与しないと述べました。
ロシア大統領はさきほど、ロシア国防省の軍人らとの会合でワグネルの活動費は全額国家予算から支払われていたことを明かしました。
ウクライナ侵攻が続く去年5月から今年5月までの間に「国から860億ルーブルが支払われ、そのうち700億ルーブルが給与、150億ルーブルがボーナスだった」としています。さらに保険金として別途1100億ルーブルが支払われたほか、プリゴジン氏が関係する会社にも年間800億ルーブルが支払われたとしています。
全然「民間」軍事会社ではなかったんですね。
ベラルーシは少し気温が下がりました。
軍事監視団体「ハユン」は、プリゴジン氏が使用している航空機2機が今朝、相次いでベラルーシの首都ミンスク近郊のマチュリシチ軍用空港に到着したとの分析を明らかにしました。
到着機はプリゴジン氏の出身地で、ワグネルが本部を構えている露西部サンクトペテルブルクを出発したとそうです。
ベラルーシのメディアでは同氏がベラルーシに到着したという報道はしていません。
ベラルーシへ行ったと見せかけて、自分が普段使っている飛行機を飛ばしただけかもしれません。
あるいは本人は陸路でとっくにベラルーシ入りしており、今日到着した飛行機に乗って、また別の場所へ移動する可能性もあります。
ベラルーシ大統領は独立宮殿での将軍肩章授与式において、(またロシアで今回のような不足の事態が起こったら)ベラルーシ軍の部隊をロシアに送る用意があると述べました。
24日にプリゴジンの乱が起きたときにも、ベラルーシ軍を完全な戦闘準備態勢に置くことを決定していました。
軍だけではなく警察や治安部隊も警戒態勢にあります。
またベラルーシ大統領は「(ベラルーシとロシアは)一つの祖国であるため、内乱が発生しそうだった24日のできごとに心を痛めていた。」
と述べ、またワグネルがモスクワへ進んでいるのを見て、ウクライナ側で戦っているベラルーシ義勇兵の部隊は同じようにミンスクへ突入(政権転覆)しようと浮足立っていたが、25日プリゴジン氏がすぐにワグネル部隊をUターンさせたので、ベラルーシ義勇軍も行動を起こすのをやめたことを明らかにしました。
ベラルーシ大統領の諜報による情報ですね。
こうして考えると、ベラルーシ大統領が仲介役を買って出たのは、早くワグネルを止めないと、ベラルーシの政権転覆を狙う輩がこっちへやってくるというのが分かっていたので、それでプリゴジン氏を急いで説き伏せた、ということになります。
他にも「理由もなくベラルーシでは革命は起きない。」「ここ(プリゴジン反乱)にヒーローは存在しない。」とも述べました。そのとおりですね。
また24日の朝(推定9時)にロシアから電話がかかってきたときのようすも詳細に語りました。
ベラルーシ大統領が質問をしていくうちに、非常に複雑な状況になっていることを理解しました。ただしこの質問と回答の詳細は明らかにしません、とベラルーシ大統領は取材に対して答えました。
しかし、次のような会話の内容があったそうです。
「電話で話しているときに、ロシア大統領が『残酷な決定』をした。」(どう残酷なのかは分かりません。)
「話の行間からそれが読み取れた。それで、ちょっと待つようにロシア大統領に言った。私がプリゴジンと話してみよう。ワグネルとも話す。しかし、ロシア大統領は『サーシャ(ベラルーシ大統領の愛称)無駄だよ。奴(プリゴジン)は電話にも出ようとしない。誰とも話をしようとしないんだ。』」
それを聞いてベラルーシ大統領が言った言葉。
「それでも悪い平和のほうが良い戦争よりましなんだ。あわてるな。プリゴジンに連絡を取ってみる。次こそ話し合える。しかしロシア大統領は『無駄だ。』と繰り返すので、うん、そうだな、でももうちょっと待て。」
と30分ぐらい両大統領は話したそうです。そして、ロシア大統領がウクライナとの戦線について、
「不思議なことに前線の状況は今までになくよいものになっているんだ。」
とベラルーシ大統領に情報提供したので、
「ほら、悲しいことばかりではないさ。」
と励ましたそうです。
この電話会談の後、ベラルーシ大統領は自分が持つ3種類のコンタクト方法でプリゴジン氏に電話をかけることに成功。説得した結果、同氏はモスクワへ向かっていたのをUターンしました。
ベラルーシ大統領からすると、こいう会話のやり取りがあったことをメディアに披露することによって、自分が仲介者として能力が高いことをアピール。ロシア大統領からすれば恩人。ロシア大統領を励ますのが上手だとアピールすると同時に、ロシア大統領が精神的に相当参っていたことをさらっと漏らしています。ロシア大統領のイメージが弱くなり、自分のイメージが強くなりましたね。ロシア大統領に貸しを作りましたね。
もちろんロシアがよろめいたら、ベラルーシも倒れてしまうのが分かっているので、自分のためにも必死で説得したと思います。それを差し引いても、ベラルーシ大統領の立ち回りは大変上手だと思いました。
プリゴジン氏との会話の中では、ベラルーシ大統領は(プリゴジン氏がロシア国防相などに不満があってこういう反乱を起こしたと主張しているが)ロシア上層部はショイグ国防相もゲラシモフ参謀総長もどっちもプリゴジンに渡さない(両氏とも更迭されたりしない。)議論の余地もないことは、プーチン大統領のことをよく知っているはずだから分かるだろう? と話したそうです。
プリゴジン氏はそれに対してしばらく黙り込んだ後、
「正義がほしい。彼ら(ショイグやゲラシモフ)はワグネルを捻り潰そうとしている。だからモスクワへ行って訴えるのだ。」と答えました。
それで「そこへ行く途中、虫のように潰されるだけだ。今、ウクライナとの戦線にロシア軍は人員を取られているが。(ワグネルはロシア軍に大敗する)もう一度よく考えろ。」
「いやだ。」という押し問答が続いたそうです。
そして、ベラルーシ大統領はとうとう
「好きなようにすれば。でも、私を(ベラルーシを)怒らせるなよ。1941年の戦時のようにモスクワを守るためなら、ベラルーシ軍の大隊丸ごと投入する覚悟だから。昔何があったのかお前(プリゴジン氏)、本で読んで知っているだろ。読書をする人は教養というものを持っているだろ。」
と言いました。
この言葉が効いたのかどうか分かりませんが、結果としてプリゴジンの反乱は収束しました。
ロシア国防省は今日、ワグネルの重装備を接収し、正規軍へ移転する準備を進めていると明らかにしました。プリゴジン氏が身ぐるみ剥がされるということでしょうか。
ロシア大統領は自国の軍人、治安部隊に対して実質、内戦を阻止したと称えました。
昨日は止めたのは自分だと言っていたような・・・
さらにワグネルの攻撃により24日に亡くなったロシア軍パイロットを追悼し、1分間の黙祷を捧げ、軍人たちが名誉ある義務を果たしたと強調しました。
ワグネル戦闘員にお咎めなしという決定にパイロットの遺族から不満が出ないように、このような称賛と哀悼の意を表そうとしたのでしょうか。
ラトビア外務省はロシア国民に対するあらゆる種類のビザの発給を停止したと発表しました。
人道ビザすら取得不可能に。厳しいですね。
旧ソ連の国でこのような措置を決定したのはラトビアが初めてだと思います。
今日の午後4時40分、ベラルーシ大統領はプロゴジン氏がベラルーシに入国したことを正式に認めました。
同氏が飛行機で入国したこと、現在同氏の命の安全は保証されていることも述べました。
さらにプリゴジン氏がベラルーシにいるということがそのまま、ワグネルがベラルーシを拠点にするということではないと強調しました。
ロシアでまたワグネルが戦闘員の募集を始めたという報道がありますが、ベラルーシでも募集をするわけではないとも重ねて強調。
仮にベラルーシ人で、報酬につられてどうしてもワグネル戦闘員になりたいのなら、ロシアへ行ってそこで申し込めばいい。しかし、その前に、ワグネル戦闘員になるということは、毎日死と抱き合わせで暮らす生活が始まるということで、頭の下に機関銃を敷いて毎晩寝るということだと、知ったうえで申し込むようにと、ベラルーシ大統領はベラルーシ国民に釘を刺しました。
またベラルーシ領内にワグネルの拠点となるベースキャンプが建設されるという情報が流れているが、そんなものは計画されていないとベラルーシ大統領が明言しました。
ただベラルーシへ入国したワグネルのメンバーの身柄引受の役割をすると、ロシア大統領と約束し、その約束を守りたいので、軍の敷地内に宿泊できるスペースを用意すると話しました。避難民に対して仮設住宅を提供するという感覚ですね。軍事的な思惑はないと噂を払拭したいようです。
またベラルーシ領内に核兵器が整備される計画について、もうすでに予定していた核兵器の大部分がベラルーシ領内に持ち込まれていることを明らかにしました。
今回プリゴジン氏がベラルーシへ行くことが知れ渡ると、ポーランドなどのメディアが、核兵器を守る任務をワグネルはロシア大統領から仰せつかったのでは? という噂が飛んだので、それに対してベラルーシ大統領は、ワグネルは核を守らない(そんな仕事しないし、しに来たのではない。)と断言。
ベラルーシ領内の核兵器はロシア軍が整備し、ベラルーシ軍とともに守るが、ワグネルは関与しないと述べました。
ロシア大統領はさきほど、ロシア国防省の軍人らとの会合でワグネルの活動費は全額国家予算から支払われていたことを明かしました。
ウクライナ侵攻が続く去年5月から今年5月までの間に「国から860億ルーブルが支払われ、そのうち700億ルーブルが給与、150億ルーブルがボーナスだった」としています。さらに保険金として別途1100億ルーブルが支払われたほか、プリゴジン氏が関係する会社にも年間800億ルーブルが支払われたとしています。
全然「民間」軍事会社ではなかったんですね。