YEAR3210

風に転がる迷走日記

WE ARE THE HOMELESS 3

2011-02-12 17:29:39 | 日記
隅田川の河川敷、涙橋のたもと、屋台のおでんや「平木屋」は仕込みに忙しい。
午後四時、その界隈のホームレスがそろそろいっぱい引っ掛けに来る時間だ。
その忙しいさなか、保険屋イセザワはその土手のダンボールハウスに住む、
アメリカ人のマイクに対してかなり強引に保険の勧誘をしている。

マイク「オレガシンデモオレニハイッセントノカネモハイラネエ、ダカラオレハソレニハ    ハイラナイケドネ」

イセザワ「何をおっしゃいますか。あなたにはレッキとしたフィアンセ、ドラミ・ファ      ーがいるじゃないですか。彼女に保険金の受け取り人になっていただければ      立派なハカが立ちますよ」

マイク 「ハカハジュジカニナルノカ?」

イセザワ「もちろんなります。あ、マスター、ハンペンとタマゴ、それからぎゅースジ      ちょうだい」

平木  「・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、・・・・・・・・・・・・・・       ハンペンと、・・・・・タマゴ・・・・ぎゅースジですか・・はいよ」

そこに仕事を終えたヤマサンとユージが帰ってくる

イセザワ「おかえりー、あれ、ネーモヤンはどうしたの?行くとき一緒だったんじゃなか     ったっけ?

ヤマサン「やつは熱海までトレーニングだとか言いながら自転車で行っちまった」

イセザワ「またか。熱海か。一号線って結構車、はげしいよねえ」

ヤマサン「あそこはよートラックが多いから自転車で走っちゃあぶなくてしょーないね」

イセザワ「(笑い)」

マイク 「クルマニハネラレテシネバイートオモッテルンダナ」

イセザワ「そ、そんなことないさあ。ばかなこと言わないで」

マイク 「デモホケンキンノウケトリニン、イセザワサンにナッテイルトカキイテアリマ     スケド?」

イセザワ「一応、形式的なもんよ。ねえマスター、カラシがないわ」

土手の向こうからヒヤトイの土木作業を終えた国男がやってくる。ぶら下げたレジ袋の中は東スポとラベルをはがしたペットボトル。首にはもともと白い黄色いタオル。一日に数回、職質される。いつもそれが自慢話になっている。東スポの風俗情報がいつも楽しみで必死に働いている。

国男 「ヘイベイビー、オーケーベイビー、イセザワちゃん、またなんかそそのかしてん    のか。おれのこないだのニューインの保険金、まだおりねえのかよ。早くしろ     よ」

イセザワ「国さん、こないだも言ってあるけど、性病はなかなか本部がいい返事しないの
     よ。もう少しこうしょうしてみるからさあ」

  (保険金はとっくに下りてイセザワの口座にある。)